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日常生活は終わった

強く、生きていくことに決めました。

 春。新学期を迎え、始業式の終えたあと。俺達オタク三人組はいつものように誰も居なくなった教室で駄弁っていた。

「ほうほう。で、お前のそれはまだあるのか?」

と俺が聞く。

「おう。確か押し入れの中にしまってあったはずだ。だが二度と取り出したくはないな………」

相手は思い出したくもない、というようにブルっと体を震わせる。

「おいおい、そりゃあないぜ!そこまで細かい設定まで聞いて寸止めじゃ、後味悪いじゃねぇか!」

俺が慌てて詰め寄ると、

「じゃあお前も持ってくるか?どうせお前らも持ってるだろ。それを持ってくるなら、考えてやらんでもない。」

その言葉に、俺らふたりはピシッと動きを止める。


つぎの日。

朝から早速集まったほかの二人に話しかける。

「………持ってきたか?」

体を硬直させながら

「………はい。」

「ああ。」

と答える二人。

「な、なぜだろう、震えが止まらないよ。」

少し青ざめた顔をしているのは古戸 遼〈ふると りょう〉。

我々三人組の中で随一の頭脳を持つ男。

外面がよく、他人に対してはほとんど敬語を使う。中身を知らない人は、相当いい子に映っているんだろうな。

「大丈夫だ、お前だけじゃない」

そう言って額にビッシリとかいた汗を拭いているのは佐藤 安司〈さとう やすし〉。

三人の中で唯一対人スキルがあり、暴走しがちな二人のストッパーとなっている。

「まあ、見せ合うのは放課後だからな。あまり気にせず行こうぜ」

そう言って俺こと杉本 忍〈すぎもと しのぶ〉は額の汗を拭いながら自分の席に戻る。


カバンの中身が気にかかり、全く授業に集中できないまま放課後になった。

「ついにか………」

俺は家から持ってきた本を手に取る。

遼、安司の二人にもそれぞれ一冊の本を手にとっている。

いずれも分厚く、自分で自作してあることがわかる物だった。

「これが………俺の黒歴史本だ。」

震える声を抑えながら、二人に表紙を見せる。」


黒歴史本。

厨二病を患った人ならば、一度は作ったことがあるであろう、『イタい』設定。

自分は〜の生まれ変わりだだの、俺は〜の力を持っているだのという、今思い出しただけで鳥肌物の設定達。

厨二病が治ったあとに当時自分がどんなことを言っていたかを聞いただけで当人は卒倒し、のたうち回る程のもの。

しかし当時の自分らは嬉々として新しい設定を考えていく。

そして一部の人は、何を思ったのかその設定を事細かにノートなどに記していくのだ。

そして三人は、その一部の人たちだった。


話の始まりは前日。その日も三人で残っていた俺らは、会話の中で黒歴史本の話題が出てきた。安司の設定を聞くうちに実物の本が見たくなった俺と遼の二人は安司に交渉。その結果、みんなで見せ合うならばいいということになった。


その時の俺は、自分のは過去に捨てたと思っていたので、一応探しては見るものの、なかったぜあっはっは〜て終わらせようと思っていた。しかし…

あった。しかも超特大のものが。

当時の俺よ………お前は一体何を考えていたのだ………

嘆く言葉も虚しく、されど持っていかないわけにもいかず(混乱した時に安司から電話がかかり、一発でバレてしまった)、ついにここまで持ってきてしまった。

ちなみに、中身は見ていない。中身を想像するだけで発狂するからだ。


アイコンタクトをとり、三人同時に恐る恐る本を差し出すと


「おいゴミども。いつまでもこんな所に残ってんじゃねぇ!」


慌てて本を隠しながら振り返ると、そこには嗜虐心たっぷりのゲスの姿が。

後ろに金魚の糞をまとわりつかせながら、偉そうにふんぞり返っている。

名前は………なんだっけ?俺は興味のない人の名前は覚えないたちだから本当に知らない人扱いだ。

名前を教えてもらおうとこっそり安司の方を見ると、『え〜名前いうのめんどくさ〜い〜』なんて顔をしてた。

「「いや、お前の方がめんどくさい」ぜ」

と、一応返しておく。

「おい!無視するな!」

え〜と、名前は………確かどっかの会社の坊ちゃんだったな。じゃあボンボンでいいや。

ボンボンは俺たちを睨みつけながら言う。

「お前ら社会のゴミがいるだけでこの学校の迷惑なんだよ。さっさと出ていけ」

いやまあそうなんだろうけどねぇ…

そう思うのも無理はない、と思ってしまうのは、この高校の風潮にも理由があるのかもしれない。


国立真皇〈しんおう〉高校。

有名大学への進学率が高校や予備校なと全てを含めた中で一位。

運動部は全て全国大会上位。

さらに本校OB、OGの多額の支援により設備も充実しているという超超超超エリート校。

運動部率は奇跡の100% 。入部率はほぼ100%。

この『ほぼ』というのがポイントなんだ。

つまり、この三人。部活をしていないのは俺らだけなんだ 。


遼が学業推薦で真皇高校を受けるというので記念に、ということだったのにあれよあれよと言う間に受かってしまったのが去年の二月。

喜んでいたのもつかの間、部活に入らないと言った途端に周りからかなりのバッシングを受けてしまった。

栄光を授かるチャンスがあるのにとか、人生を棒に振るつもりかとか、とにかくたくさんの非難の声を聞いた。

だが、それでも頑なに部活に入らず、今のこの状況に至るわけだ。

この高校に在籍することを誇りに思う人達には、俺たちは目障りでしかなかった。


「ん?何だこの本は」


思いを巡らせていて、ぼーっとしていたのが悪かった。いつの間にか俺の本がボンボンに奪われていた。

周りにはいつの間にか生徒会の連中(名前をパッと思い出すことができない)までもやってきていた。

「返すべきだよ」

「うるさい!俺に指図するな!」

カイチョーとボンボンは言い争っていて、本から注意が逸れている。

「返せよ!」

安司はボンボンの手から本を叩き落してくれていた。

今だ!

と三人同時に飛び込んだ。

後ろではボンボンを生徒会会長が抑えてくれていた。ナイスだカイチョー。


そんな光景に気を取られていたせいか、俺は目の前の異変に気付くのか遅れていた。


「あっ」


と言う安司の声に振り返ると、そこには真っ白い魔法陣が。




俺たちは魔法陣の光に包まれた。

どうも、タバサでございます。

どうだったでしょうか?楽しんでいただけたら幸いです。

今は冒頭部分なのでどうしてもつまらなくなってしまいますが、どうか御了承下さい。

また、本編である『ヲタクな我らは異世界では強く………』も面白いですよ!是非に見てください。

さて次回は、異世界に巻き込まれた我々は、とある意外なことを告げられて………?

まあ、だいたいわかるけどね。ご期待ください。

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