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十四話

空中でのお話。

ネチネチ言う上司とかって、まだまだ私がどうのと話せる訳ではありませんが、この世界ではこうだったという事で……あ、無理?




飛ばして頂いても構わない部分ですと一応書いておきます。

 夕暮れを背に、俺達は幾本もの木々の上を越えて街へと進んだ。その間に、少しだけ面談を行うことにした。昨日の戦闘……とは呼べない殲滅戦で、やはり少し疲れたものもいたはずだ。その為にメンタルケアとして俺が進んで行うことにした。

 輸送ヘリの運転は2人。2機で進んでおり、編成もカーゴに乗る時と同じだ。だから、俺が運転するつもりだったんだが、変わってもらうことになって少し暇で……って、いやいや、ただの雑談をしようってわけじゃない。ちゃんとしたメンタルケアだよ。


「という訳で、お前らは少し向こうへ行っててくれよ?」

『えええぇぇぇぇー』

「そいつだけズルいっすよ」「なしてそいつがぁ」「マジなんなんすかぁ」

「いや、だからなお前ら……個人面談だ。向こうでする予定だったが、恐らくその暇はなさそうだし、今ここですることにした」


 そう言うと、五十嵐がふふっと笑って立ち上がると、後ろの方へと下がっていった。な、何だよ……。


「さ、隊長がそう言っているんだから、後ろに下がって邪魔しないようにしないとね」

「それに、聞いてなかったんか?後で俺達にも面談があるって言ってはったやろ?つまり、俺らも後で二人きりになれるっちゅーこっちゃ」

『おおぉーーー』

「馬鹿ばかりかここは……」


 頭を抱える俺。でも、自然と笑っていることに気づいて、まぁいっかと抱えるのをやめる。そして、目の前にいる部下に質問を開始した。他のみんなはそれを見て、五十嵐の後に続いて後ろに下がった。




「ーーーん、そうか……ならいいんだ。下がってくれ、次のやつと面談をする」

「はい、楽しく話せてよかったです、隊長。こんな美人さんと話せたなんて、俺……くぅー!」

「は、はは……じゃ、下がってくれ」


 開始から数十分。やるんじゃなかったと後悔している。

 んだよこいつら、予想に反してピンピンしてやがる。それどころか、俺に対して口説いてくるやつだっていたし……もちろん、張り手制裁を加えてやったが。中には髪型まで櫛を使ってびっしり決めて、バラを咥えていたアホまでいる始末……。


「タフすぎんだろぉぉぉぉぉ!」

「か、閣下!? どうかしたのですか!?」

「あ、や、何でも無い……次はアライブね」


 俺の叫びと共に後ろでは笑いを我慢している奴らがいる。ぶふっ……くっくっ……ふはひっ……みたいな、無理やり抑えてるけど、失笑をやめられないみたいだ。後でしばく。

 咳払いをして、アライブに面と向かう。こいつだけは少し無理な笑顔が見えたから、心配だったんだ。


「で、だ……どう?この生活は」

「えぇっと、どうとは……」

「や、急に変わった世界、常識、身体、その他諸々……そのすべてを感じた約一週間。濃密すぎる生活だ。疲れを感じないはずがない」

「……身体でなく、心の疲れでしょうか……」

「あぁ、お前は笑顔が少しぎこちなくなってきた。無理しているように見えたんだ」


 俺がそう言うと、アライブは俯く。正直、この反応が普通だと思う。圧倒的戦力での虐殺より、敵兵士によって虐殺された者達(しみん)の悲惨な状況……それを目の当たりにしたのだから。戦いで足かせとなる罪悪感やその他の色んな感覚は大きく薄れている。でも、俺達は人間だ。感じるものはあるんだ。怒り憎しみ、感情はある。

 環境の変化によって、身近でなかった死を見ることとなったんだ。これで足が浮かんだような、フワフワした状態からしっかりと地に着地できた。が、それは現実を目にしたことになる。今後も、こういうことがあるかも知れない。敵ならば、市民を殺すことだってあるはずだ。

 だからこそ、無理はいけない。抱え込むと爆発した時にどうしょうもなくなる。だからこそ、メンタルのもちようが自身の自衛へとつながるんだ。


「……閣下、あなたはよく部下を見ているのですね」

「そりゃな。まぁ、リアルの方は知らないけど」

「……私は沢山の人を犠牲にしていました」

「ありゃお前の」

「ーーいえ、リアルの話です」


 やっと話した内容が、彼らの事かと思い、お前の責任じゃない、お前が悪いわけじゃないと言おうとして止められた。リアル?向こうの話?それがどうしたんだろう。


「私は、とある会社の少しだけ、偉い人でした。中間管理職といいますかなんと言いますか……それで、私は自身の首をつなぐため、部下たちを蔑ろにしていたかもしれないのです」

「……」

「私は当たり前のことができない部下が嫌いです。……会社には忠を尽くし、上司と仲を取り持って部下の挙げる案を、責任を持って推す人間。そうなりたかった」


 宙を見上げるアライブ。この人は社会人だったのか。


「でも、私は新しく入ってくる新人の部下の教育や上司から言い渡される仕事、極わずかにミスのある書類の山、部下の挙げる未完のプラン、失敗する可能性のある、パンドラの箱のような企画書……責任を持つ、部下を食い繋がせる、色んな事が私のストレスへかわり、やがてそれが部下のミスを指摘した際に爆発した」

「……」

「それから、私は嫌われ者になりました。それでも、部下のミスには再三注意し、生返事やはっきりした謝罪の区別なく怒鳴るようになりました。時には、それが原因で会社を辞めた人もいるそうです」

「……それが、今の環境とどうつながる?」

「まだ、もう少し話させてください。そしてある日、戦場に出会ってこのクランに出会って、私は逆にストレスがたまりました」

「Oh……え、え?」

「だって、ガキ臭い場所でしたもん」


「待てやこの野郎!」「聞き捨てならへんぞボケぇ!」「ごらぁ、表出ろやぁ!」


 アライブの言葉を聞いていつの間にか静かになってた連中が怒り心頭の様相でこちらに叫ぶ。しかし、それに微笑んでアライブは続けた。


「……ほら、ね? だから、イライラした。そんな奴らをボッコボコにできたら楽しかったし、ボッコボコにされたらものすごく悔しくて腹が立った……そして、思い出した」

「何に?」

「……学生の頃ですよ。バカやって、将来の事なんて二の次、三の次で……向こう見ずなまま、遊んでばっか。授業なんて昼寝の時間で……そんな退屈で、でもどの時代より一番楽しかったあの頃を」

『……』


 みんなが静まった。ヘリの風を切る様な、バババという音とエンジン音のみが響く。


「隊長って、学生でしょう?」

「え?あ、うん」

「だから、当時はこのガキ(リン)がトップなのかよと思ってました。でも、その人が出すイベントの数々、作戦はどれも面白いし、失敗しても次で取り返すという力強い言葉、統率力。その全てに魅了されていって……学生時代に戻りたいと思ってたのです」

「……」

「ここに居る皆と馬鹿をやる。自身だって馬鹿を演じよう。それが、俺の望みで、そして望みは達した。学生ではないけれど、学生のようにバカをやる世界が目の前に広がったのです」


 そう言って目を閉じるアライブ。だが、その表情は少し儚いものだった。そう、その続きにでも、とつけて話す。


「でも、恥ずかしい話、まさかこんなに死が近い世界だと、少し浮ついてたのです」

「恥ずかしくはないのぉ」

「グルフ……」


 グルフが野次としてそう言って引っ込む。ただの揚げ足取りじゃとそっぽを向くので、続けてと俺は言った。


「わかっていました、あの巨大なモンスターを狩った時点で。でも、人も死ぬことを考えてなくて……そして、また思い出しました。部下たちを生かすことを」

「……ここの場合、お前が心配するとしたら、この中にいる新人とかか?」

「中々強いのは理解しているし、連携だっていい感じにとれていて、それほど心配するべきものじゃないのはわかっている。でも、ガキ臭いが故に、ミスは連発する。そのミスが命取りになり得ることだってある。そう思うと、やはり思い出して俺が頑張らないとって……」

「ふーん」

「……」


 俺はそっけない返事をして、あくびを一つした。そしてこう答える。


「お前が気張ることはないぞ。ここでは俺が隊長だし、お前らの面倒は俺が見るしな。お前はただの一部下。そこら中に居るのは同期に先輩、後輩だよ。例えガキ臭かろうとお前と同等なの。それに、ここにいる時点でお前もガキ臭い仲間の一員だ」

「そうだそうだ、このガキ!」「バーカバーカ」「クソガキのアライブ君やで!」

「……黙ってろクソガキ共」


 アライブは笑顔で皆にそういった。でもその顔はなにか吹っ切れたようないい表情で、俺までふふっと微笑んでしまう。なんだ、メンタル強いじゃん。


「あー、大人って面倒くせぇなぁー。リアル然り、あの国その国然り」

「ふふっ、そうですよ?でも、もうこの先は私達の時代です。好き勝手に生きますが、閣下……改めて、よろしくお願いします」

「おう、バッチコーイ」


 それぞれが席に戻り、またいつもの楽しげな雰囲気に戻った。アライブも、いい表情で自然に笑っており、少し安心した。俺自身のメンタルケアとか必要かな?とか変なことを考えていたが、こいつらを見てるともうどうでもいいやと思った。


「あ、それと大和、君には後でプレゼントがある」

「んぉ?なんやーーーってやぁ!?何で拳作ってんねん!めっちゃ怒りこもっとるやないか!わいなんかしたか!?あ、あれか?クソガキって言ったこと怒ってはるの!?」

「何なら今すぐくれてやる事もできますよ?」

「キャー!キャー!助けてぇ!」

『やだ』

「そんなぁ!?」


 それから数秒後、ゴスっという鈍い音が減りの中で響き、その後大きな笑い声が森にまで届かんばかりに響いたとか。




『楽しそうね。こっちもメンタルケアっぽいのは終ったわ。特に異常はないどころか、タフ過ぎてむしろ異常よ』

「そうか。サンキューな。これで俺も安心して戦いに挑める」


 恐らく、向こうも個性的すぎる連中に、ため息を付きたくなるようなタフさを、求愛という形で魅せつけられ困ったのだろう。分かるぜ、その気持ち。


「で、どうなんだ。街は見えてきそうか?」

『一応、偵察ヘリ部隊からの連絡だと確認できたそうだから、たぶんあと少しよ』

「了解だ。後でそいつらの分も頼む」

『りょうかーい』


 無線を切って、俺はコックピットから離れた。運転は今度は山中がやってくれるそうだ。ふぅ、と一息ついて窓の外をちらりと見る。まだ足元に森が広がっていて、緑一色だった。


「あ、隊長!次、次の曲!どんなのがいいっすか!?」

「ん?え、何?」


 突然部下に声をかけられ、俺はそいつらを見た。いつの間にかサンタコスを着て……中にはクリスマスパーティの時にかぶる、円錐の帽子とかを被って、赤い鼻、トナカイコスまでいて意味がわからない。


「え、何、リアルって今頃クリスマスだっけ?」

「パーティー衣装はこれくらいしか無いんだよ。でも、面白いだろう?雰囲気は大事にしなくっちゃね?」

「え、ウェルキンまで……」


 そう、いつの間にかパーティーが始まっていたのだ。よく見たら上の方まで飾ってらっしゃる。一気にヘリ内がパーティー会場へと変貌した。


「で、一曲、何にするんや隊長?」

「あぇ?んー、えー、あー……カントリーロードで」

『またかい!』

「んなとっさに言われても思いつくかぁ!」

「でも、私はその曲好きですが。合唱が特に、ね」


 俺の必死な言い訳を無視して、アライブは俺の選曲を支持した。だってこれ楽しいじゃん。あのカーゴ内で歌った時は馬鹿みたいだったし。


「……まぁ、ええか」「閣下の選曲で歌いましょうよ」「僕は反対じゃないよ」「わしも賛成しよう」「ま、待って!俺!俺も歌いたい!」『お前は運転!』

誤文誤字脱字感想等など、あればコメントしてくださると嬉しいです!


……最初は小説とは名ばかりの、適当なお話をスラスラ斜め読みで楽しませるのを目的としていました。そのほうが書く側も読む側も楽ですし、そしてそれで楽しめる人だっていると思います。という、ちょっと頭の悪い作者の私の1意見が目的の理由でした。

が、書いていくに連れてなんだか設定が甘過ぎたと感じる部分があり、描き直そうとしてしまいます。それが、ついに十三話辺りでしたかね……あのあたりで活字ばかりになってしまい、本来の目的通りではなくなってしまいました。

まぁ、未だに設定がクソ甘くてクソすぎるとは思います。酷評を受けたってしかたないくらいにです。

そして、今の状態も小説とは名ばかりの活字の何かしらの物語ですが、らしくはなったんじゃないかな……と思っている次第で……


ええぃ、本題に移りましょう。

今後も、この書き方で続けるかもしれませんし、また元のバカ物語になるかもしれません。

それでも、読んでいただけるのだとしたら応援よろしくお願いします。

失望してしまった方には申し訳ありません。

これだけが言いたかったのです。

長い後書きで失礼しましたが、何卒よろしくお願いします。


では、またよろしくお願いします。

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