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今日から学校と仕事、始まります。②莞

2段ベッドの扱い方

作者: 孤独

学校の行事にしろ、何かの行楽にしろ。旅とは家と違った場所で寝泊りをするものである。

スペースを上に広げて、工夫された寝床も開発された。


「広嶋くん!広嶋くん!2段ベットだよ!2段ベット!」

「はぁ……。2回も言うな。2回も……」

「ギリギリ一部屋空いていて、ラッキーだよね!」


例えばカップル。


「カップルだって!あたし達!サイコーのコンビだもんね!」

「はしゃぐな、ミムラ」


でれでれになっている彼女が、赤い両頬を抑えて。彼氏はそんな彼女の元気に溜め息こぼして、からかってやる気になる。


「俺、下のベッドな」

「いいよ!いいよ!なら、あたしは……」

「お前は床でいいだろ?」

「2段ベットの意味は!?せめて、その……一緒に寝ちゃおうとか……」

「ない。明日早いんだから、寝るぞ」

「んもー……」


一度限りや数日限りの居場所に、人々は様々な経験をする。


「くーっ……くーっ……」

「特に何もなく、寝たー!?広嶋くん、話しでもしようよー!えーっ!?上にいるんだから、昇ってきてもさぁー!ぐすん……」


何もない。あるいは、相手にされないというのも経験である。




◇       ◇



「2段ベットですか。贅沢は言ってられませんか。台風ですし」

「伊賀。お前は上に寝ろ」


例えば、ボディガード。

取引先に向かう途中、急な嵐で足を止められ、近くのホテルに入った事。


「なぜですか?ワンくん。私、ムダが嫌いなんで、下がいいです」

「俺が警護役だからだ。下の方が対応しやすい。お前はいつもみたいに気兼ねなく、休息しろ。上の方が休めるものだ」

「なるほど」



休む場で、休む事ができない人もいるものだ。


「旅で興奮する男の子的な気分ですか」

「ガキじゃねぇよ!」


肝心な場面で寝過ごしちゃう。

そんな感じ


「ふふっ、こーいう時はなかなか眠れないですよ。1日、2日程度。寝ないでも平気です」

「ったく。読書するくらいなら寝ろよ」


気遣って、お互いが絶妙な距離の上下関係を作ってくれる。灯消える事無く、ずーっと起きている。

分かり合って、信頼しあう事。



◇         ◇



「2段ベッドだが、どっちがいい……?」

「舟はどっちが良い?」


例えば、ゲイ。


「…………四葉は?」

「ふふっ、決まってるだろ」


男と男が一緒の部屋だ。


「舟が選んだベッドに、俺も入る」

「誰か部屋を代えてくれ。助けてください」


危険な匂い。


「ダブルだったらもう止められないじゃないか」

「止めろ!おい、ホントに誰か助けろ!ホント!」

「こーいう機会は滅多にないぞ」

「滅多なんて事、起きない方がいいわい!俺、上!四葉、下な!」


結局、イケナイ情事はありません。

舟は避難する形で上のベッドを選択し、いつでも上がってきても、蹴り落とせる上で寝ずに待機していました。一方、下にいる四葉は普通に寝ていました。


2人で2段ベッドはやっぱり。



「一緒に寝る奴による!!」



ですよね?



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