一話
最後らへんは主要な人物の名前を書いております。
他の約三十名くらい?の事が知りたいのであれば、感想欄からお願いします。
それによっては書かせてもらおうかと…。
気がつくと草原のド真ん中だった…。
「はい?」
少し意味が分からず、仰向けのまま空に向かってそう呟いたのだが、今の声は誰のだ?と疑ってしまうような可愛い声が聞こえた。もちろん、俺の声?だ。
何か嫌な予感がした俺は立つ用意をしようと足を動かし、腕も使い、上半身を起こす。そして、そこには『ないはずのもの』があった。
すかさず手を下にしてみると、どうやら『あるはずのもの』が無くなってしまっている……。
とととととっとっとっととりあえずおちおちおちつつつんけんつんけんつけぃ!
心を落ち着かせようとするが、動揺しすぎて出来ないようだ。しかし、顔の向きを下にして装備を確認すると自分がどんな姿になったかが分かった。そう、凛夜になってしまったのだ…!
「なんてこった……。」
驚きを越して逆に冷静さを取り戻すが、冷汗は止まらなかった。
とりあえず立ち上がり、周囲を確認する。そこには、大の字で寝ているあの時の参加者たちのキャラだった…。
少し、というより結構不安が消えていき、まずはエンジェル中田を起こそうと隊員たちを一人ずつ確認する。ほとんどが男だ。ゲームキャラクターだからイケメンである……。……チッ
気分が最悪になりかけたぐらいの時、エンジェル中田を発見した。
「お~い、中田~。起きてくれ~。」
「……も少しだけ…寝かせt…。」
「……おぃぃ…?」
寝言が可愛く感じるのは、見た目が女であるからだ。俺達『戦場のダンデライオン』はほとんどが男キャラで、たった二人だけが女キャラでだが、俺たち二人は中身が男である。
可愛いとか思っていた少し前の自分に吐き気が…!とか脳内で呟きながらこいつの体を揺する。
「起きろ~起きろ~さもないと、アハトアハトが火を噴くぞ~」
「うわあああああああ、あ?」
俺達『戦場のダンデライオン』ではこれが起こす時の歌で、これで起きないやつは本当にアハトでぶちのめされる。
ちなみに、兵科を工兵にしていればアハトアハトをメニュー画面から設置が可能で、ノートパソコンみたいな形の物を設置して約二十秒後、敵味方関係なく使える仕様だ。しかし、設置から約二十秒間はそのノートパソコンを守らなくては使えないし、移動もできないのである。
こんなもので寝ている奴を叩き起こすのは、ここのベテランたちはあまりこの兵科を使わないからである。まあ言わばOASOBIで使うのである。
閑話休題。
「お、お前かぁ…。?…あれ?なんで画面の向こう側へ…?」
「画面の向こう側…?それよりも見てくれ!」
「すごく…美人です…」「そのネタはいらん。」
「とにかく、お前も自分の体をよく見ろよ。そしたら俺の気持ちも分かるはずだ。」
「……おお!ナイス無いチチ!」
「……はぁ~…。」
俺は今のこの状況をこいつにも知ってもらい、これからどうするかについて話し合おうと思っているのだが、こいつの頭の中はピンク色のようだ。
「っま、冗談は置いといて、や。こりゃ、良く分からんところにいるな…。」
「そうだ。そして俺の性別も変わった、というか俺たちみんな画面の向こう側のキャラになっちまった。」
「…。もしかすると、ネットで転がってる小説とかと同じパターンってやつじゃないか?」
「例えば?」
「MMORPGのキャラになって、その世界に行ってしまう~みたいな?」
「ほうほう…。」
こいつはたとえ頭がピンク色でも、まじめなモードに入るとすぐに切り替えて、いろんな素晴らしいアイデアを考えてくれる。もうひとつのあだ名は『戦術担当』や『参謀』である。
それより、俺はそういった小説を見かけたことがある。でも、そのほとんどは異世界に飛ばされていて、お城の中だったり、こういった何もないところ…
「…もしかして、異世界…?」
「…そういうことになっちまうね。とりあえず、そこで寝ている奴らを起こそうぜ?頭がいっぱいあると色々思いつくことが出来るだろうしな。」
「確かにな。」
「ま、俺っちはこのキャラ結構気に入ってるから平気だけどな!あはは!」
そう言いながら中田は手始めにそこらの隊員を起こし始める。俺もこいつらと話し合った方がいいと考え、ドンドン起こしてゆく。
俺たち二人を含め、三十六名全員が起きたので説明すると、動揺はしたもののそういう可能性があると受け入れ、色々アイデアを出してくれた。
「俺は死んだと伝えてくれ、グフ」「サリバーン!」「多分だが、この近くに町があるはずだよ。」「でもそれは小説内の事だろ?」「確かに都合よすぎるな。ご都合主義っちゅう訳じゃないし…。」
「あ、オレ、ここの世界知ってる…。」
…………は?
いつもどうりのこいつらは何というかとても安心させてくれると頬を緩めていたが、今、聞き逃してはならない言葉が…
「「「「「「「「「「なんだと!」」」」」」」」」」
「ヒィ!いや、あの!ここ、俺がやっていたMMOに似ているというだけで…」
「おお!ご都合主義や!何かあったんや!俺らには!」
「女神のご加護みたいな?はは、ワロス」
「とりあえず、そのゲームの事を聞かせてくれ。」
少し俺も驚いて、ちょっとした情報でも嬉しい俺たちは、この新人がやっていたというゲームについて聞いてみた。
「いや、ここの森が『ラルセタルの森』なら、この位置からだと多分北西だと思います……。」
「くそ!コンパス持ってっか?」「いや、持ってないが?」「っは!閣下!私たちの左手首にこんなものが…!」
位置情報が分かった?のだが、方位磁石がない。そこでまた迷うはめになるのかと思っていたら、左手首に腕時計型の方位磁石が付いていた。あ、ちなみに閣下と言うのは俺のことだ。
これは…もう、ご都合主義とやらの神様にお礼を言わなくてはいけないな…。
そう思いながら、その少し下にあるボタンが目に入った。
不思議に思いながらそれを押すと、
「こ、これは…!」
「な、何ですか?閣下…それはもしや、メニュー画面?」「え?どうやったんですか?」「それって、所謂ホログラム?」「技術は進歩したのだ…!」
こいつらの言っている通り、ゲーム開始時に出てくるメニュー画面がホログラムの様に出てきたのだ。
武器庫という項目を見つけ、それに人差し指をくっ付ける。すると一瞬ブレて、武器庫の中身が表示された。なるほど、タッチパネルみたいなものか。
そして装備したい武器を選び、右下の決定を選ぶ。今度は【お取り下さい】という文字が画面に出てきた。
「なあ、これはどうしたらいいと思う?」
「え、ええっと…」「多分だが、その画面?には奥があるんだよ…。」「嘘こけ、んなことがあるわけ…」
言われた通り、画面?に触れると、スッと何か違う空間に手を入れたみたいな感覚があった。
そして、入れて手前の方に自分のメイン武器があった。M16カスタム。
これは武器の改造もできる『戦場』ならではのオリジナル武器である。
「あるのかよ…。」「お、俺らもやってみねぇか?」「とりあえず閣下、指示を」
「よし、皆に命令を出す。あのときに持っていた自分の武器を用意しろ。」
俺はそう言って取り出した武器を持つ。ずっしり来るのに苦にならないのと、撃ち方から風向き、感覚を体が覚えているような、そんな不思議な感じに少し驚いた。
慣れるために、森に銃口を向けてサイトを覗く。うむ、この一連の動作は完璧に出来ている。
他のみんなも少し驚いていて、銃を向けたり、サイトを覗いたり、サブウエポンと変えるスピードを確かめたりしていた。
「おい!新人!味方に銃口は向けるんじゃねえ!例えお遊びでもだ!」「は、はい!」
「にしてもすげぇな、お前。」
「何だ中田。」
「だってこんな良く分からないところにいるのにさ、あいつらはお前を頼るんだぜ?それってお前にカリスマみたいなものがあるからじゃないかな?」
「そんなんはねえさ。お前も何か言えばついてきてくれるさ。あん時、戦争に誘ったのは、俺たちについてきてくれるいい奴らだけだからな。」
「それがすごいんだよ。画面外でもカリスマがあるってところがさ。」
中田が何かと褒めてくる。しかし、俺たちよりも、あいつらの方がすごいんじゃないかと俺は思う。
良く分からないところにいるのに、俺のオーダーを聞いてくれるのだから。そう思うとこいつらに感謝したくなった。
「あ、ところでさ、移動しなくちゃここでずっと暮らすことになるぞ?」
「それもそうだな…。そうだ、カーゴを使えばいいんじゃないか?」
「む、そうするか。そろじゃあ」
俺と中田は話し合ってトラックを使うことにした。トラックはメニュー画面から出すことが出来、これも設置から約二十秒である。
それよりも、みんなに伝えなくてはと思い、振り返る。そこにいたのは、
「おまえら…。」
「閣下、指示を。」「話し合いが決まったんでしょ?」「整列も出来ていますぜ?」
一列七人の五列整列が出来ており、軍隊らしくなっていた。
抑えきれない頬笑みが出てきて呟く。
「ありがとう」
と。
しかし、やはり俺たちのクランは馬鹿な奴の集まりだったようだ。
「うおおおお!微笑んでくれた!俺に向かってだ!」「バカか、俺に向かってだ!」「違うっちゅーの!わいにきまっとるがな!な!」「い、いや、僕に!」「ちげぇ!俺にだっつってんだろ?」
「……はぁ~…。」
一応、こいつらには中身が男だと伝えているんだが…。そう思いながらも苦笑を止められずにはいれなかった。
少し後、咳払いを一つして真剣な顔をする。それに気が付き、隊員たちは静かになった。
「とりあえず、そこの新人君の言う通り、北西へと向かう。移動手段はカーゴだ。」
「そういえば、本とペンがあるんだが、本がまっさらでな…。お前らの名前をここに刻んでおきたい。乗る時には本名、又はネームでいい、名前を言ってくれ。まあ言えば、自己紹介だ。」
「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
俺が移動手段を言うと中田がそんなことを言いだした。まあ、皆が従うのならそれでいいのだが…。
そしてコンピュウターみたいなものを出し、素早く暗号みたいなのを打ち込む。何故かこれも分かっていた。
そしてそのまま放置して約二十秒、トランスフォーマーのようにガチャガチャと組み立っていき、カーゴは現れた。
皆はそれを見て「おぉ」と声を漏らす。当然俺もだ。
それにしてもすごい……だが、呆けている時じゃないな…。そう思い、すぐに運転席へ行く。
ハンドルを握るだけで運転の仕方が分かり、刺さっていた鍵を回す。ブルンという景気のいい音がなりカーゴが揺れる。
「もう一台は中田が運転しろよ?」
「ああ、するさ。それよりも俺はこれに名前を書いて分けなきゃいけねえんだ。待っててくれ。」
「了~解。」
そう言って窓から見続ける。俺もこいつらの自己紹介を聞いておきたいからだ。
中田はまっさらな本を開くとペンを持ち、聞き始めた。
「まずはお前だな、グルフ。」
「載せる名前はグルフで良い。
お前たちを見ていると、無償に入りたくなったんじゃ。このクランに。
見た目は若くても歳は64のお爺ちゃんなんじゃぞ?」
「おお、そうなのか…?その歳でFPSをやってたのか……。ま、若返ったんだからいいじゃないか。」
「もう一度青春しろってか、面白いことを言うわい。ま、楽しむよ。第三の人生を。」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「載せる名前は山中宗治でお願いする。
最古参同士と言うことで入ったのだが、とても面白くてな。
家族の事は心配しないが、仲間は大切にしたい。」
「良い志?じゃないか。古参同士、よろしく。」
「よろしく。ってこの言葉は最初に言ったんだけどなぁ…」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「載せる名前は五十風咲人です。
一応、楽しそうだったから入った、かな。
ホントは静かに暮したいけど、このゲームは止めれなかったね。」
「へぇ~、でも咲人ってものすげぇ残酷な殺し方しまくってたよな?」
「うっ。ま、まあ、戦闘になると変わるって言う感じだよ…ははは…。」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「載せる名前はサリバンで頼む。
皆が進めたから入ったけれど、いつの間にかベテランになっていた。
俺さ、ものすんごくイジメ受けてたんだけど、容姿が変わってこうなったからさ、とにかく生きたい。」
「当たり前だ。しかし、そんな過去があったのか…。だがもう安心してくれ。同じベテランとして背を預けるぜ?」
「おう!まかせろや!」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「載せる名前はウェルキンで。
このクランの名前を見た時にビビッときてね。あはは。
僕はここで戦いたい。同じベテランとして。」
「おお、意外と戦闘狂だな…。んじゃ戦闘は任せるぜ?」
「了解!」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「わいは大和や。
色々あって引き籠りだったんやけど、こんなに支えられてな。
だから俺はここのクランで生きるんや。そう決めた。あ、ちなみにボケ担当や」
「今度は引き籠っていても、引きずり出すぜ?」
「…あはは。もうそんなことは無いさ。」
「んじゃ第一車両に乗って。次。」
「私はアライブです。
閣下や参謀様の戦闘やカリスマに魅せられてここに来ました。
私は命令とあらば…」
「あー、その先は聞きたくない。いいか?お前の名の意味は?」
「アライブ…生きる、です。」
「そうだ。んじゃ第一車両に乗って。次。」
「お、俺はアーヴィング・ローズマリンって言います!
閣下や参謀さんにあこがれて入りました!
何故かこの世界のメニュー画面も開けたので、その当時持っていた大量の所持金と、装備を持っています!」
『な、何だってぇぇぇぇえええ!』
「す、すごく良くできた子じゃないか!君は我々の中で会計という仕事をやってもらう!頼むぞっ!」
「は、はい!?え?え?え?」
「っは!……んんっ。じゃあ、君も第一車両に乗って、休みなさい。次の人。」
何を騒いでいたのか良く分からんが、後で聞いておくことにして再び、耳をすました――――
誤字、脱字、誤文等の指摘はとても嬉しいです。
ここをこうしてくれると助かる。みたいなコメントもあればどうぞお願いします。
出来るだけそういう風に書こうと努力するので…。