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灰色の守護神~神は灰の中から蘇る~  作者: 八神 紫雲
第一章:敗北からの復活
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第二話:遭遇

 森全体に響く女性の叫び声にカイトデウスは見上げた視線を森に戻す。


「どこだ?」


 金色に輝く右目を凝らし周りを見渡す。すると右側の奥から魔力の流れが見える。人間の魔力の色、青と・・・魔物の魔力の色、赤。


「魔物に襲われているのか!?」


 次の瞬間、カイトデウスはその方向に走り出した。


 魔物・・・『創造神』によって作られた”人々を強くする為に生み出されたもの”。彼らは魔石と呼ばれるコアを持った生物で人々を倒すことによってその魔石に力をため強くなる生物だ。逆に人は魔物を倒すことで魔石の力を取り込み力を増やす。これがレベルという概念であり、魔物を倒すことで人々は強くなり、人を倒すことで魔物は強くなる・・・つまりレベルが上がるのだ。だからといって彼らにも生活があり本能を抑えたものはお互いむやみに争いを起こさない。だからこそ『破壊神』が存在する。

 彼は魔物たちに自分の力を分け与え、魔物たちの本能”人を殺し力を手に入れる”を引き出し暴走させる。

そうなった魔物は見境なく人を襲い、それが人々に対しての『破壊神』の試練となるだ。

 今、青色の魔力は微弱で赤色の魔力がそれを覆っている。つまり暴走した魔物が人を襲っているのだ。


「『破壊神』め・・・こんな小規模な暴走などただ悲しみを生むだけだとなぜわからない!!」


 木々の合間を縫うように走り抜けた先には、開けた場所がありそこで惨劇が行われていた。人間が作ったであろう馬車とその前に倒れた人間の老人・・・頭から血を流している。その老人をかばうように剣を右手で構えた女性が険しい顔で立っている。女性の左肩には切られた跡があり、そこから血が噴き出ている。

 そして彼女等を囲むように剣やナイフで武装した緑色の人型魔物が10体、ゴブリンという低級の魔族だ。この世界のゴブリンは体調約1m程度の小柄で、口は大きく歯は尖っている。耳の先は尖り醜い顔をさらしている。彼らは普段から盗賊まがいなことをして生計を立てているものもいるが・・・・今回は違う。ここにいるゴブリンたちの眼は真っ赤に染まり無表情・・・これが暴走している証だ。


(まずいな・・・じいさんの方は意識がないみたいだし、女の子の方も左をやられて右だけじゃうまく剣を扱えてない)


「やあぁぁ!!」


女性が剣を振り回しゴブリンを近づけさせないようにしているがかなり動きが鈍い。左肩の傷の痛みが酷いのだろう。振り回した剣が1匹のゴブリンのナイフに当たるが重さの載っていない斬撃は逆にゴブリンにはじき返され女性はそのまましりもちをついてしまった。チャンスとばかりにゴブリンはナイフを振り上げ女性に襲い掛かる。


「間に合えよぉぉ!!」


カイトデウスは足元の小石を拾うと女性とゴブリンとの間に向け思いっきり投げつけそのままゴブリンに向かって走り出す。


「!?」


ゴブリンは自分の鼻先に小石が通過し一瞬ひるむ。そこに全力で走ってきたカイトデウスの右ストレートがゴブリンの顎に突き刺さった。


「ギャアア!!」


 低い声とともにゴブリンは吹き飛び5m先の大木に激突し動かなくなった。正直カイトデウスはこの人間の体で戦闘できるか自信はなかったがとりあえずゴブリン程度なら何とかなるみたいだ。しかも今の彼は護衛対象がいる。これはギフト《守りし者》の発動条件を満たしており、彼の能力を2倍に引き上げている。

この《守りし者》は『守護神』の力の因子を授かった者、またそのものから継承された者のみが持つギフトだ。今のカイトデウスは弱体化はしているが一応因子を持つ者程度の力は残っていたようでこのギフトが残っていた。


(守りたい対象がいる場合能力2倍にアップ・・・・我ながら身内に甘すぎるギフトかなぁ・・・まあおかげで戦えるからいいか)


 勢いそのままに回し蹴りをしてもう1匹のゴブリンを吹き飛ばす。あと8匹・・・いや奥に何かいる。カイトデウスは金色の眼で森の奥を見る。そこには緑の肌でゴブリンより大柄・・・180cmはあるか、口から牙が生え豚鼻の醜い顔が赤い目でこちらを見ている。


(オークか、1匹だけで様子見してるってことは・・・あれがこいつらのボスか)


 普段ならオークとゴブリンが組むことなどないのだが暴走状態の魔物はより強い魔物に従う習性があるらしくこうやって多種族で露頭を組む場合があるのだ。


「あ、あなたは?」


「そんなことは今はいい。とにかくじいさんを連れて隠れていろ。」


 困惑しながら聞いてくる女性に隠れるように促すと1匹のゴブリンに近づき右手首を左手でつかむ。このゴブリンが一番近くにいてなおかつナイフではなく剣を持っていたからだ。つかまれたゴブリンの右手首からビキビキと音が響き握力を失い剣を落としてしまった。その瞬間に左手を離し右足でゴブリンの腹に蹴りを入れ地に沈める。カイトデウスは左手でその剣をつかむと軽く眺めた後すぐさまゴブリンたちに向ける。


「刃こぼれは多いし錆出始めてるが・・・まあないよりはましかな。魔力で強化もできるし。」


 全身を巡っている魔力を左手に集中させ剣に流していく。すると剣の刀身が灰色に光り、灰色の粒子に分解していく。


「なんだこれ!?」


 普通魔力を物体に流すとその物体を強化され硬度を増したり、属性を添付されたりするのだが、今カイトデウスの剣は細かい粒子、よく見ると灰が舞っているような状態になっているのだ。分解された粒子たちはくるくると回りながら刀身の形を維持しているがもう既にそれは剣と呼べるのかわからないものに変わっていた。


「これが灰色の魔力の力か?・・・・切れるのかこれ?」


 困惑しているカイトデウスに向かってゴブリンが2匹同時に剣を上段に構え、飛びかかってくる。とっさにカイトデウスは剣を横に薙いでゴブリン2匹の腹を切りつける。すると灰色の斬痕がゴブリンの腹に浮かび2匹は吹き飛ばされる。一応は切れるし質量もあるようなので飛ばすことも可能のようだ。灰色の魔力の特性を志向していたカイトデウスは飛ばされたゴブリンたちを見る。すると先ほど傷つけた傷跡から灰色の炎が上がったのだ。


「ガアアア!!!」


「ガギャアア!!」


 ゴブリンたちはもがく暇もなく灰色の炎に包まれ一瞬のうちに燃え尽ききれいな灰に変わってしまった。


「これは・・・・いや今は」


 自分の持つ力の片鱗を目の当たりにしたカイトデウスは剣に魔力を流し続ける。すると通常の刀身の5倍ほどの長さに刀身だった粒子が伸びる。


「とりあえず小さいのは退場しろ!!」


 伸びきった剣を離れた位置にいたゴブリンたち向け横薙ぎに振るう。残ったゴブリンたちは各自別々の場所に斬撃をくらい灰色の炎に包まれ灰になって絶命した。


「さあ・・・出てこい」


 刀身を元の長さに戻し右手を突き出しオークを挑発する。すると低い唸り声を出しながらゆっくりとオークが姿を現す。丸太ほどの太さで膝ほどまで長い腕と巨大な腹を揺らしながら蟹股で出てきたオークの右手には木でできた巨大な棍棒が握られている。


「ガアアアアア!!」


 本能に任せ、棍棒を振り上げ長いリーチを生かしカイトデウスに攻撃しようとするがカイトデウスは素早く右に重心をずらしその攻撃をよける。


「なるほどリーチはそこそこだな・・・が踏み込みが浅い!」


 オークの縦ふりから横薙ぎに繋げる攻撃をかがんで避けそのまま懐に入る


「ガア!!」


「遅い!!」


 懐に入り両手に剣を持ち、剣を思いっきりオークの首に突き出し刺し貫いた。するとオークの瞳が赤から白に戻り表情が歪み呻きだす。


「ア、アガガガ!!!」


「図体ででかい割には我慢弱い・・・っな!!」


 そのまま剣で切り上げオークの首から頭までを切り上げる。切り裂かれたオークの頭から灰色の炎が吹き上げ一瞬で全身を焼き、そのまま燃え尽き灰となってオークは絶命した。


「ふぅう・・・・何とか戦えた・・・かな。」


 血もついてないがとりあえず剣を振った後、剣に流していた魔力を止める。すると灰色の粒子たちは一か所に集まりものと刃こぼれした刀身へと姿を変えた。


「元に戻った?・・・・・でもゴブリンたちは灰になったまま・・・つまり倒したい相手だけを灰に変え固定する・・・でただ魔力を流したものは復元するってことか?・・・・よくわからない魔力だな・・?」


元オークだったものを観察しながら考え込んでいるとその灰の中ら何かが光っている。よく見るとひし形で紫色の宝石のようだ。


「魔石・・・・これは灰にならないのか?・・・・いやオークが死んで魔石は別物と判断して灰にしなかったのか?ん~とにかくこれからいろいろ調べないとな~。」


 そういいながらオークの魔石を拾い眺めていると紫の光が強くなりカイトデウスの体に入ってくる。オークのだけでなくゴブリンたちの魔石からも光が飛び、カイトデウスの体に流れ込んでくる。すると・・・。


~デッテデッテデッテデッテデッデッデ~


 頭の中に直接何か気の抜けた音楽が鳴り響いた。


「・・・・えっと・・・・確かこの世界でのレベルが上がるとき頭の中に音楽が鳴るって『創造神』が行ってたけれども・・・・・何この最弱主人公が死んだときみたいな音楽は・・・・?」


 あいつの趣味や考えは一生わからんと再度確認するカイトデウスだった。







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