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第29話:預言の書の示す未来


舞台は無限書庫の一室で良いだろう。


中にある休息室の一つはそれなりに広さがあって、使いやすい。


下見に来ても、案の定綺麗に掃除されており、赤い絨毯と白い壁で覆われた部屋の中には、椅子や机といった最低限の物以外何も置かれていない。



あと数人分の席を用意すれば、事足りるだろう。




そして、部屋を出ると、今度は目星をつけておいた本を探しに行く。



無限書庫は広いから、移動にはかなりの時間がかかる。


ただ、俺はもとより本に囲まれた生活をしてたし、神の気まぐれでこんな体にされてからは、時間なんてほぼ無限にあるように思えてくる。


だから、あまり気にせず、壁に置かれた無限ともいえる本の道をゆったりと歩いていく。





ちょうどあの部屋から出てすぐ。


左右の壁を埋めるのがマンガや絵本、雑誌や小説なんかの、何人もの人の手で作られた幾多の世界の可能性だ。


その中には、到底現実では起こり得ない非現実な…


たとえば、タイムスリップなんかを題材にした物もある。



ただ、魔法や異世界召喚なんかは普通に起こりうる世界だから、結構魔法の存在を知らずに書いた作品が昔起こった出来事と酷似しているなんて事もある。


そして、その中にあるいくつかは『預言書』といわれる先見の眼を持った者たちが書いた物だから、これもまたおもしろいんだが。



そして、俺の目的の物はその棚を通り過ぎていくつかのエリアを進んだ先にある。



ここには、歴史書や預言書の上位物が置かれていて、中には世界の比較的初めの方の歴史をつづった物や、知られざる歴史を語った物もある。


それが、今回俺の探しているものだった。




『預言の書』


今後起こるであろう世界の珍事を全て書き記したと言われる書物。


その合計ページ数は1万にもおよび、細かい文字がびっしりと紙面を覆っている。


そして、本の大きさだが、無限書庫の天井まで届かんとする高さと、本棚数個分の横幅を持っており、これ一冊がこの一帯を占領している。





それを、俺はとりだした。



特殊な魔法をかけて浮かべ、ページを開いていく。


そして、目的のページを開くと、自分に飛行魔法をかけてその項目の所まで移動した。




そこに記されるは未来の歴史を綴った一説。



超古代語で読める物はおそらくいないであろう原文の一つ。



しかし、出来る限りの知識を持って紐解けば、辛うじて単語と意味を知る事が出来る。



そこに記された内容は、



… 4 王 死 変わる 世界


… 力 魔法 創造 破滅


… 1 … 者 死 


… 世界 動く 新




これが、預言書のちょうど中ほどに書かれた、預言書の最後の一文。



後は、空白のページが続いているだけだ。



そして、この前に書かれた預言はすでに過去の物になっている。




… 創造 力 現れる 


… 悲しみ 始まる




つなげて読めば、『…創造の力を持った者が現れる。…悲しみが始まる。』と書かれているんだろう。


ただ、その前と中ほどの解読できない所が何を意味しているのか分からない。



それに、最後の一文とその前の一文の間に大きな空白もある。



この『預言書』の最後はこういった不完全な終わり方をしている。





だが、預言書のページは続く。






だから、俺はこう考えている。


この予言書は時の支配者が時代の始まりから終わりまでを記したものだと。







そして、現在の世界の支配者。


全世界を束ねる神々の頂点。


主神こそがこの予言書の著者ではないかと。




ならば、この予言は時の支配者が変わる変革の時が近い事を告げているということだ。



すなわち、現行の神の死か、新たな支配者の誕生。



そう考えれば、『4 王 死』とは、主神の下に集いし4人の神が死ぬこと。


この場合、武皇、魔王、冥王、明王の4人が死ぬこと。



そして、その後主神が死んで世界は新たなスタートをきる。



これが、預言の内容だ。






そして、俺が今回この本を探していたのには訳がある。



この事件の落とし前をつけるためだ。




そう、最後から一つ手前の文章。


創造の力を手に入れた者とは、すなわちあの死神の事。


そして、始まった悲しみとはこの事件の事ではないかと考えたからだ。




預言書ではこの悲しみが終わっていない。




すなわち、世界の変革にこの悲しみが多少なりとも関係するとみていいだろう。




ならば、早めにこの話をしておく必要がある。





そう思って、転写魔法を使い、本の最後に記された内容を手持ちの紙にコピーした。




「さて、後はブックーの調査結果を待つだけだな。」




ブックーにはいくつか調べごとをしてもらっている。


まぁ、その内容はおいおい話せるだろう。




「さて、後はもう一つの用事を済ませに行きますかね。」



そう言って、今度は来た道を戻る。



目指すは『ルミナス魔法学校』





目的は頼まれた仕事をするために。



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