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第22話:『命の魔法』と『破壊の魔法』

あれから、私達は一通り買い物を終わらせて魔法堂を目指しています。



杏ちゃんは指輪の予約をできたし、理恵ちゃんも目的の雑誌を買えたらしくご満悦です。




かく言う私も、いつもの店で必要な物を数点買って、今は片手にぶら下げた袋の中に入れています。




そして、今から向かうのが魔法堂です。



日もだいぶ傾いてきたし、そろそろ戻ろうかという話もしたけど、私があんまり買い物してないから最後ぐらい付き合うという二人の善意に甘えることにしました。




魔法堂は、商店街の裏道を何本か超えた先にあります。


途中、古びて朽ち果てた廃工場や少し治安の悪い場所を通らないといけないけど、結構利用客はいる古びた老舗です。


ここでは、最新というよりはちょっと古いマジックアイテムなんかを扱っています。




「へぇ、ここが魔法堂かぁ。」



「うん。杏ちゃんは初めて?」



「うん。私に関係するのは最新魔法ばっかりだから、こういう老舗はあんまし来る機会がないの。」



「まぁ、確かにね。」



「それよか、りっちゃんがこんな店知ってるのに驚きだよ!」



「私は一応商店街の有名どころは全部抑えてるからね。さすがにマイナーなところは知らないけど、ここはその道の筋だから。」




「確かに、古代魔法とか言われたら確実にここを思い浮かべるよね。」



「へぇ。それで、美穂ちゃんは何を買いに来たの?」



「うん。私は本を見に来たの。」



「え、本なんて図書館行けば全部そろってるんじゃないの?」



「う~ん、似たような本が有る事はあるんだけど、ちょっと私の求めてるのはマイナーなの。」



「なるほどね。」



「じゃぁ、ちょっと見てくるね!」



「うん。私達は適当にその辺物色してるね。」



そして、店の中に入ります。


扉は夏だからか開け放たれ、店の前にもずらりと色んな物が置かれています。


でも、私の求めているのはちょっと別物。



奥の方に行けば、皺だらけのお爺さんが不機嫌そうに座って新聞を広げていました。


ちょっと薄暗い店内で目を悪くしないか心配だけど、眼鏡をかけてないし、この年でコンタクトはあり得ないから、きっと大丈夫なんだろう。



「あの、神埼と申しますが、頼んでいた物は見つかりましたか?」



「神崎ってぇと、ザキルんちのかい?」


「はい。」



お父さんはなぜかその筋ではザキルというあだ名が付けられています。


これは、昔から呼ばれているらしく、一度お父さんに直接聞いたら教えてくれました。



そして、それを聞いたお爺さんも読んでいた新聞をとじて立ち上がります。


年配とは思えないほど力強い足腰で、奥に向かうと、一つの小包を差し出してくれました。



「えっと、おいくらになりますか?」



「金はいらねぇ。餞別だ。貰っとけ。」



「えっと、良いんですか…?」



「年寄りの好意は有りがたく受け取っとくもんだぜ?」



そう言って、またお爺さんは新聞を読み始めました。


どうやら、ただでくれるみたいです。



私はお礼を言うと、店を後にしました。




「お待たせ。」



「ううん、全然待ってないよ。それより、目的の物は買えた?」



「うん。でも、お金はいらないって…」



「へぇ、良い人なんだね。」



「うん。お父さんの昔からの知り合いみたいで、今もお父さんとたまに出かけたりしてるみたい。」



「じゃぁ、私もなんか買ってこようかな~」



「あんちゃんは買う物ないでしょ?」



「あ、酷い理恵ちゃん~」




「「あははははっ」」




ぷく~っと頬を膨らませた杏ちゃんの顔が面白くて、私達は同時に笑い出しました。



でも、店の中から「こら!!!おめぇらうるせえぞ!! 騒ぐんなら余所いきな!!!!!」とどなり声が響いてきて、そくさくと退散します。



店長さんはいつもあんな感じなので、一言謝ってから私達は元来た道を戻りだしました。





「はぁ、びっくりした。まさか怒鳴られるとは思わなかったよ!」



「あそこのおじさんはいつもあんな感じなの。でも、別段不機嫌なわけじゃないらしいよ。」



「美穂ちゃんよく知ってるね。」



「うん。お父さんの知り合いだから。」



「「あぁ、なるほど。」」



と、そんなこんなで私達は歩き続けます。



日もだいぶ傾いて、そろそろ屋根の上にあった日も見えなくなりそうです。


でも、廃工場の方はまだ明るいの私達は安心してました。



そう、実際そこにたどり着くまでは…





「やぁ、美穂ちゃん、こんなとこで会うなんて奇遇だね!」




と、廃工場の前で声を掛けられて、びっくりしました。



そこにいたのは、ここに居るはずのない人…


私をいつも呼び出すあの宮沢先生だったのです。




「あ、先生こんにちは!」


「こんにちは、椎名さん。それに、井原さんだったかな?」



「はい、こんにちは。」



理恵ちゃんも杏ちゃんも普通にあいさつします。

そういえば、今は二人がいました。


宮沢先生は他人に目があるところでは私に辛く当るような事はありません。


だから、ちょっと安心する事が出来ました。




「そうだ、せっかくだから3人とも寄って行きなよ!」




だから、そう言われた時、始め驚きを隠せませんでした。



どうやら、廃工場の奥に良い店があるから、そこでおごるという物です。


でも、さすがに先生とはいえ、女の子をこの時間に誘うのはどうかと思ったのでしょう。


理恵ちゃんも杏ちゃんも、少し困惑気味です。




「絶対楽しいよ! 僕のお勧めの店だからね! あぁ、お酒は無理には飲まなくても良いから!」




それは、いつもよりちょっと強引に聞こえました。


なんか、騒ぎを聞きつけたのか男の人が数人こっちに集まってきます。



「いえ、私達はそろそろ帰らないといけない時間なので。」



「君には聞いてないよ。」



一瞬、宮沢先生が私の方を睨みます。


さすがに、その態度は不味いんじゃ… と思って理恵ちゃん達の方を見ると、少し青ざめています。


あれは… 確実に見ちゃったんだと思います。




「あはは、さぁさぁ、行こうよ!」



「い、いや! 離して!!」



宮沢先生の手が理恵ちゃんに伸びて、手首をつかみます。


理恵ちゃんもさすがにこれは不味いと感じたのか、振りほどこうとしますが、男と女ではどうしても力の差が広すぎてどうにもなりません。


無理やり引っ張っていこうとする宮沢先生に、私もとうとう黙っていられなくなって一歩踏み出しました。




「先生、理恵ちゃんを離してください!」



普段はあまり刺激しないようにして、黙って言う事を聞いていた私がいきなり反抗的な態度を取ったためか、先生が驚いた表情で振り返ります。


でも、それはすぐに下品な笑いに戻ると、その場にいた男の一人に向かって意味深げにうなづきました。




「おらよっと!」



「い、いやだ、離して!!!」



と、今度はその男が杏ちゃんを後ろから羽交い絞めにしました。



「ちょ、先生!! これは明らかに犯罪ですよ!!!」



「まぁまぁ、君たちも楽しみたいでしょ?」


「いやだ! 離して! 離してよ!!!!!」


「いい加減にしないと警察呼びますよ!!」



「…うるさいな。呼べるわけ無いだろ?こんなところで。」



そう言うや、宮沢先生はついにいつもの仮面を完全に外して、怒ったような怖い顔で私達を睨みつけます。


理恵ちゃんや杏ちゃんは、もうすでに顔面蒼白になっています。




「さぁ、美穂ちゃん、こっちにおいで?」




疑問形のように語られた言葉は、すでに強制的な意味を持っています。


私は、小さくため息をつくと、宮沢先生に向き直りました。




「その前に、私が行ったら二人は離してあげると約束してもらえませんか?」



「うん。良いよ。用事があるのは君だけだしね。」



私が言った言葉を予期していたのか、宮沢先生はすぐに返答します。



「美穂ちゃん、ダメだよ!!私たちなら大丈夫から、逃げて人を呼んで!!」


「あなたが捕まっても、私達を解放してくれる保証なんてないのよ!」



と、二人に言われますが、それは無理な相談です。


確かに保証はないけど、私のために二人を犠牲になんてできません。




それに、私の左右には男が二人いて、後ろにも一人厳つい男が回り込んでいます。


逃げ場なんてありません。



「二人も知ってるとおもうけど、宮沢先生は上級魔法使いなの。私たちじゃぁ勝ち目はないよ。」




一歩一歩、重い足取りで前に進みます。


二人は暴れているようですが、私は取り合いません。



それに、全く保証がないわけではないです。



宮沢先生は私以外には仮面をかぶっているので、二人に危害を加えることなんてありません。



その時の私は、そう思って油断していました。



だから、杏ちゃんが男の手に噛みついて、それに驚いた男が杏ちゃんを投げ飛ばした時には、驚きました。



「てめぇ、何しやがるガキ!!!!」



男に地面にたたきつけられ、その上蹴り上げられる杏ちゃんを見て、私は意識が飛びかけました。




「おい、山田。まだ手を出すな!」



「へ、良いだろ?どうせ、こいつらは俺たちが頂くんだ。それがちょっと早まっただけだよ!」



「ちっ、そういうのは事が済んでから言え。」




それが、どういう意味なのか、最初私は分かりませんでした。


でも、脳が回りだすと、急速に理解していきます。



「とまぁ、こういう事だよ。僕は君に恨みがあるのは知ってるよね?で、君を捕まえるためにこいつらに協力してもらったわけさ。あ、報酬はそこの二人ね。」



いやぁ、面白いように事が進んだけど、これはさすがに予定外だったかな?



と言って笑う宮沢先生に、私の中で何かが千切れる音がしました。





周囲を私の魂が荒れ狂い始めます。


しかし、それに誰も気づきません。


いや、気づけないんです。



この世界には無い技術。


この世界ではありえない魔法。



魔素使用の魂操作系魔法、存在魔法。



頭の中では、どこかで松崎さんとの秘密の約束が警告します。


それに、使う事を本能の一部が危険だと訴えます。



危ない、危険だ。この魔法を使えば、殺してしまうかもしれない。




でも、そんな警告、この時の私には無意味でした。




「宮沢先生、これはちょっとやり過ぎです。」




「ほう、ならどうするかね?魔法の使えない出来そこないの魔法使いである君が、私に勝てるとでも?」





「…そうですね。私なんかじゃ到底勝てない"はず"ですよね…」




「ははは、分かっているなら素直に膝まづきたまえ。そうすれば、もしかしたら二人を解放してやるかもしれないよ?まぁ、あり得ない話だが!!」




バカ笑いをしている宮崎先生。




それを合図にしたのか、私に襲いかかってくる左右の男の人。




そして、視界の先で男の手を振り切ろうともがく理恵ちゃんと、地面で苦しむ杏ちゃん。






それを私の脳が理解したとたん。全ての枷が外れました。










何度も練習した私だけの魔法。



魔法学上は存在しないもう一つの魔法。




存在魔法の一つにして基本形。




魔素砲を2発、両脇に向かって放ちます。





それだけで、今まで突っ込んできていた男二人は、まるで何かに弾かれたように、進行方向とは逆に力の指向性ベクトルを変えて飛んで行きました。




それは一瞬。



しかし、絶対的な隙。



まさか私が魔法を使うとは思ってなかったらしく、宮沢先生は驚きの表情で固まっています。




その顔に怒りを覚えはするものの、私の脳は優先事項として友達二人の救出を指示しました。




杏ちゃんは、先ほど吹き飛ばされて地面に転がっているため、理恵ちゃんの救出に向かいます。


理恵ちゃんを捕まえている男に狙いを定めると、その男の顔面ギリギリまで魂を伸ばし、そこで魔素砲を作成、発射。


ゼロ距離で撃たれたそれは、理恵ちゃんをとらえていた男を的確に打ち抜きます。




「何してる!、もう一人を人質に…」



そう、宮沢先生が言った瞬間、先ほど杏ちゃんを蹴った男は振り向きます。


しかし、遅いです。



理恵ちゃんを助けた魂の砲台を、そのままもう一人の男の方に向けると、私は躊躇することなくぶっ放しました。



此方は、本当に手加減なしです。



打たれた男は10メートルほど飛び上がり、地面に打ちつけられて転がります。



骨の何本かはいってるかもしれません。





そして、それを無言でなし終えた私は、宮沢先生に向き直りました。




「ま、魔力は感じいないのにどうやって…!?」



「それを、あなたに教える義理はありません。」



「…!! 馬鹿にしやがって!!!」



そう言いながら、先生は炎の塊を作って、私にぶつけてきました。


速射性と連射性に優れた中威力の低級魔法、ファイヤーボールです。



それも、何発も同時に生み出して打ってる事から、その上位のファイヤストームでしょうか?



そんな魔法、文系の生徒に向かって打ったら、普段はひとたまりもありません。



でも、私は存在魔法の2つ目を使って防ぎます。




存在魔法基本形 魔素障壁




魂によって作られた魔素の濃いエリアは、魔法を完全に遮断して私を守りました。




「なに!」



さすがに、受けられるとは思っていなかったのでしょう。


宮沢先生も驚いた顔をしています。




でも、次に宮沢先生の取った行動には、逆に私が驚かされました。




「くそ、なんでお前なんかが俺の魔法を防げるんだよ!!!!」




そう言いながら、ファイヤーボールを無差別連射してきたのです。




そして、その一つが理恵ちゃんの方向に向かって飛んで行きました。




とっさに、私は駆けだします。



理恵ちゃんの前に来ると、魔素障壁を張って凌ぎますが、さすがに即席の障壁じゃァ耐久度が薄かったのか、火の粉が大量に私に降り注いで軽いやけどを負ってしまいました。




「は、あはは、あはははははは!!」




それを見た宮沢先生が突然笑い出します。


これは、先ほどの余裕のない表情とは打って変わった、いたずらを見つけた子供のようです。



今ので完全にばれてしまったのかもしれません。



存在魔法の弱点を。





一つ。自分から遠くに作るほど難しい。



一つ。チャージにワンテンポとはいえ時間がかかる。



一つ。一つの魔法発動中は次の魔法を使えない。




本来はどれも慣れと共に解消できるはずの問題です。



でも、習い始めたばかりの私では、どうしてもこれらが付いて回ります。




そして、宮沢先生は空中に大量のファイヤーボールを作り出すと、私に向かって楽しそうに語りかけます。





「さぁ、お遊びは終わりだ、子猫ちゃん。



次の一撃、防いでも良いが、君の友達がどうなるかな?



私は2人同時に攻撃できる。


でも、君は?



自分の周りの人しか守れない君に、これを防ぐ事は出来るかな?」





残酷な顔で、無慈悲に言い渡された宣告。




もしも、次の攻撃を防げば、理恵ちゃんと杏ちゃんを同時に攻撃すると。




そうなれば、私に防ぐ手立てはありません。




なら、私にできる事はただ一つ。




殺人魔法クラスのその魔法を、その身で受け止める事。






大丈夫、二人は生き残るはず。



どんなに辛い目にあったって、二人が生きていれば問題ない。




だって、二人は私の… 親友だから。






「さぁ、食らいやがれ!」




そう言って放たれた魔法。



私は、障壁の全てを解除してその攻撃が来るのを待ちます。





それを見つめながら目を閉じれば、駆け巡る走馬灯。



楽しかった今日一日の出来事。




ここ最近に起こった図書館での出来事。



お母さんのお墓参りに行った事。




おとおさんと過ごした幸せな家族の時間。





そして、数々の人の笑顔。





それを想い、私は涙します。




あぁ、やっとお母さんに会えるんだと。




ようやくあの暖かい腕の中に戻れるんだと。





別れの悲しみ。


再会の喜び。



それを胸に、迫った業火に焼かれようとした時…






「美穂ちゃん!!!!!!!!」






その炎は私の前で忽然と消えました。




一瞬の悪夢。



でも、それが消えたのは事実。




声のした方を振り返れば、杏ちゃんの苦しむ姿。




それだけで、私は何が起こったのか瞬時に理解しました。








杏ちゃんの特殊能力。



『封魔』





魂の魔力生成機構を逆転させることにより、自分を中心に半径数十メートルの空間の魔力を魔素に戻す魔法。




全ての魔法を封じる究極の秘密兵器。




ただ、その代償は果てしなく大きい。





本来あるべき魔力の生成機構を、一瞬とはいえ逆回転させる。



それは、つまりは魂の維持に必要な魔力を完全に失うという事。





足りない力は、自身の魂を崩して補われ、命と引き換えに一瞬の奇跡を可能にする魔法。






それに気づいた時、私はもう抑えられませんでした。




杏ちゃんの作ってくれた、確実に魔法の効かない一瞬の隙。




その隙を縫って、構想だけしていて使わなかった第三の魔法を発動させます。






存在魔法 応用型 『圧殺』





相手を自身の魂でくるみ、押しつぶす殺傷魔法。




この魔法を受けた時点で、相手は魔素の障壁に包まれるため、一切の魔法の発動ができなくなります。





そして、これはあの宮沢先生でも例外でなく、空中に漂っていたファイヤーボールが拡散していきます。




でも、それだけでは終わらせません。



魔力消失空間で多少はダメージを受けたとはいえ、魂内の魔力変換機構で高速に魔力を生み出せる私の魂。


その膨大なエネルギーを全て力に変え、相手を押す力をどんどん強めていきます。



それに伴って、宮沢先生の悲鳴が聞こえてきました。





でも、私は手を抜きません。





相手の魂が徐々にきしみを上げ、肉体と魂の結合が弱まっていくのを感じます。




私の気持ちに答えたのか、私の魂が青白く発行してそれが宮沢先生を押しつぶす様が鮮明に見えます。





(あと一息…)





もうちょっとであれは壊れる。




そう確信しました。





命の消える前の最後の輝き。



所詮、無駄なあがきともいえる抵抗。




朦朧としているだろう意識の中で、生存本能のみに動かされ、抵抗する体。




しかし、それも一瞬の事。




私が最後の押しをしようとした瞬間。








「そこまでなのです!!!!!」






聞こえたのは酷く懐かしく感じる声。



ここしばらく、私の魔法を見てくれた、師匠であり、弟のような存在である彼。






一瞬の言葉に、彼を縛っていた魂がほんの少しだけ緩みます。





その瞬間、彼は詠唱を飛ばして、魔法を発動させました。





【レジスト・シールド】





魂の障壁の中で何かが変わる瞬間。





それは、魂の壁を突き抜けて発動した魔法。





内部の魔素が急激に魔力に置き換わり、それが私の魂を押しのけようとします。




必死に押し返そうとしても、その膨大な魔力の前に、私の魂はついに弾き飛ばされてしまいました。






「やり過ぎなのです。


…でも、まぁ、仕方のない事なのです。」






そう言って、どこか悟ったような雰囲気をもつ彼。




それを見て、怒りの矛先が彼に向こうとした瞬間…





「ちょっと眠ったほうが良いのです。 …頭を冷やすのです。」





そう言われるや否や、私の意識は強烈な睡魔に襲われました。




必死に抗おうとしても、どんどん私の意識は飲みこまれていきます。






最後の最後で必死に目を開けてとらえたのは、赤い硬そうな表紙の本を片手に立ちすくむ彼と、その目線の先で倒れている親友二人の姿でした。



とまぁ、これでようやく目標の一つに到達です。



いやぁ、今回は書いてて楽しかった。


長々と構想だけ練っていたのが、ようやく形になったわけですから。。。




魔法堂やチンピラなど、当初とは予定外のキャラクターも何人か出て、本格的に物語の一部が自分の手を離れて動き出したように感じます。



それに、椎名杏さんの特殊能力公開。



最初出た時に考えてはいたけど、思ったより構想が練りやすくて驚きました。


原理まで、まるで見てきたかのようにすらすらと書ける自分の腕…。



小説を書く人の気持ちがようやく一つ分かったような気がします。



もう、これは自分だけの物語じゃないんですね。





さてさて、そしてまたいくつか出てきた伏線。



宮沢先生と神埼美穂さんの関係とは如何に?


最後の最後で登場したブックー君の持つ物とは?



そして、自分でもまさかとは思ったけど、この流れでは井原理恵さんと椎名杏さんが本編の舞台袖から表舞台に上がるのか?



てか、この二人、出てきた当初は設定だけ考えたキャラだったのに、重要な位置に近づきすぎ…



まぁ、これからの話は作者の思い描いていたのより複雑になりそうです。



でもまぁ、特に結末に影響するようなことは無いし、このまま続けていきたいと思うんで、今後も期待していてください!

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