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十一話

多少、小説っぽくなっています。

まぁ、今までがひどすぎたんや。

でも、至らない点はまだまだあるので、どしどし感想をお待ちしております!

 ダグラム・スヴェータは今回の任務に大反対であった。

 彼は自身の国のことを思って数十年。今は一個大隊を指揮することのできる階級を持つ指揮官であった。中でも部下に対して優しい上司であり、兵士たちの間では尊敬の念と彼の下につきたいという要望が後を絶たない。

 しかし、それをよく思っていない者が沢山いた。

 それは彼の同僚であったり、上官達であったり……色んな方に称賛される一方で、敵を作っていたのだ。それは、彼が一個大隊の隊長、又は一個連隊の隊長に付けないことにも影響していた。更に運の悪いことに、その上官たちは自分の地位が危ういことを察し、彼に非道な任務を任せることで汚名を着せる罠に引っかかってしまったのだ。

 だからこそ、この任務に大反対であったのだ。

 任務の内容は、とある街への進攻。その街は立場として中立であったが、自身の国へのスパイを匿っていた容疑があった。その上、そのスパイの数人は捕らえることに成功し、その中立性は失われたという。よって、敵国の領土でなく、そして敵国に味方するその街を攻撃しても何もならない。が、自国領土を、軍の活動範囲を広めることが可能となることを考えるに、その街を制圧、要は奪うことで敵の情報を察知しやすくできるのである。

 そのため、その街への進攻をすることとなったのだ。多少の無理矢理感はあるが、これが上層部の仕事である。だいたいの理由をつけて、領土の取り合い。いつか戦争になると皆は戦々恐々としていた。

 緊張状態が高まる中、彼はその進攻に反対した。

 その街の町民への配慮がされていない。いや、むしろ反発するならば殺しても構わないという。敵国に味方する街なのだから。

 彼はしかし、その任務を引受なくては異動し左遷されることを察知し、その任務をしぶしぶ引き受けた。左遷され、飛ばされる先はおそらく……自身の愛国心が何故、上層部に伝わらないのか。彼は嘆きながら出撃した。



 そして、街まで少しのところで彼は敵国の一個中隊と接敵した。

 どうやら損害が出ていて、人員の補充はしていないが食料などの補給をその街でしていたようだった。つまり、あの街は黒。敵国に味方していたことは本当だったようだ。

 そう気づいた彼はそのままその部隊と緊張状態になる。開戦すれば、おそらく宣戦布告と同じことになるだろう。伝令兵を白へと送り、そのままにらめっこを続けようとした。しかし、敵部隊はそれから少しして攻撃を開始してきたのだった。

 おそらく、敵国は既に奇襲を行う予定だったのだろう。そう判断し、戦闘へと突入した。戦況はこちらが有利に働き、敵部隊はどんどん戦線を後退させていった。しかし、それが悪かった。

 敵は街には入らず背水の陣をきろうとしていたが、指揮系統を担う部隊長を彼の部下が仕留めてしまった。そのため、街へと敵は逃げ込み、街は戦場と化した。それを拒んで彼は街での戦闘を避けようとしたが、彼の部下たちの一部が暴走し、攻撃をすることになった。

 結果、虐殺行為と敵部隊壊滅の両方を行うこととなった。


「くそっ!」


 そして、一時的にその街から離れ、後方にある拠点にて再編成を行った。彼は悪態をつきながら自身のキャンプテントの机を蹴りあげた。地図にコマが地面に転がり落ち、机は大きな音を立てて倒れた。

 非戦闘員への攻撃は絶対に許されない。自身の中でもある信条のようなもの。一応、国際条約として書かれてはいるが、守る国などそれほどない。だからこそ、自分はそうなりたくはないと思っていた。

 しかし、けっかとしてこのような事態を巻き起こしてしまった。そんな自分に情けなさと苛立ちを感じて蹴り上げたのだった。

 数回、フー、フ―と息を整えると近くの椅子へとドカッと腰を下ろした。


「……まったく、今日はなんて日だ」


 戦争になる。おそらくやたぶんなどの言葉はつかない。絶対に戦争になる。

 その開戦の狼煙を上げたのが自分たちの部隊、それに敵対した部隊、そしてその最初の被害があの町の住人だ。

 なんとも言えない後味の悪い戦闘に、ため息を付くよりも気力が出ていった。

 一騎士として戦ってきた日々を思うと、自分は今何をしているのだろうと時たま想うことがある。今、まさにそうネガティブになっていた。

 しかし、いつまでも落ち込んでいられないのが現状だ。とりあえず、あの街を制圧し、我が祖国の御旗をたてなくてはならない。


「中隊長殿、準備が完了しました。いつでも出撃できます」

「了解した。あとはこのテントをたたんで出撃するぞ。戦闘配置につけ」

「了解しました」


 準備が整ったというのに、自身のテントはたためていない。まったく、なにをしているのだ。

 テントに関しては各自でたたみ、準備せよ。俺のテントは俺が何とかする。そう言ったというのに感傷に浸ってこれか。

 部下想いなのがここで示しにならないことになるとはと、肩を落としながらテントを片付けた。




「さて、もう少しすると街に到着するな……」

「中隊長殿、所属不明な部隊を確認しました」

「ほう?」


 整列し、綺麗な形を保ったまま進軍する中、偵察兵が近寄って報告をくれた。

 なんでも、変わった服装をした部隊だということらしい。その言葉にふと、脳裏を何かがよぎる。だが、それが何であるのか、思い出せなかった。


「して、彼らの規模は」

「およそ小隊規模。街の救助をしているとともに、街にバラバラに展開しています」

「ふむ、ならばこちらを確認した可能性がある。囮部隊として第三小隊を正面から向かわせろ。あくまで多くの人数で来たように見せかけつつな。第一小隊、第二小隊は森へと迂回し、右方面から攻撃せよ。他第四、第五小隊は私とともに反対側の森へと向かい、左方面からの攻撃を行う。私の合図でな。第六小隊は第三小隊の援護だ」

「一個小隊に注意を払い過ぎでは?バラバラに展開したということは、全方向に対しての攻撃を行える状態です。が、逆に一点に集中し攻撃をすると脆い盾を槍で突くように貫けます」

「だが、所属国不明部隊となると、囮部隊で様子を見る必要がある」

「……非情になられましたな」

「なるしかあるまいて。これはもう、戦争になる」


 悲しい目をする部下を見て、彼は下唇をギリっと噛んだ。犠牲は出したくない。幾つもの戦闘において犠牲は必ず出てきたが、それでも犠牲が出ないようにと考え行動する。当たり前であるが難しいことで、周りの指揮官は犠牲が出ても仕方ないという考えを持つのに反して、そう考えるのだ。

 彼はだけども、もう戦争になるならば、多少の犠牲は仕方ないという考えを受け入れなくてはならないと、自身の力無さ、そして考えの否定に腹を立てていた。

 そして、少し。

 そう、それから少し経って街へと近づく時。まさにその時。

 大きな爆発音と共に、囮部隊である第三小隊から悲鳴が上がった。


   ★


 時を同じくして、彼らは静かにその様子を見ていた。


「おい、アライブ。お前これどうなると思うんや?」

「……」

「ほぉれ、たぁった一言いやいいことやん?言うてみって」

「……じゃあ、」

「お?」

「王手」

「……なん……やと……!?」


 見て、いた……?


「おいお前ら、何故のんきに将棋している!非常識にも程があるぞ!」

「しーっ! あほ、隊長に見つかったらどやされるやろ山中さんよ」

「で? 貴様の負けだが?」

「ぐぬぬ……つ、詰んどる……っかぁー、負けや」

「ふふん」

「アライブ、お前まで……」


 アライブは鼻で笑うと、機関銃を設置した。窓から敵の状態を双眼鏡で覗きつつ、戦闘準備は万全を期していた。

 そんなアライブの意外な一面を知った山中はため息をつくと、もう片方の窓につく。大和は畜生と嘆きながら二階へと上がり、狙撃銃を手にした。

 そして、各自が配置について数秒後、悲鳴が遠くから聞こえてきた。


「悲鳴が聞こえてきましたね」

「あぁ、俺も聞こえた。戦闘開始ってやつかな?」

『お前らどんだけ耳良いんだよ……』


 大和は無線越しに感心というよりも呆れたような声でそう呟いた。しかし、次の瞬間、その無線すら聞こえなくなるくらいの轟音がその戦場に響き渡った。


「うおお!?航空支援!?」

「みたいですね! すっごい音だ……!」

『ヒャッフゥ! これは凄いことになってるやん! やべぇ! 隊長たちの言ってた囮部隊、三時の方向の部隊はほぼ壊滅! 多少バラバラになってたようやけど、一掃したねこれ』

「そうか、報告ありがとう。こちらからは未だ敵を確認できてない。結構遠回りしているようだな」


 スペクターの対地攻撃により、敵の囮部隊は壊滅。地雷に榴弾と、ご愁傷さまだが、事が事なだけにスカッとする思いがあったのだろう。

 しかし、アライブと山中は双眼鏡を見ても敵を確認できてない事が引っかかり、隊長へと報告することにした。


「こちら第一分隊、西側からは敵部隊の確認ができない。今現状として、どこへと移動している?」

『……こちら小隊本部、上空より確認したが、どうやら先程の攻撃を加味して、挟撃を中止したようだ。どのような戦闘が展開されるかは不明。少し待機しててくれ』

「了解……と、どうなると思う……?」

「……そうですね、王手をかけることになります」

「寝言は寝てから言え。どういう風に動くと思うって聞いてるんだ」

「おそらく、9時の方向からの一斉突撃、又は夜戦ですかね。まぁ、どちらにしろスペクターがいる時点で王手です」

『……ほんと、あの兵器使うなら、古龍戦で使ったらよかったのになぁ』

「大和に同感します。ですが、まぁ、閣下のことですから……」

「お遊び、かな。だがまぁ、悪くはない。楽しかったしな」


 呟くように会話を続ける三人。結局、彼らはこの後も活躍はしなかったのだった。


  ★


 彼はまず、一言呟くように言った。

 なんだ、あれは……と。

 上空から風を切るような音と共に、何かが降ってきた。それと同時にすごい爆発が我が第三小隊に直撃し、部隊は蒸発した。

 どこから攻撃を受けたのかわからない爆発が彼らを襲ったあと、天から裁きの鉄槌が如く、爆発する魔法科何かが降り注いだのだ。

 わけが分からなかった。そんな大きな魔法を使う部隊が敵の正体だとは……


「っく!挟撃は中止だ、敵戦力を見誤っていた……!あれは二個中隊に匹敵する魔法部隊の可能性がある」

「中隊長殿!お言葉ですが、魔法発動時に起こる発光現象、魔術の印、それらが確認できなかった上に、上空からの攻撃など……!」

「あぁ、わかっている! ワイバーン部隊がいない現状、制空権をとっている向こうが有利だ。……アレは天罰などではない……決して」


 最後の言葉は、呟き終える前に爆音によってかき消された。連続して起こる大爆発。それは的確に我々の位置(・・・・・・・・)をついていた。

 何故だ、森に隠れている! その上、街からは視界にはいらないはず……!

 天罰か?という言葉が脳裏に何度もちらつくが、必死に違うと振り払う。そうだ、最初から我々の部隊を確認できていたのなら、我々の移動を知っているのなら、だが、そうであったとしてもこの爆発はなんだ?

 説明がつかないことが目の前に、現実として発生し、混乱する頭をぶん殴った。


「落ち着け……! 今の被害はどうなっている!?」

「わ、我々の部隊の被害は甚大! 壊滅寸前です!」

「っくそぉ……! 第一小隊の方は!」

「撤退をしました!」


 いい判断だと冷や汗が伝う頬を吊り上げて笑う。が、その笑みをかき消すように爆発が遠くから聞こえた。他に、キィィィイイインという耳を劈くような爆音も聞こえ、空を舞う何かが地上に爆発を発生させていた。

 とどうじに、第一小隊の壊滅、第二小隊の被害甚大という報告を聞く事となった。

 あぁ、神よ。何故あれほど優しい部下たちが……私はただ、祖国の為に、祖国を思って……!


「っぐ、い、いかん……! 撤退もできない、許さない、か……」

「我々第五小隊が殿を努めます」

「無駄だ、おそらく一瞬で終わる」

「し、しかし……!」


 最後の希望。それがないか考えるがもう手の打ちようがないのは明白だった。突撃し、兵士として、騎士として誇り高き戦死を望む、か?

 戦場に散ることは、戦士としてはまさに願ってもないこと。だが、それでいいのか?と思うこともある。明日戦うために今日は引こう。そして、勝利の余韻に浸る敵を蹂躙すべし。それが、彼の戦闘であった。


「っ! 第二小隊、突撃を開始!」「その流れに乗って、撤退もしくは、突撃命令を……!」「中隊長殿!」「中隊長殿!」

「……! 馬鹿者めっ」


 何かを殴るような軽い音とともに、悲鳴と爆発音が聞こえた。おそらく、言っていたとおり、一瞬で全滅したのだろう。

 私の、中隊が……


「……君たちに聞こう。ここで死ぬことを望むか?」

『……!』

「……仲間が逝ったというのに、それを聞きますか?」

「……すまない。私は、君たちの誇りを蔑ろにしてまでも、君たちに生きていて欲しい、そう思うのだ」

『……』


 とある決心を、彼はしていた。


「これから、私単身で敵の元へと向かう。諸君らは、個々で待機しろ。いいね?」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

「またない。諸君らは個々で待機!いいな!?」

『りょ、了解しました』


 そう聞いて、彼はゆっくり歩きだし、森から出た。街はすぐそこにあり、死が近いことを肌で感じとった。明かりが差し込んできた、太陽の陽だ。

 見上げると、よくわからない箱の様な鉄の塊が飛んでいた。よくわからない、鉄の龍が飛んでいる。それと一緒に、これまた鉄か何かで出来た大きなものも……

 ボー然と立ち尽くしかけ、歩みを止めようとしていた足を必死に前に出し、進む。ゆっくりと待ちへと近づくと、窓から男が何かをこちらに向けてこう言い放った。


「何処のもので、何の要件だ」

「……我々の負けだ、私はどうなってもいい。彼らを、見逃してはくれないか……!」


 両膝をつき、彼はそう叫んだ。すると、先程まで聞こえていた轟音がなくなっていることに気づいた。私達が動かなくなってからか……?

 彼はよくわからない現状に混乱しながらも、懇願した。

 これ以上、部下の死ぬところを見たくない。

 何よりも、これ以上部下のあっけない死を見たくなかったのだ。

 すると、その男たちは何か話し始め、こういった。


「見逃しはしない。武器を捨て、投降するなら身の安全は保証する」

「……く……すまない」




 そして、彼は所属国不明部隊に捕まった。残存小隊も彼らに投降。武器を各々捨て、両手を上げて街へと移動した。

 しかし、意外にも所属国不明部隊の彼らは手厚く迎え入れてくれた。中隊長であるダグラムが、自身の部隊の成り行きを話したためである。だが、彼らは許していない。それだけのことをしたのだという自覚はあった。街の方々にもいい顔はされなかったし、それが物語っているといえるだろう。


「……よし、ここに隊長が居ます。会話は許可しますが、変なことをしたら、人の原型を留められなくなると思ってください」

「わ、わかった……」


 ダグラムは、この部隊の隊長と会うこととなる。当たり前だが、これほどの戦力をもつ部隊の隊長だ。どんな人間か……いや、バケモノかもしれない。ともかく、予測がつかなかったためか、少し不安でもあった。

 自身の身を案じた不安でなく、一言で部下が殺されるのではという不安からだ。

 扉の前に立ち、ゴクリと生唾を飲む。


「では、こちらです」



「ようこそ、貴方が町民虐殺部隊の部隊長さん?」


 しかし、彼の予測に反して、可愛い少女がそこに立っていた―――

誤文誤字脱字感想等など、あればコメントしてくださると嬉しいです!


では、またよろしくお願いします。

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