赤い光
初めまして、きのこというものです。
このサイトに来て、初の投稿作品です。
勢いで書いた物なので、読みにくいかと思いますが
どうぞ楽しんで行ってください。
夜空に、赤い光がポツリと灯った。
ポツリ、ポツリ。赤い光は、一つ、また一つと増えていく。
1つ、2つ、3つ…。ボーッとその光を眺めながら、僕は夜空に浮かぶ光を数えてた。
「…なんだあれ」
ポツリと口に漏らした。光の灯火は消えない。
「UFOじゃないか?」
「うわぁ?!」
背後から、聞きなれた声がした。突然の声に、僕は情けない悲鳴を上げる。
「に、兄ちゃん?!いつからそこに…」
「あ、月牙、見ろ」
再び夜空に目をやると、赤い光は弾けるように暗闇の中へ消えて行った。
「不思議な物を見たな。なんだったんだろうなぁ?」
そう言うと、兄はくすりと笑った。
「それにしても月牙ぁ、あれは驚きすぎだろ!」
「に、兄ちゃんが急に話しかけて来るのが悪いんだろ!」
今だに驚いて鳴りやまない心臓を抑えて、僕は怒鳴りつけてやった。
僕の名前は杉山月牙。普通の生活を送る男子高校生だ。
「はは、すまなかったって」
そして、僕の兄、杉山太陽。かっこ良くて、何でもできる、僕の自慢の兄だ!
「もう、今度は気をつけてよね!」
ぷぅ、と頬を膨らませながら、僕は窓を閉める。
「くくっ…あの月牙の顔といったら…」
そんなに面白かったのか、兄は腹を抑えてくすくす笑い続けてた。
そんな兄を無視して、僕は思いっきり話をそらす。
「ねぇ、あれってUFOかなぁ。ちぇ、兄ちゃんが脅かすから、ちゃんと見れなかった」
「そう怒るなって。きっとまた会えるさ」
そう言うと兄は、ベットにドカリと座り込んだ。
「ほんと、月牙はそういうの好きだよなぁ」
「まあね」
僕は、小さい頃からオカルトモノが好きだった。幽霊とか、宇宙人とか、怖いとは思わない。むしろそういう非現実な事って、わくわくする。宇宙人や幽霊と、話が出来たらなぁ…
「そんなんだから友達が少ないんじゃないのか」
「よ、余計なお世話だ!」
兄の言うとうり、僕は友達が少ない。それも、変わり者だから。自覚はあるけど、別にいいんだっ
それに、僕には、いや…僕らは、他の家庭とは少し違う。
僕らの両親は、数年前に行方不明となった。
僕がまだ小さい頃。家族で旅行に行った時だ。
ホテルに泊まってた時、狭い一室で、家族と寝たのを覚えてる。
中々眠れない僕を、父と母があやしてくれたっけ。
……朝起きると、母と父の姿はなかった。
一番初めに気がついたのは兄だった。あの頃はまだ小さかったから、事の重大さをあまり感じてなかった。
大きくなった今考えると、謎だらけの事件だったと思う。
目撃情報もない。監視カメラにも両親の姿は見つからない。
大規模な搜索が行われたけど、それらしき跡も見つからない。数年に及んだ搜索は、ついに打ち切られてしまったのだ。
今では、兄は社会人として働いてるし、僕も最近バイトを始めた。不安定な収入だけど、二人で協力して頑張ってる。
学校の友達も、近所の人も、この事件のことは知っている。
だから、皆何故か僕と距離を置こうとするのだ。
…まぁ、確かに僕は変わった奴だから、それで友達が出来ないだけなのかもしれないけど…
「さて、もうこんな時間だしな。そろそろ寝ないと」
と言って兄は、僕の部屋を出る。
「そうだね、お休み」
「あぁ…お休み」
兄に軽く挨拶をしてから、僕は電気を消して布団に潜った。まだ冷たい布団の感触に体が震える。
ふと、窓の外の夜空を見上げた。
変わらず星は輝いている。
赤い光は、もう見えない。
第一話、おしまいおしまい。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
さて、ここから月牙の運命はどう発展していくのか。
こうご期待。