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魅了魔法使い不幸者の称号2

このお話(アルベドの話)は殺人、殺傷を認めるものではありません。そしてそれら傷害の行為を推奨していません。


書いていて、思ったのでここに書いておきます。

眼を開けるとアルベドが泣きながら笑っていた。正直、絵面が酷すぎて「気持ち悪い」と思った。


「てめ!目覚めてからひでぇこと言うなよ……」


「声に出してたかぁ」


「ちなみにさっきまで何があったか覚えてるか?」


アルベドは心配そうに声をかけてきた。


さっきまでに起きたことを僕は声に出して確認してみる。


「アルベドさんから色々と言われてキレてしまった僕は、スキルも魔法も全開でアルベドさんを殺そうとしました」


「……あってる」


「殺そうとしたらアルベドさんから怒鳴り声がして、体が動かなくなりました。アルベドさんが魔獸に見えました。そしたら間髪いれずにアルベドさんに殴られてから記憶がありません」


「そう、だが一つだけ言えてないことがある」


「それは?」


「お前の素性については何も言わないし聞かない。それを踏まえた上でお前は俺の指導役を務めることにした。お前の力は、お前の体に合っていない。そこまで鍛え上げることが俺達の目標だ」


「……僕の指導役をしてくれるんですか?」


思わず声が震えた。


「僕はアルベドさんを殺そうとしました……」


今更だが人を殺そうとしたことを後悔し始めた。キレてしまったのは理由にならないと思う。普通に考えればアルベドさんの主張と正しいと思う。無理に冒険者をすれば命を捨てることになるだけだし、そこを考えて言ってくれていたかもしれない。


「誰だって、一度や二度人を殺そうとしたことはある。だが行動を起こせたものは一握りだ。何故だか分かるか?」


「……わかりません」


この人は何を伝えたいのだろう。


「明確な目的がなかったからだ。一握りの人間はその目標のためにどんな努力も惜しまない。お前にはそれが出来ると、さっきの戦いで証明された」


「……でも、今の僕には目標なんて無いんです。分からなくなってしまったんです」


「なら俺が決めてやる!お前の名前は?」


名前なんて無いんです。ナナシしか名無しって名前ですか?


涙が溢れてくる。


「……名前もか。なるほど、ナナシは偽名ってことか」


肩がびくりと震えた。ほんのすこし、ほんの少しだけ自分の名前を言うことを躊躇うと、アルベドさんは躊躇なくそれを推理した。


「なら俺が決めてやる!お前はナナシだ!名前がないナナシじゃねえ。お前はそこにいるお前がナナシだ。それでいいだろ?」


頭の上に大きな手が乗った。撫でられるのが久しぶりで涙が止まらないんだ。アルベドさんの優しい声に僕はもう何も語れなかった。顔を上下に何度も振って頷きながら嗚咽して泣いた。


「アルベド・ルルカの弟子、【ナナシ】はこれから強くなる」


「ああ、う゛ん!う゛あ゛あ゛!」


「そんなに泣くなよ。ここは修練場なんだぜ?ちっ、人目に付く上に悪目立ちだな。場所を変えるか」


大人の男性に背負われて僕は泣きながら、移動を始めた。


僕はここにいる。


今、ここに存在している。


それを何でもいい。認めてくれた。


名前をくれた。


ありがとう。ありがとう。僕はここにいる。










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