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魅了魔法使い不幸者の称号1

ひやり、したした。


体が冷たい。何事かと起き上がると暗く一寸先も見えないような霞む場所に僕は眠っていたらしい。先の記憶は残っている。といっても殺られたときの記憶だ。


アルベドさんにかなり容赦のない拳を叩きつけられてそこから意識がなかったことも覚えている。ということは眼が覚めてもよく分からない場所で起きたという事で僕は死んだのだろう。


「……あー、やっと死ねた」


死にたくなかったけど、死んだあとのこの感じが【死】ということならば、これまでの気持ちも棄てて死ねたことを今は喜ぶべきかもしれない。あんな誰にでも生まれながらに備わるモノの世界でそれを隠しながら生きるのも辛かった。


「なんだよ。見限られて尚ソイツに殺されるとかツいてないわ。運も何もかも見放したか。死にたくなかった。よく分からないけどそれだけを目標にしてたから今の感じは虚無感!虚無感!あっはっは!はは……」


笑い声もこの場所の闇に飲み込まれて溶けていった。


「ここは、どこだ?」


ようやく僕は誰もが最初に発するだろう言葉を吐いた。


「全くじゃ、普通なればそれをまず言うじゃろうに」


「!?……ひっ!」


声が聞こえる。姿は見えない。驚いて体が後ろに後ずさろうとしたが、先に後ずさっていた手がすっぽぬけた。僕が座っている場所以外に足場はないのかも。


「お主は死んでおらんよ。ここは生と死の狭間にして己と見つめ合う、そうじゃな。ろまんちっく!な場所であるぞー!」


体の力が抜けていくような腑抜けた声に緊張もどこかに行ってしまう。


「あなたは誰ですか?」


「ふむ、せっかく久しぶりの来客で会話も楽しみにしとったが翌々考えればお前は魅了魔法の熟練度が10も満たないのであったな。それでは邂逅と呼べぬ。まずは30まで上げてこい‼話しはそれからじゃ!この魅了魔法使い不幸者め!」


「は?」


魅了魔法使い不幸者って、長すぎだろ。とツッコミを入れようかと思ったら視界が落ちた。何も見えないし聞こえなかった。





次に眼を開けたときは、見たことある場所と何故か焦っているアルベドの姿だった。


「死んでなかったー!あっぶねぇぇぇぇ!!!」


「いや、あれ、何かあったような」


何かに遮られるように思い出せない。


さっきまで何かあったような。


とりあえず、僕は生きていた。


うん、今はそれだけ。

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