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勇者って何だろう

※残酷描写一応ありますのでご注意あれ

 ドゴォォォオオン!!

 激しい轟音とともに地響きで足下が揺らぐ。

 地面に這い蹲っているのは巨大な鳥。可愛らしさとは縁のないその姿だが、今は哀れなほどにズタボロだった。


 最早その翼で空を飛ぶ事もできず、泥だらけになりながら、ようやく顔を上げた魔鳥は……甲高い悲鳴を上げる。


 ザリ、ザリ、と音を立てながら、のんびりとした足取りで近寄ってくる男を、怯えを滲ませた瞳で見上げる事しかできない。



「───終わりだ」


 無情なその言葉を聞く事もできなかった。

 耳障りの良いその声とともに振りあげられたその拳が、巨鳥の頬にめり込んだ。


 再び、地響きと共に崩れ落ちた巨鳥は、今度は起きあがって来ることは出来なかった───。




「なあ……聞いていいか、フィリス」

「なあに、ライル」


 その戦いを、湿原の片隅でぼんやりと見ながら、ライルはもぐもぐと固い干し肉を()む。


「俺って、一応……勇者だよな」

「ええ、そうね。……一応、勇者ね」

「ああ、一応な……」

「そう、一応……」


 どこか遠い目をしながら呟くライルを、可哀想なものを見る目でフィリスは見つめながら、淡々と返す。


「何で、こんな所で俺観戦してんだ?肉食いながら」

「そりゃ、カインが解毒薬がもったいないって言ったからでしょう?」


 毒を撒き散らす魔鳥。

 ライルが一度切りつける度に、その傷口から飛び散る血で、自然と毒を受けてしまうのだ。

 一撃くらわせる度に解毒薬を飲むライル。


 暫くは背後で眺めていたカインが、もったいないの言葉とともに、突然ライルの襟首をひっつかみ、ぽいと背後に投げ捨てたのは、ほんの少し前だ。

 なのに───



「あいつ、後衛だよな」

「そうね、白魔道士だしね」

「何で素手で倒せるんだよ!!あれでも一応ここいら一帯のボスだろう!?」


 おかしいだろう!?そう叫ぶライルに、フィリスの瞳がさらに哀れな者を見る物に変わる。

 何で、と聞かれても今更だ。


「だって、カインじゃない」


 呆れたように言い切るフィリスに、叫んでいたライルもまた、ふと我に返る。


「ああそっか、カインだもんな」

「そうそう」

「そうだよな」

「うんうん」


 色々諦めたライルは、血飛沫一つ浴びず、拳だけで巨鳥を倒したカインを見遣る。

 今も、倒した喜びや達成感など微塵も浮かべず、その腹を掻っ捌いて何やら紫色の内蔵を取り出している。


「ちょ、カイン!それをどうする気だ!!」

「どうって、薬の材料に決まってるだろう。毒をもって毒を制す───先人はよく言ったものだ」


 平然と告げるカインに、ライルは声を上擦(うわず)らせながら叫ぶ。


「それ使うの俺らだろうが!!」

「……当然だろう、俺は後衛だからたいして攻撃を受けん」


 いや、前衛後衛以前の問題で、お前に攻撃喰らわせた奴はいないだろうが……


 内心のつっこみを言葉にする事も出来ず、ライルは必死に、そのおどろおどろしい内蔵を空になった小瓶に入れようとするカインを止めようとする。

 だがそれで諦めるようなカインではない。


「これを飲むのが嫌なら死ぬ気で攻撃を避ければいい」


 そうすれば、薬ももったいなく無いしな。そう告げるカインに、ライルとフィリス、二人の声が重なる。


「「それが出来たら苦労しない!!!!」」


 だが、一番の苦労はこの男の相手をすることだろう。


 だがその明らかな事実を口にするほどの命知らずはいなかったようで、なら、諦めて飲め。と瓶の蓋をするカインの姿を死んだ魚のような目で見ている事しかできない二人だった。

……今回の魔鳥の見た目のイメージはあれですよ、MHFのゲリョス(・ω・)b

そして相変わらずノリだけで書いているお話☆

そして内臓はちゃんと調合してから使いますですよ(どうでもいい説明)

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