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第20話:操り人形と運命の糸

「んたかたー、んたかたー」



今日は上級書庫の整理整頓です。


こっちは、乱れているところが少ないし、ちょっとズルをできるので楽勝なのです。


でも、広さは一般書庫の何倍もあるんで、時間はやっぱりかかるのです。




【修正プログラム起動 本の登録と存在箇所の間違いをサーチ 正確な位置情報の検出 誤差の修正を確認】



「使うのです。【|put in orderプッティンオーダー】」


魔法の発動と共に、僕のいるエリア全体に魔法陣が発現するのです。


これは、元から組まれている魔法陣をいくつか利用することで、効率的に発動できるようにしてあるのです。


そして、その魔法陣のサポートを受けながら、間違っている本を飛ばして元の位置へ戻していくのです。


ただ、間違いはあまりないため、すぐにこの棚は片付いたのです。




「次の棚へ行くのです。」




そして、同じ事を繰り返すのです。


あまりいっぺんに多くをやると大変なので、少しづつ区枠別に整理していくのです。



そして、半日もする頃にはひと段落ついたのです。




「ふぅ、今日のノルマはおわったのです。」




最近だと、この後に色々準備をしてから女の子の魔法の勉強に付き合うのです。


ただ、今日は用事があるので来ないらしいのです。



だから、今日は僕も久々に休むのです。




「ふわ~ぁ。今日も良いお天気なのです。」




中庭に出ると、庭一面の林とその中の遊歩道。そして、木々の間から差し込む木漏れ日が気持ちいいのです。


ここ最近は天気の操作をしていないけど、晴れの日が続いているのです。


ただ、そろそろ雨の一降り位無いと、木が弱ってしまうのです。


週が明けたら雨雲でも呼び出そうかと思いながら、ゆったりと散歩を楽しむのです。




「お、ブックー。こんなところにいたのか。」


「あ、マスターなのです。」



と、林の少し開けたあたりで、横道からマスターが出てきたのです。



「もう死神は帰ったのですか?」



「いや、今は出かけているだけだ。もうしばらくはこっちにいるらしい。」



「死神も案外暇人なのです。」



「今はそうじゃないが… まぁ、その内立ち直って帰るだろう。」



「それが良いのです。存在はそのあるべき場所で役目をこなすのが存在意義なのです。」



「だが、時にはしがらみから解放されるのも必要だぞ?」



「それは、仕事をしている人の言うセリフなのです。サボっている人は言っちゃいけないのです。」



「うぐっ。それを言われるときついな…」



「マスターはきちんとやっているのです。『無限書庫』は管理者がいなければ回らないのです。それに…」



「ブックー、それ以上は言っちゃダメだ。」



「あ、…すいませんです。ここは外だったという事を忘れていたのです。」



「確かに、今日はいい天気だ。気が緩むのも分かるがな。」



「ほんと、面目ないのです;;」




ちょっとしょぼんとして俯くのです。


マスターの役に立ちたいのに、肝心なところで迷惑かけてばかりなのです。



もっとしっかりとやれるように、自分を磨くのです。




「あ、そういえば、マスターに会いたいという女の子がいるのです。」



「女の子?」



「はいなのです。マスターから魔法を教わった女の子なのです。」




「…あぁ、あの子か。」



少し悩んで思い出したようなのです。


マスターは交友範囲が狭いので、少し最近の出会いを思い起こせば簡単なのです。




「それで、用件はなんだった?」



だから、それを思い出したあとに来る質問も答えを用意していくのです。


案の定きたその質問に、僕は最近の事を交えながら話すのです。



魔法を教わりたいと言ったので、かわりに教えている事。


かなり才能があって、修練度も早い事。


あと、『白の本』がその子に興味を持っている事。




「なるほど。という事は、彼女が継承者か。」



「まだ決まってはいないのです。それに、『白の本あいつ』も時じゃないと言っていたのです。」



「なら、まだ静観しておこう。あぁ、もしもの時のために、一応その子の身辺も調べておいてくれ。契約者を探すとはいえ、悪用されて滅ぼさないといけないなんて事になったら大変だからな。」



「あの子は良い子なのです。僕の仕事を手伝ってくれたのです。」



「まぁ、良い子だとは思うが、その周りに彼女の事を利用するやつがいないとも限らんからな。」



「なるほど、分かったのです。ちょっと調べてみるのです。」




「怪しまれない程度にな。」



「分かっているのです。ブックーにお任せなのです。」




僕は心の中で気合いを入れるのです。


今度こそマスターに褒めてもらえるように、頑張るのです。




「じゃぁ、俺はそろそろ部屋に戻るよ。夜にはちょっと出てくるから、留守は任せる。」



「はいなのです。行ってらっしゃいなのです。」




そう言って、帰っていくマスターの後ろ姿を見つめるのです。


そこには、分かりにくいながらもほのかな優しさを感じるのです。


きっと、何か僕には想像もつかない事を考えているのです。




マスターが木に隠れて見えなくなったころ、僕も歩き出すのです。


指示があったので、次の行動の準備が必要なのです。



まずは、行動を起こすために予定を開けるのです。


さっそく明日から出れるように、準備万端にするのです。


物語の糸は単調に絡み合い、未来を予感させる。



世界は紡がれるべくして語られる歴史の糸をたどる。




今、主役は舞台に上がり、劇の準備は執り行われる。




これは、喜劇となるか悲劇となるか。



はたまた、予期せぬ波乱を巻き起こすか。




全ての中心に主人公はまだ立っていない。




しかし、物語は動きだした。





始まりは一つの出会い。



運命の糸に導かれ、役者は道化を踊る。




しかし、果てはまだ見ぬ分かれ道。





死神と少女の物語の果てに、見えてくる未来ははたして?

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