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一章 第1話:本の海のその先に…

私たちは図書館探検隊です!



私達の住んでるここ、首都アルハザードには、一つの図書館があります。


その図書館は、見た目ただの一軒家ですが、中はなぜか膨大な広さがあります。



入口がいくつかあり、それぞれ別の町や村や異世界やら果てはどこかわからないとこにまでつながっていて、いろんな人が出入りしてます。


むろん、物理法則や魔法法則なんか無視して、なんか距離感や限界が無いです。



でもって、その図書館にある一角。


結構みんな知らない(なぜか気づかない)一角に奥に続く階段があります。


そこを調査するのが私達、図書館探検隊の仕事なんです!!




「と、力説するのは良いけど理恵、どうやってそこに入るの?」


「もう、あんちゃん分かってないな、それを今から3人で考えるんでしょ?」


「はぁ、そう来ると思ったよ。。。」


「たしか、誰も入れないんだよね?」


「うん、前も話したけど、なぜか透明な壁みたいなのがあって、阻まれるんだよね。」


「魔法障壁でも張られてるんじゃないの?」


「ううん、調べてみたけど、魔力らしい反応はなかったよ。」


「じゃぁ、本当に透明な壁があるとか。」


「それも、調べてみたんだけど、普通に本は貫通するのよね。」


「じゃぁ、やっぱり魔法なんじゃ??」




「と、着いた。実際見てもらった方が早いね。あそこの角だよ。」



「「…」」



「いま、あの人あそこから出てきたよね?」


「だね。やっぱり普通に通れるんじゃないの?」



「いや、でも実際触ってみればわかるって!!」




ぺたぺた…



「でしょ?」



「ほんとだ。なんか壁があるね。」



「魔法… でもなさそうだし。。」



「でも、本はこうやって… 普通に通るのよ。」



「「…」」



「どうなってるんだろ?」



「本以外通れないようにする魔法とか?」



「でも、さっきの人通ってたよね?」



「それに、魔力も感じないし…」




「ま、これをどうやって乗り越えるかが図書館探検隊の今後の課題ってわけね。」


「うん、なんかいろいろと面白そうだから付き合うよ。」


「私も、頑張って方法探してみるね。」



「じゃぁ、明日までに何か対策を考えてきてね!!」



「「うん、わかった」」





そうやって別れたのがさっきのこと。


でも、私、神埼美穂はちょっと用事があって図書館で調べごと。


だから、先に二人には帰ってもらって残ってます。





「…あれ?」



と、本を探していると見覚えのある人が歩いていました。


黒い服に眼鏡、いかにも学者風な人。


この図書館ではよく見かけるタイプの人です。



でも、あの人確かさっき透明な壁の向こうから出てきた人じゃ?




そう思って、とりあえず後をつけてみます。


なんか、とくに本を借りに来たわけじゃなくて、ただ巡回してるだけ見たいにも見えますが、どうなんでしょう?


あ、なんかどんどん人気のないところに向かってきます。



たしか、さっきの透明な壁のある方です。


もしかしたら、また壁の奥に帰るつもりなのかもしれません。


そう思ったら居てもたってもいられなくなりました。



「あの!!」



「ん?」



後ろから声をかけると、その人は振り返ってくれました。


思ったより低い声の、優しそうな人です。



声をかけてみたけど、どう話せばいいものか…


とりあえず、何か言わないといけないと思い…



「今日はいいお天気ですね!」


「そうなの?図書館の中にいると外の天気なんか気にならないから分からないね。」



あう…


なんか、めちゃくちゃ頭が混乱してます。


てか、この図書館って出口がいっぱいあるから、どこから出るかによって天気違うんじゃ?



ううぅぅ…



「?かわいいお嬢さん、僕に何の用だったかな?」


「あ、の… その… え~っと、 あ、あなたはさっき透明な壁の向こうから出てきた人ですよね?!」


「?透明な壁?」



「えっと、この図書館の奥にある本以外通れない壁のことです。」


「う~ん、あ、あそこのことか!」



「「…」」



「ごめん、君、そのことは忘れてくれるかな?」


「え…」



さっきまで優しそうだったお兄さんが、急に怖く感じます。


なんか、空気が私を圧迫するような感じで、声を出すどころか息もできません…



私の顔が青白くなってきたのがわかったのか、お兄さんから向けられるその空気がふわっと和らぎました。




「ごめんごめん、とくに訓練されたスパイとか言うわけじゃないんだね。。。最近そんなのばっかし相手にしてたから忘れてたよ。」



元の優しそうな声でお兄さんは言いますが、一度しみついた恐怖はなかなか覚めてくれません。



「あ… あの、わたし… 図書館探検隊に入ってて… 透明な壁の向こうを調べるって、理恵ちゃんと杏ちゃんと一緒に来て… それで、お兄さん見て、何か知ってるかなって思って… も、もう私こんな軽い気持ちで来ただけで、 別にスパイとかじゃなくて… えっと…」



「あ、あぁ、わかった、分かったから、そんな怖がらないで… って、ほら、泣かないで!」


「お気に触ったのなら謝ります! どうか殺さないでください!!!!  う、うえぇ~ん。。。」



「はぁ、バカやったかな?」



お兄さんが慰めてくれますが、どうやら私の頭は混乱してるようです。


しばらくはまともに動きそうもありません。



と、お兄さんが私の手を引いてくれます。


どうやらどこかに向かってるようです。


その時の私は、もう何が何だか分からなくて、導かれるままにお兄さんの後に着いて行きました。




これが、まさか大変な私の日常の始まりだとは、この時の私は考えもしませんでした。。

  

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