二話
気が付いたら出すの遅れてました…。
すいませんでした。
お気に入りに入れてくれた方には感謝します!
ありがとうございます!
トラック特有の低いエンジンの音をあたりに響かせつつ、草原を駆ける。進む方向は北西、アーバンスと言う町だそうだ。
カーゴは二台用意し、前のカーゴは俺が、後ろから付いてくるカーゴが中田で分けて運転している。
後ろでは皆、ワイワイと騒いでいる。まるで修学旅行だなと笑みが漏れてしまうほどの心地よい騒がしさだ。
「う~ん、話すんのもなんだが、ここは歌ってみようぜ?」「はぁ?今いい感じでこいつとのじゃんけん勝負連勝中なんだよ。」「俺は歌うぜ!」
「あはははは!小学生か!お前ら!」
つい突っ込んでしまったけど、笑いが止まらない。すると悪乗りしたのか歌うぜと言っていた奴がこぶしを握り、歌い始めた。
曲名はカント○ーロード。帰れる道はないけどね。
すると、隣の奴がそいつと肩を組んで合唱し始めた。これが始まり。
俺たちは草原の真ん中で、アホみたいに熱唱しながらアーバンスを目指すのだった。
少し時間が経ち、少し静かになった車内を見る。疲れたような奴らがいっぱい眠っていたり、考えごとに浸っていた。
しかし、どう見ても中学生か高校生、もしかすると小学生くらいの乗りだったのでは?と冷静になった頭で考えて顔を赤くする。
恥ずかしいことをした。そう思うことを中断させるために、コンパスを確認する。うん、進路方向はこのままだ。
そしてもう一度前を見た時だ。視界に入ったのは草原の中にぽつんと小さい家が並んだ町だった。
まわりは柵に囲まれており、門が一つ作られている
「皆!街が見えてきたよ!ほら、町だ!」
俺がそういうと一斉にがばっと起き出し、ただでさえ小さいというのに窓から見ようとする。
見えねえんだけどね。
しかし、なんか意味の分からないことになっているな。そう思ってしまうのは、門の前で大荷物を持っている人がいっぱいいたからである。
「なあ、会計。大勢の人がすんごい大荷物抱えてありゃあなんかのお祭りか?」
「いいえ?そんなものは…!もしかすると、モンスターに襲われる前なんじゃあ?」
「「「「「えええええ!」」」」」
「それなら早く向かわないと!」
『こちら02部隊、何かあったんか?』
「中田!全速力だ。ついてこい!」
『はぁ?いきなり無線かけといてそりゃね』ブツンッ
「全員、備えろ!」
いきなりのモンスター発言により、俺は驚いたが、すぐに02部隊長に全速力で来いと命令し、アクセルを思いっきり踏む。
スピードメーターが少しずつ上がっていくにつれ、エンジンの音が恐ろしいことになっていく。それよりも、車体の揺れ加減の方が少し心配ではあるが…。
「ぎゃああああ!」「うおおおおお!」「いででででで!」「何なんだ?何があったんだぁ!」
訂正、ものすんごく心配だ。しかし、かまっている暇はない。
急いでその町の門まで行き到着したのだが、周りの目が痛く、兵士まで出てきた。
「だ、誰だ!ここ、これは何なのだ!」
やはり警戒される。怪しい者じゃないと言っても聞かないだろう。
少し話す内容を考えつつも、まず降りて言う。
「俺たちは旅の者だ。あー、何やら騒がしいのだが?」
「そ、そうなのかい…?なら、帰った方がいい。クラス・SSS級のモンスターがこっちの町に進路を変えた。もうこの町は、守れない……!」
何やらヤバそうなモンスターがくるそうで、ここの兵士じゃ人数不足、もとい戦力不足で進路方向を曲げることが出来ないらしい。
すると、いつの間にか降りていたっぽい会計が近づいてきて言う。
「あ、あの、それなら、王都から援軍を呼んだらいいんじゃないでしょうか…?」
「なるほど、会計の言う通りだ。」
「勿論、しましたけど、王都はここからとても離れていて……。最低でも三日はかかるのです。」
「そんな…。」
会計の案はもう潰れていたらしく、打つ手はないっぽい…。
そんなことを思っていると中田が出てきた。
「おい、会計。この話を聞く限り俺たちがやんなくちゃ、いけねえよな?」
「え?戦術担当の何かが働いたのですか?」
「いや、作戦なんかは特に思いつかねぇ。それよか、地形さえもわかってねぇんだぜ?あいての弱点もわかんねぇし、相手さえも知らねぇ。そんな中作戦は立てられねぇよ。」
「まあ、当然だな。会計、敵はどんな奴なんだ?」
「あ、はい。たしか――――
そう言って人差し指を空にピン、と向け、顔色が空と同じ色になった。すると、瞬間に
ズーン………
ズーン………
小さい地響きがなり、大きな大きな竜みたいなものの全体が見えてきた。
そして、会計は青い顔をしながら指の向きをこてりと曲げ竜っぽいものの方へと向けた。
「……………あれですぅ…。」
「「えぇぇぇええええええええ!」」
こいつはやばい、なんてもんじゃねーぞ!そう思いながら、隊員たちの乗っているカーゴに向かう。
「全員、外に出ろ!迅速に!」
「ん?何なんだ?」「つーか今の地響きは?」「閣下、さっき急にスピード上げたけど、何だったんだ?」「げぇ!なんじゃありゃあ!」
「か、閣下!あ、あれは何ですか!」
「今回、お前らが戦う敵だよ。」
答えたのは中田だ。俺じゃない。
「待て、あんなのとは戦えんだろ!第一、お前作戦をつくれるような場所じゃねぇって言っただろうが!」
「あれを見ろ。」
すっと腕を伸ばして人差し指をある場所に向けた。
「会計、奴の弱点はあの首だな?」
中田は会計にそう聞く。なるほど、確かにでかい傷が一つついてる。
もし弱点だとしたら…。
「は、はい、そうですけど。どうやってあそこまで?」
そう聞いた中田はにやりと笑い、奴の方を向く。
そして、中田の指先は奴の隣に指した。
「まさか、ネタ兵器を使う気か!」
「そのまさかだ。カタパルトを使う!」
カタパルト
別名、投人機。またの名を人間大砲と呼ぶ。(俺たちの中では)
『戦場』では投人機隊というものがあり、カタパルトに乗り、結構上まで飛んで行き、相手側の陣地へと逝く。
奴らはとても強い勇気を持っている。
しかし、上から落ちてくる人間を発見する側にとっては、何とも笑える様であり、すぐに撃ち落とせる只の的である。
彼らとクラン同志の戦争を行ったことがある。
勿論我々は勝ち、彼らは負けたが、カタパルトの乗り方などをレクチャーしてくれたとても優しい者たちでもあった。
閑話休題
「だが、見ただけでビル四~五階建ての高さは有るぞ?落ちた時はどうする?うまく乗れなかったら?」
俺は有りうる危険性(他にもあるが)を聞いてみる。
すると、中田は少し考えるような恰好をすると三秒くらいで答えを出した。
「そうだな………まずは小型ジェット噴射機を使う。上手く乗れなかったら、奴の体に引っ付いて登ってもらう。ピッケルでな。」
ピッケル
これはとても一般的なもので、登山用の物だ。装備欄ではアクセサリーである。
これを使って氷の山を登った奴もいる。ゲームの話だが。
そしてもう一つ、小型ジェット噴射機。
こいつは建物から落ちる時に、地面にギリギリ当たる!という時に炎を噴射し、落下ダメージをほぼ軽減してくれる物だ。
特にカタパルトを使うものにはとても必要なアクセサリーだ。
「なるほど…うん、行けるかも。」
「そして行くのは俺たち、カタパルト隊で行く。お前らは戦車に乗って、奴の注意をひきつけろ。奴の知能は知らんが、条件がそろえばいける。作戦名は竜殺しだ!」
「風、天候、進路方向、多分だが、行ける。今がチャンスかもしれない。」
「あの、スルーしないで?」
奴はそのままこっちに向けて進んできている。最悪、進路方向を曲げればいいんだ。
俺は難しい顔をするのをやめて、ただやつを見る。時速はだいたい十キロ……だと思う。
一つ頷いて後ろに振りかえり皆に作戦の概要を教える。
「皆、良く聞け!我々はこれより、あのでかい竜を反らす!制限時間は約五十分!俺たち01部隊は戦車に乗れ!02部隊は中田について行き、奴の首へ登れ!カタパルトをすぐ展開できるように準備を怠るな!我々の初勝利を、最強からもぎ取るぞ!」
「「「「「イエス、マム」」」」」
「やってやるぜ!」「い、行けるかな?」「無理だろ!町一つつぶす奴だろ?」「俺らの命も一つだけだろ!何も戦闘をしない方が…」
「求めてたよ、こんな日を…!」
「まて、ウェルキン。何でお前はそんなにテンションたけぇんだよ…。」
「いや、あはは…。」
苦笑いをするウェルキン。でも、何か今はとても頼りになりそう。
「皆、俺たちは近代兵器を持った兵士たちだ。が、それ以前に一人の人間だ。やめたいものは残っててくれてもいい。」
すると、あら不思議。誰も文句を言わなくなった。
……え?何で?皆?
「それは卑怯だな。」
「何がだ中田?ねえ!何が?」
「ううぅ、あんな涙目されたら…」「チクショウ!やってやる!」「ご、御馳走さま…グフ」「サリバーン!」「も、元より閣下の仰せであらばやり遂げて見せましょう!」
「あ、うん。だいたい分かった。」
チクショォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!
心の中でそう叫ぶのは俺だ。こういう反応をするということは、結構可愛いんだろう。
男の時に見たかったぁぁぁぁああああああああああ!
とても泣きそうになった。
「そ、それじゃあ、作戦名、ド、竜殺しを始める!」
「「「「「イエスマム!」」」」」
「…覚えててくれたのか……」
こうして俺たちは、初めての戦闘を開始した。
「中田。」
「ん?」
「お前って、中二が抜けてなかったのか?」
「うわああああああああああああ!
「な、中田!中田ーーーーー!」
次回、戦闘!