表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

魅了魔法しかない序章7.5

俺の名前はダース・トーチ・ウルダ。


この街、トーチを治めている領主の息子であるが三男に位置する。


三男とはいえ領主の息子だ。町民にはそれなりに敬意を払われている。そんな俺が冒険者になったのは固有魔法を持っていたことが起因する。


【硬化魔法】だ。


これは体内にある魔力と引き換えに体を岩のように、込める魔力次第で鋼のようにもなる貴重な魔法だった。他の誰にもないあまり聞き及ばない魔法であるため固有魔法だと発覚した。


冒険者として徳を積むことで、経験と知識を生かしてトーチの街を将来守護することが出来るようになる事を目的とした、言うなれば修業のようなものだ。


その事前準備として俺は兄様たちに稽古をつけてもらったのだ。その結果体は大きくなり、力も強くなった。それで身に付けたのは硬化魔法で主に自分を守りながら注意を引き付けることだった。


それを生かして冒険者業をしてきたわけだが、どうにも彼らとは馬が合わないようだ。俺の壁役に何の不満があるってんだ。最初から壁役しか出来ないと言っているのに満足してくれずにパーティーを次々と解消していったのだった。


過去に何度かパーティーを組んだことがあるキースという男にパーティーを申し込んだ。が


「君と組むメリットが今の俺たちには無いんだよ」


そう言って断られてしまった。


困った。


これでEランクの誰にも組んでもらえなくなった。俺も耳にしている、俺は厄介者扱いをされていることを。


そんなときだった。


ナナシが現れたのは。


俺にパーティーを申し込むというのはEランクに留まっているものなら絶対にしない行為でもある。厄介者だからな。ということは登録したばかりの初心者であり、見た目が大柄な俺をパーティーに誘ったってことなんだろう。


申し訳ないが俺も背に腹は変えられないからな。


パーティーを素直に承諾した。


そんなナナシが勝手に依頼を取りに行く。それでそれを受けるために知り合いだったのかと驚きつつもキースが連れてこられた。彼らと貴婦人の草むしりを受けるらしい。


貴婦人の草むしりを受けに行く道中、キースのパーティーメンバーであるドドルとリカがナナシに話しかけた。どうやらどうして俺とパーティーを組んだのかという質問らしい。


それを聞いてどうするつもりなのか、気になってナナシの方を窺うと視線が交差した。


しまった、これは不可抗力だ。仕方ない。気になる聞き方だったから仕方ない。


そう考えながら俺は慌てて視線を前に戻した。


「なんとなく」


そんな拍子抜けの返事に肩の力がすっと抜けた。隣でキースが「ふふっ」と堪えるように静かに笑った。すると、リカがナナシにアドバイスを言い始めた。


リカの態度もキースのツボに入ったのか、笑いが止まらない様子。そんな彼は俺に話しかけてきた。


「面白いよね彼は、ナナシって名乗ってたけど絶対名前が無いだけだし、何か持ってるのは確かだよね」


「名前が無い?」


「普通は気付かないかな?まあダースはその辺疎いから仕方無いだろうけど。大事にしてあげなよって俺からのアドバイスだぜ」


「あ、あぁ」


俺は厄介者だと扱われるが、ナナシも何か厄介なものを背負っているようだ。ダースには大事にしてあげなと言われたけど、借りにも俺はトーチの街を治める領主の息子だ。ナナシには申し訳ないが、不利益になりそうなら素早く切る。


あぁ、厄介な奴とパーティーを組んでしまったようだ。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ