二度楽しむ物語
子どもの頃、とても面白かった物語があった。
題名は忘れてしまったけど、よく覚えている。
子どもとお父さんが手をつないで帰る最中、横断歩道で待っていると、お父さんが子どもに、信号機を見ているように言う。
お父さんがタイミングを見計らってから。「えいっ」と言うと、信号の色が変わって、子どもが喜ぶという物語。
その子どものように、その時に子どもだった私も凄いと思って、楽しいんでいた。
その劇をやったのも覚えている。
私は信号機の役だったことも、ちゃんと。
でも、題名だけは思い出せない――――――
――――――それから、幾年。
偶然立ち寄った本屋で、その物語の書かれた本を見つけて、思い出した。
今になって思えば、あれはただ、お父さんが信号の変わるタイミングを見て「えいっ」と言っていただけ。
分かりやすい、子どもだましの方法の一つ。
それなのに、子どもの時の私はとても楽しんで読んでいた。
そんな時を思い出して、また楽しい気持ちになることが出来た。
違う視点で見れば、思うことは異なる。たとえ同じ人でも、年月が経てば必ずこうなると思います。
自分にしては珍しい物語になりましたが、楽しんでいただければ幸いです。
感想及び評価、お待ちしています。
それでは、