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第5話:古本探しの異世界旅行

さて、俺は今異世界に来ている。


といっても、『無限書庫』のある世界も、最初に生まれた世界もすでに異世界と化してるから、どこに行こうが異世界なんだが。


で、だ。


目的は『本の仕入れ』と『失われた歴史の調査』なんだが、これが結構面倒な仕事だ。



まず、自分がどこの世界の人間か知られちゃいけない。


これは、世界干渉における神様の決めたルールだ。


破ったからって言って消されたりはしないが、色々と目をつけられてる現状ではあまり芳しくない。


神と敵対してもどうにかできるが、本の仕入れ先が減ると面倒だ。



で、次にその世界のレベルに合わせた魔法までしか使えない。


これは、魔力リミッターが世界に応じて違うかららしいが、はっきり言ってこれも破れるが破らないルールの一つ。



最後に、『失われた秘術』と呼ばれる、いわば『神殺し』や『時空間崩壊』、『原則突破』なんかの神様にとって危険性の高いものを見つけた場合は抹消・報告の義務がある。


もちろん、知識として手に入れることも禁止だ。


ゆえに、本なんかだと読んだ本人が抹消される可能性もある。



まぁ、すでに俺は破りまくってるし、色々とこの点に関しては見逃してもらってたりするんだが。



でもって、今回の異世界探索3つ目の世界で見つけちゃいましたよ。



禁書『存在魔法』



まぁ、知識自体は俺のすでに持ってたレベルが書かれてるだけだが、『失われた秘術』の『神殺し』に関わる魔法の一端が記されてるから、当然抹消対象だ。


まぁ、だからと言ってホイホイ消すほど本に対する愛着が無いわけじゃない。


ちょっと迷ったが、また『禁書庫』にでも突っ込んどくことにした。



「それにしても、爺さんもよく見つけるな」


「ほっほっほ。なに、時空間に網を張ってたら偶然引っかかってきただけじゃよ。それよか、お前さんの方こそ危険を冒してまでなぜ本に固執する?」


「趣味だな。完全に。爺さんが危険を犯してまでがらくた集めるのと同じさ。」


「ほっほっほ。そうかいそうかい。似たものに出会えてうれしいよ。」


「ところで、爺さんはこの本の中身を見たのか?」


「いや、わしゃぁ見ておらん。まぁ、見たところでそれに書かれていることはわしには分からんわいな。」


「…」


「…」


「ふ、まぁいい。どうせ読んでもホイホイと使えるもんじゃないしな。」


「だから、見ておらんと言うておろうに。」


「まぁ、俺にはどうでもいいがね。ただ、これからも利用させてもらうんだ。生きててもらわんと困るよ、『収集者コレクター』。」


「まだ死ぬつもりはないぞい。」


「まぁな。じゃぁ、俺はこの辺で失礼するよ。」


「たまには本以外も買っててほしいもんじゃ…」


「あいにくと本以外は興味ないんでね。他をあたってくれ。」


「まぁ、しょうがない。しかし、気おつけるんじゃぞ。お前さんもわしにとっては大事な客の一人だかんの。」


「ああ、爺さんも気いつけろよ。神に寝首をかかれないように。」


「あいや、承知。」


「じゃぁな。」




店を出て数歩で世界は変わる。


まぁ、一種の転移魔法だ。



後ろを振り返ってもすでに古ぼけた骨董屋は無くなっている。


代わりに、大きな大木の下にいくつかの魔法陣が見えるが、それも役目を終えると光の粉を撒き散らして消え去った。




さっきまで俺がいた世界は、空間の歪みに偶然できた傷を押し広げて作られた、いわば『無限書庫』のようなところだ。


まぁ、あっちの場合は魔力の供給源がある『無限書庫』と違って、維持する魔力の減少とともに縮小してるんだが。


あと数百年もしたらあの空間は消えてなくなるんだろうね。



で、そんな空間にすみついているのが、『収集者コレクター』と呼ばれる爺さんだ。


この爺さん、年も出身世界も謎に包まれた、神ですら恐れる人物の一人。


あの次元空間を作ったのも、そこでやってることも、『超越した技術オーバーテクノロジー』の一種だから、当然と言えば当然か。


まぁ、やってることが人畜無害な空間漂流物の回収と販売だから、神様も強くは言えないみたいだがな。


それに、店の位置的にも、最上位存在しか客として来れないわけだから、あまり危険もないだろうという判断だ。



というわけで、そんな店に俺はたまにお邪魔している。


すでに常連と化してるから、本はキープしといてもらえるが、あの店は扱いが雑だから定期的に顔を見せて取りに行ってるってわけだ。


そして、今回の事である。



なんか、次元世界の消滅のせいで漂流物が多かったらしく、本も数百冊手に入った。


で、その中に厳重に封印された本が2冊紛れ込んでて、1冊はさっき言った『存在魔法』、もうひとつが『時空魔法』という本だったわけだ。


ざっと目を通した感じだと、2冊とも大したことは書かれていない。


それに、読めるのはおそらく神か俺くらいだろうから、危険性は薄いんだが、内容はちょっとあれだった。


最後の方の項目にルールに引っかかるのがあって、読んでみたら案の定ってやつだ。


まぁ、処分されるのが惜しいから『禁書庫』に放り込んどくがね。



さて、ではつぎの世界にわたりましょうか。



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