魅了魔法しかない序章5.5
キースが仲間に相談しに行ったときの内容です。
「キース、本当にあの依頼を受けるのか?」
キースに声をかけたのは先程の威圧的な態度を示した男・ドドルだった。
「ドドルはあの場にいなかったな。彼はあのダース・トーチ・ウルダとパーティーを組んでくれたんだよ」
「ふうん、領主様のご子息様とはいえ散々な評価だな」
ドドルはダースに対してそこまで酷い感情は抱いていないようだった。彼は思い浮かべていた、ダースがこのパーティーを組んでいた頃を。
「特に強い訳でもないけど、防御に関してはお墨付きだろ?お前の」
ドドルはキースを指して言った。
キースは肩をすくめて笑いながら不敵に目を細ませた。その目の奥には何が見えているのだろうか、何かを謀っていることだけはその場にいる誰もが分かった。
「そうだね、でも俺がEランクで学びたいことには彼は必要なかった。それだけさ」
「本当に食えないやつ」
「俺はありのまま話してるじゃないか」
「そうじゃない」
「なんなのさー!」
ドドルとキースは笑いながら明るいやり取りをしている。それを見ていたもう一人のパーティーメンバーである女・リカが声をかけた。
「仲良しね。で、どうするの?」
アッサリ、クールが売りのリカである。
「答えは出てるよ。彼は俺にとって今後も必要だ。と直感が言ってる」
何、言わせたいの?と言わんばかりのキースが照れくさそうにそう言った。
「はいよ、悪いやつには見えなかったし賛成ー」と、ドドル。
「あの子も苦労する、賛成」と、リカ。
「なんだその言い方」
「別に……」
ドドルがリカに突っ掛かっている。だけどそれはいつもの風景でキースは答えが決まったことをナナシに伝えに行くのだった。