魅了魔法しかない序章6
「紹介しよう。俺の仲間のドドルとリカだ」
キースは僕たちの所に来ると仲間を紹介しに来た。ドドルは頬にそばかすのある天然パーマのようにボサボサした髪型の少年。リカはショートカットヘアーで目付きが尖って見えるが、人が良さそうな雰囲気もある。
「ドドルだ。パーティーでは、斥候を努めてる。今回はよろしく頼むわ」
「リカよ、パーティーでは遠距離支援をしてるわ。今回の依頼では今言ったことはあまり関係無いけれど一応、覚えておいて」
僕という素人目から見ても彼らは出来る人の様。なんとなく、ダースをパーティーにいれたがらない理由は安易に想像がついた。
「僕は冒険者になったばかりのナナシです。雑草駆除の依頼ですが、村ではよくさせられていたので自信はあります。よろしくお願いします」
「ダース・トーチ・ウルダ。壁役だ、何度かキースらにはお世話になったな。突然のナナシの行動でこういう結果になったが、よろしく頼む」
ダースには何の断りもなく、キース達を今回の依頼に誘ったわけだが、ダースからすれば先程パーティーへの加入を断られているので会うのも気まずかったかもしれない。
「最後に挨拶してすまないね。俺はリーダーをしているキースだ。今回の依頼は俺達は経験済みだから、分からないことがあったら聞いてくれ」
「それじゃ、顔合わせを済ましたからこの依頼を受けてこようと思うんだけど、どうかな……。今受けるのは遅すぎるかな」
現在の時刻は大体お昼の2時を過ぎたくらいだ。何事も初めて尽くしだから迷ってしまう。
「ダース、君はどう思う?」
キースがダースに尋ねた。
「……大丈夫だ。依頼表を出すと、受付が相手側に連絡をしてくれる。一日で終わることはないから、寝泊まりで馬小屋を貸してくれるだろう」
ダースのことだから、話さないのかと思ったがこういうことを知っているのなら今後は彼を頼りにしようと思う。
「そういうことだから、俺達としても今夜の寝床が安定するからさっさとこの依頼を受けようぜ。」
ドドルが依頼表を僕に渡す。
「今回はあなたがリーダーよ。受付に提出すると良いわ」
リカに言われた通りに僕は依頼表を持って受付に提出をしたのだった。