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灰色の守護神~神は灰の中から蘇る~  作者: 八神 紫雲
第一章:敗北からの復活
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第十話:ラクの町

大変遅くなってしまいました。・・・・インフルエンザ嫌いです。

 ヒョウカがゴブリンを退治してから2日。その間に村の周りの捜索、村の防衛手段の確認などを行い大丈夫だと判断したヒョウカはラクの町にある冒険者ギルドへ報告に向かうことにした。それに伴いヒョウカはガンツに馬車で運んでもらえないかと頼んだ。曰く飛行魔法は疲れるから馬車でゆっくり行きたいとのことだった。ガンツは喜んでその依頼を了承し、シーナも同行することになった。で・・・肝心なアッシュはと言えば・・・・。


「え?いいんですか?」


「おう、運ぶ人数が2人から3人に増えたとこでどうってことないしな。それにおめえここに居続ける気ないんだろ?」


「まあそうですが・・・。」


「じゃあ決まりだ。これも何かの縁ってやつだ、もう少し付き合えや。」


「・・・よろしくお願いします。」


 ・・・ということでアッシュも同行することになった。い

クイの村を出発する前、アッシュは村長とリアさんにお礼としてゴブリンの魔石を何個か渡した。村長たちは最初受け取れないと断ったがそれではお世話になった自分の気が済まないとアッシュに説得され最後は渋々受け取っていた。しかし村長も村長で受け取るからまた機会があったら必ず村に訪れてくれ、次はちゃんともてなすからとアッシュに約束を取り付けていた。


 クイの村を出た4人は何事もなくクイの森を抜け着々とラクの町に近づいていた。クイの森を出るとそこにはただただ広い草原、【クイ草原】がありそこをまっすぐ抜けなければラクの町へはたどりつけない。しかしこのクイ草原は平面で見通しがよいためよく肉食獣型の魔物、足が速く集団戦を得意とするハウンドウルフや見通しの良い空から獲物を狙うソバットコンドルなどの狩場となっている。普通に馬で抜けるなら逃げ切れる相手だが荷物を運ぶ馬車などはよく狙わるので気を付けるポイントらしい。それを聞いたアッシュは馬車の屋根に登り周囲を警戒。襲ってきそうな魔物を発見するとシーナに合図を送り迎撃するという防衛策をとった。主にアッシュが飛び出して肉弾戦で相手の動きを止め、シーナが魔法でとどめを刺す。このコンビネーションが意外にはまり襲ってきた魔物を次々倒しラクの町が見えてきたころには経験値と魔石もかなりたまっていた。レベルもアッシュはレベル12→17、シーナは12→15に上がり2人ともホクホクでガンツも孫の成長を喜んだのだったが1人だけちょい不機嫌になっている人物がいた・・・ヒョウカだ。


「なんで私だけ戦っちゃいけないわけ?」


「え?ゆっくり帰りたいってカズラバさんが言ってたので休んでもらってたのですが?それにこれぐらいの魔物なら俺とシーナで何とかなりますし。」


「そうですよ勇者様はお忙しい身なんですからたまにはゆっくり休んでいてください。」


「そ、そう・・・あなたたちがそういうなら・・・(本当は私もレベル上げたいなんていえない雰囲気ね・・・)」


「シーナ!3時の方向ハウンドウルフ5匹!」


「はい!迎撃します!」


「よし!じゃあひとっ走り行くぜ!」


 たぶん今日最後の獲物を見つけたらしく2人は馬車から飛び出していく。それを見ながらヒョウカはやれやれとため息をつく。そこに後ろは見えずとも会話から何かを察したガンツがフォローしてきた。


「いいではないですか勇者様。たまには人に任せませんとご自身の身がもちますまい。」


「そうね・・・ところでガンツさん・・・アッシュってなんで戦闘入ると口調変わるの?」


「さあ?俺と模擬戦した時も口調変わってましたからアッシュなりのスイッチのオンオフなのかもしれませんなぁ。」


「ふーん・・・ほんと変わった人ね。」


「ですが悪い奴じゃないと俺は思いますがな。」


「・・・そうね。」


 戦闘が終わりしばらくして一行はラクの町に到着した。



 【ラクの町】、シュバルベ王国の中では一番小さな町ではあるがその小ささゆえに管理が行き届いており住みやすいと評判の町である。建物の作りもクイの村がすべて木製だったのに対してほとんどの家がレンガ造りで町を通る通路もきれいに舗装されその端には水路が引かれていることからそれなりに裕福なことがうかがえる。


「へえ~いい町そうですね。」


「ぱっと見はな。」


「え?」


「クイ平原ってのは魔物が出るだけでなく隣国のオーブとの国境もあるからな。もし国境の砦が落とされるようなことがあれば次はこの町が目標になる。まあここ30年そういったことがないから人工は増えてきてはいるが貴族階級の人間が移り住んだって話は聞かねえ・・・まあそういうこった。」


「平穏なら住みやすい町ってわけ・・・か。」


「今の王が他国に喧嘩を吹っ掛けない限りは大丈夫だろうよ。・・・でだ、俺は宿屋取りに行ってくるがアッシュ、おめえはどうすんだ?」


「そうですね・・・ここに冒険者ギルドがあるって話なのでとりあえず登録と魔石の換金。それが終わったら装備の買い出しをしてきます。・・・いつまでも手ぶらってわけにもいきませんからね。」


「さっきまで拳一つで魔物とやりあってたやつが言うことじゃねえなそれ・・・。」


「まあ・・・あれぐらいなら・・・でもこれからもっと強力な魔物が出てきたらと考えると武器ぐらいは欲しいですよ。」


「そりゃあそうだ・・・・てかおめえ冗談きかねえ奴だったのな。」


「え?」


「いやこっちの話だ。シーナ、俺はもう行くからギルドに案内頼んだぞ。」


「うん任せて。」


「じゃあ私も行くわ。ゴブリンの依頼完了の報告もしなきゃいけないしね。」


「じゃあ3人で行きましょう。」




 そんな会話の後、ガンツと別れた3人はギルドの前まで来ていた。町の中央に二階建てでそびえる【冒険者ギルドラク支店】はほかの建物に比べてかなり堅牢に作られており明らかに他とは違う風貌を醸し出している。


「へぇえ・・・ここがギルドかぁ・・・。なんか物々しい建物だね。」


「はい。ギルドの建物は魔物などの進行があった時そのまま王国軍の拠点として使用できるように強固な作りなっているんです。」


「ふーん。」


「それよりさっさと入らない?急がないと日が暮れるわよ?」


「あ、すいません勇者様。」


・・・とそんな感じで中に入った3人だったがそれからが大変だった。

 最初にヒョウカが依頼達成の報告、報酬の受け取り。そこからアッシュがギルド登録。ここら辺は勇者であるヒョウカへのギルドの信頼とかつてAランク冒険者だったガンツの孫娘であるシーナの推薦もありすんなりと事が進んだ。

 次に今までためておいた魔石の換金を行ったのだが・・・これがなかなか厄介だった。

ヒョウカの換金作業は何事もなくスムーズに終わった。次にシーナが換金を依頼したのだがその魔石の数にギルド中が騒ぎはじめた。ゴブリンの魔石3個、オークの魔石2個、ハウンドウルフの魔石10個、ソバットコンドルの魔石10個といくら元Aランク冒険者の孫であったとしても下位ランクが持ち込む量ではなかった。そこからギルドマスターが奥から現れ、事実確認を行ったり(これはヒョウカの証言もあり何とか信用してもらえた)、シーナのランクをどこまで上げるかの会議が開かれたりと、約1時間ほどの時間が費やされ結果、シーナ2ランク昇格してCランクとなり金貨10枚を受け取った。そして散々待たされたアッシュが換金を行ったのだがそこでまたギルド中が大騒ぎとなる。ゴブリンの魔石17個、オークの魔石2個、ハウンドウルフの魔石20個、ソバットコンドルの魔石20個とシーナを上回るその数に受付は混乱しギルドマスターは頭を抱えた。そこからまた事実確認(シーナとヒョウカが証言したためギルマス諦める)、アッシュのランクをどうするかの会議(まだ登録してない人間がこれだけの魔石を持ち込んだ前例なし。しかしこれだけの実績を持ってきた人物にある程度のランクを与えなければギルドの信用にかかわる等)が散々行われ約2時間後、ようやくアッシュにDランク冒険者のカードと金貨20枚が渡され3人がギルドから解放されたのは夕暮れすぎのことだった。



「なんか・・・疲れたね。」



「そうですね・・・でも私のほうがランク高くってよかったんでしょうか?」


「ん?いいんじゃない?シーナのほうが冒険者としては先輩だし。」


「そうでしょうか・・・。」



「それはそうとあなたたち・・・・はあ・・・やっぱりオークを倒したのはあなたたちだったのね?」


申し訳なさそうに話すシーナに対してアッシュはまあ気にするなといった感じで答える。そんな2人に唐突にヒョウカが疑問を投げつけてきた。ヒョウカはオークの死体について村人たちに聞き込みをしていた。しかし村人たちはオークが死んでいたことすら知らなかった。そこでアッシュたちにも聞いてみたのだが・・・。


「あなたたち誤魔化すの下手すぎなのよ。」


「ふ、フィイイ。」


「えーっと・・・やっぱり嘘つくのって難しいですね。」



「はぁ・・・まあいいわ。これからどうしましょうか?もうすぐ店も閉まる時間だけど?」


「じ、じゃあ武器屋に行きましょう。道具屋や食材店は閉まるの早いって聞きましたし。」


「私も武器見たかったからいいわ。」





 この時アッシュたちはこの選択がさらなる厄介ごとを招くことを知らないのだった。





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