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第二章

その出来事は何の前振りもなく、しかし確かな兆候を見せながら私の前に現れた。

ここからは私の所謂自己紹介のようなものを交えながら数年前ほどまで遡る事ことになることの始まりについて述べようと思う。

十二年前、この国で別格と称されるほどの地位と名誉を持つ三大公爵家の一角を担うカーミリア家の令嬢として生まれた私は、自分で言うのもなんだがすべてに恵まれている。

誰にも踏み荒らされることのない新雪の如き純白の肌に薔薇色の頬、紅を挿すことがなくとも真紅に色づく小ぶりな唇、零れ落ちそうと形容されるアメジストの少し釣り目勝ちな瞳。そして、腰まで伸びた絹のような白銀の髪の毛は程よいウェーブがかかっている。

そしてそれら全てが絶妙に配置されている。

まるで高名な人形師に作らせたアンティークドールのようだといったのは最近少しだけませてきた優しい婚約者様だったかしら?

自分から見ると人形というにはいささか身長が高すぎるのではないかと思うのだが、激しい反論に合うことは容易に想像できるので口には出さない。

もちろん優れているのは容姿だけではない。

頭脳面では特に記憶力や応用力に優れ、一度授業を受けた内容は全て忘れない。運動は…悔しいが弟には劣るとだけ言っておこうと思う。

仕事が忙しいはずのお父様と美しくお優しいお母様は周りが辟易するほど子煩悩で、二人とも社交界の関係やお仕事であまり家にいられないこと以外は本当に非の打ち所がない。それに私にはその寂しさを補って余るほど素晴らしい方々が周りにいる。

一人目は私の目に入れても痛くないほど可愛い弟のクローブ。

私と同じ色の髪の毛と父譲りのサファイアのような蒼穹の瞳を持つ一つ下の弟の可愛さはもう本当に筆舌に尽くしがたいほど素晴らしい。

残念ながら誕生の瞬間を見ることはかなわなかったが、物心ついたころからずっと一緒にいた弟との関係は、私の婚約者様が焼きもちを焼いてしまうほど良好だ。

そしてその婚約者様こそ、私のもう一人の大切な方。

私の家と同じ三大公爵家であるモーネル家の令息、アルバート・モーネルその人である。私と同じ十二歳にもかかわらず既に少し見上げるほど背が高く、漆黒の短髪に燃え上がる程赤い瞳を持つ彼は少し目つきが悪く、一見すると怖そうに見える。しかしその内面は、とても優しく暖かい。それはもう、婚約者である私をでろっでろに甘やかしてくれるのだ。それは恥ずかしくて少しくすぐったいが、とても嬉しい。少し嫉妬深いのを可愛いと思ってしまうのはやはり惚れた欲目だろうか?

ああ、改めてみると本当に自分は恵まれていると実感する。まるで、誰かが作り上げた設定のように、出来すぎているといってもいい。

このように、私が一見自己愛の強すぎるように見える自画自賛をするのには、ある唯一にして最大の理由がある。

それを話す前に、あえてあなたに問おう。




あなたは転生というものを信じますか?




もうちょっとで他のキャラクターが出てくると思われます!

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