魅了魔法しかない序章5
名前をウルシから名無し・ナナシに変更しました。
ダース・トーチ・ウルダ。
大柄の男で年上に見えそうだけど実は15歳。僕と同じ年だということが発覚する。Eランクの依頼を受けるために必要なパーティーを増やすために、彼に声をかけた。
結果は、運良くパーティーをすぐに組むことが出来た。名前を教えると、軽く勘違いされたみたいだけど冒険者登録の時も名無し・ナナシで登録したのでそういうことにしておく。
魅了魔法のせいで名前を奪われた僕である。
「さてと、早速一つ依頼を受けてみたいんだけどダースは一応先輩じゃん?何か良いのは無いかな」
「無い。俺は壁役だけをする。討伐の依頼以外はするつもりはない」
なんということだ。
馬鹿の一つ覚えみたいなワガママを言ってきたぞ。
困ったな。これじゃ討伐依頼しか受け入れられそうにない。Eランクって何でもしなきゃランクを上げられないほど厳しいものだって聞いてる。えっと、ダースはEランクなんだよね。物言いが高ランクの人みたいなんだけど。
これが嫌われた理由かな。うん……、分かりやすくて結構です。
僕は依頼をひとまず見ていくことにした。
討伐関連は見ても意味ないから、それ以外だと何かな。
貴婦人の雑草駆除なんてのがある。
内容は雑草駆除だね。広い庭の雑草を根元からしっかりと抜いてほしいということだ。火の魔法で焼き払うのが主流だけど、冒険者で成り立っている町ということで、こういう風にランクの低い冒険者でもこなせそうな依頼を出してくれてるのかな。他の依頼も似たような物が多いようだ。
「これ、複数パーティー推奨って書いてる……」
僕は先程出会ったばかりの彼らを探した。彼らはまだ依頼を受けずに端っこで円を組んで話し合ってるみたいだ。
僕はそこに歩いていき、声をかけた。
「ちょっと良いかな」
「あん?誰だ?」
彼らのなかには僕のことを知らない人もいる。さっきいなかった男が睨み付けるように声を返してきた。
それに反応した彼が、「ああ君か」と言いながらこちらに顔を向けてくれた。
「キース、さっきぶり」
「おう、さっきぶり。そういえば、聞いてなかったわ。名前教えろよ」
「名無しね、よろしく」
「ナナシか、それで何のようだ?」
「これを見てほしい。そして一緒に依頼を受けてほしい」
キースに見せると彼は笑った。
「ちょっとコイツらと相談させてくれ」
「待ってる」
そして彼らが話し合った結果、協力をしてくれるらしい。