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第14話:存在魔法と魂の関係

ここは図書館の中庭の一つなのです。


木や草の間に少しだけ開けた場所があるので、そこで練習するのです。


本来は中庭を手入れするための中継地点なんですが、人目に付かずに戦える広い場所が図書館には無いので、ここにしたのです。



「まず、練習の成果を見せてほしいのです。でも、僕じゃぁ存在魔法に耐えられないから、適当に地面にでも向かって打ってほしいのです。」



「うん。でも、存在魔法は魔法と違うから感知できないんじゃ?」



「確かに、僕も魔素を直接見れるわけではないのです。ただ、魔素の濃淡なら分かるのです。存在魔法が使われれば濃度が濃くなり、その濃さで大体の威力は分かるのです。」



「すごい。魔素の濃度なんて分かるんだ…」



「感心するほどの事でもないのです。僕も、常にそんなのを気にしてるわけじゃないのです。ただ、知ろうとすれば分かるくらいなのです。」



「十分だよ。私なんて、自分の使う魔法がどんなのかまだ掴めてないもの。」



「じゃぁ、そのお手伝いをするのです。」



「うん、よろしく!」



「じゃぁ、まず使える技を見せてほしいのです。」



「うん。って言っても、2つだけなんだけどね。」




そういうと、彼女は手を合わせてから開き、そこに魔素を集め始めたのです。


そして、時間をかけてゆっくりと押しつぶし、それをまるでバスケットボールを投げるように放ったのです。



どん!



と、近くにあった木に当たって、その木が揺れました。


どうやら、あの木を狙ってたようです。



手際はあんまし良いとは言えないけど、目標に当てられるし、木も半分傾くような威力を出してるから、十分だと思うのです。



「これと、もうひとつが。」



今度は魔素が円盤のように集中し始めたのです。


そして、本当にゆっくりと魔力の濃度が上がっていくのです。



そして、ある程度の濃度ができたら外から他の魔素を取ってきて、くっつけ始めたのです。


これも、木の年輪のように何枚も何枚も重ねて、最初は拳大だったのが、徐々に普通の盾位に強化されていくのです。


そして、出来たそれに魔素を固めた物をぶつけて強度を確認して終わりみたいです。



「お疲れ様なのです。」



「うん。どうだった?」



「魔素砲の方は威力と精度は十分なのです。ただ、発動まで時間がかかり過ぎてるのです。あと、魔素障壁の方も、一人でよくやったというくらいなのです。発動までの時間が長いのと、年輪状にしたら耐久度が弱くなるので、1枚でできるようになった方がいいのです。」



「難しいなぁ。私の魂じゃぁ、押し固めるのにどうしても時間がかかっちゃうんだよね。」



「ん~。本来は魂をいくつも用意して、それぞれを扱ってやるから、もっと広範囲から強い力で押しつけられるのです。でも、今は無い物を求めてもしょうがないのです。だから、ちょっと魂の方をどうにかしないといけないのです。」



「魂って、何が問題があるの?」



「普通に生きる上ではそれでいいのです。ただ、存在魔法を使うには魂の魔素変換効率が低いのです。これじゃぁ、魂が力を出し切れていないのです。」



「つまり、魂が力を出し切って無いってこと?」



「その通りなのです。だから、力を出せるようにするのです。」



「でも、そんなことできるの?」



「出来るのです。無駄を省けばいいのです。たとえば、今は魂が肉体に縛られ過ぎていて、形を変えるのに余計な力がいるのです。それを、変えてやればいいのです。」



「どうやって?」



「それをするには、神と人間… 神と生物の違いを教えないといけないのです。」



「神様?」



「そうなのです。神様なのです。君は神様を知ってるのですか?」



「知ってるって言っても、神社やお寺に祭られている物を拝んでいるだけだけど。」



「その神様じゃないのです。詳しく説明するのです。



神とは、魂だけで生きる物。生物とは、魂と肉体が結ばれてできる物なのです。


神はその魂だけで存在を完全に保てるのです。


でも、生物は肉体と結びついて初めて完全になる、不完全な魂しかもっていないのです。


ゆえに、神は魂に置いてすべての生物より勝っている存在だと言えるのです。



でも、神も万能ではないのです。


すべての神は魂だけでその存在を完全に保てるとは言え、肉体と結びついた方が消費が少ないのもまた事実なのです。


だから、神は特定の場合を除いて肉体と結びついて生活しているのです。




そして、この魂と肉体を結び付けている物を、『魂と肉体の契約』と呼ぶのです。


契約と言っても、約束事があるわけじゃなくて、何がどうなった時にどうするのかという法則があるだけなのです。


たとえば、魂は肉体に宿って安定させてもらう代わりに、肉体を守る司令塔の役割を果たすのです。


そして、肉体が損傷を負い過ぎた場合は魂と肉体の契約は解除されるのです。



今回は、この魂と肉体の契約が問題なのです。


この契約が強いと、魂は肉体の範囲から飛び出しにくくなるのです。


逆に、肉体が過度の損傷を負っても離れにくい… つまり、死ににくくなれるから一長一短なのですが、その分苦しみも増すので人によりけりなのです。



で、その魂と肉体の契約なのですが、実は強めたり弱めたりすることができるのです。


ただし、やり過ぎると大変なことになるのです。



強め過ぎると、新陳代謝とともに魂が少しずつ崩れていくし、弱め過ぎれば魂が肉体から乖離… つまり、死んでしまうのです。


でも、少量の変更なら別に命に別条はないのです。


それに、これは神がたびたびやるくらい簡単なことなんで、慣れれば楽勝なのです。」



「なるほど。でも、それってどうやるの?」



「契約の変更は、魂を使うのです。


肉体と結びついているコアが魂にあるはずなのです。


それを、薄くすればいいのです。」



難しいという顔をして眉を窄められてしまったのです。


ちょっと、いっぺんに言いすぎたかもしれないのです。


でも、ここからが重要なのです。



「まぁ、理屈は後から付いてくるのです。それより実践なのです。」



「うん。わかった。やり方教えてくれる?」



「分かったのです。まず、コアの認識から始めるのです。僕が君の魂をゆっくり体から引き離すので、コアを感じてほしいのです。」



「そんなこともできるの?」



「本来はできないのです。でも、ちょっと裏技を使うのです。」



「裏技?」



「これは秘密なのです。教えちゃいけない事なのです。」



「うん。わかった。じゃぁ、聞かない。…お願いね。」



「分かったのです。」




そして、ゆっくり引き離しにかかるのです。


これは、『超越した技術』の一つで、魂吸収という技の応用なのです。


本来は相手の魂を取り込んで自分にものにする魔法なのです。


でも、相手の魂と自分の魂の接点を混合状態にすると、疑似的につながる事が出来るのです。


そして、このまま引っ張れば魂が引きずられるのです。



「いくです。」



「うん。 …っ!!」



一瞬、彼女の顔が驚きに変わるのです。


ただ、その後、とろんとした表情になってくるのです。



「寝ちゃダメなのです。意識をはっきり持って、寝ないように頑張るのです。そうすれば、コアを感じられるはずなのです。」



「う、うん。頑張る。」



「声を出し続けるといいのです。」



「声って、えっと、あぁ~♪」



「それでいいのです。じゃぁ、もうちょっと引き離すのです。」



「あぁ~ぁ~♪」



と、また少し眠そうになるのです。


でも、さっきよりは意識があるのです。


このまま、もうちょっと離すのです。


そうすれば、そろそろコアを感じられるはずなのです。



「あぁ~♪ お?」



「なんか感じたのですか?」



「なんか、魂が暖かい所がある。」



「そこがコアなのです。そして、ここからが肝心なのです。そのコアを、自分の魂を動かすように、ちょこっとだけ動かしてほしいのです。」


「ちょこっとって、どれくらいの強さか分かんないよ。それに、どっちに?」



「あぁ、自分のできる最低の力で肉体と反対方向にです。」



「…こう?」



「僕は実際見てないので分からないのです。あとは、自分が死なない程度に引き剥がすしかないのです。」



「う~ん、難しいよ。」



「まぁ、慣れれば簡単なのです。ただし、自分の限界以上に引き剥がすのだけは絶対禁止なのです。」



「うん。私もまだ死にたくないし。」



「じゃぁ、出来たら教えてほしいのです。終わるまではこのまま頑張るのです。」



「うん… … …っ! … … … …っ!」



だんだん彼女の顔がとろんとしてきたのです。


意識は辛うじてあるみたいなんで、後は信じて待つだけなのです。



でも、これが結構難しいのです。


魂を引く強さを下手に変えると、失敗するかもしれないのです。


だから、頑張って一定にできるように意識を集中するのです。



「…っと、これくらいでどうかな?」



「うん、じゃぁ、一回解除するのです。」



「おねがい。」



そして、これも難しいのです。


魂を一気に戻すと、小さくなった結びつきのせいで魂に押しつぶされる可能性があるのです。



例えるなら、ピンと張ったゴムをゆっくり戻すかそのまま離すかの違いなのです。


だから、慎重にゆっくりと戻していくのです。



「…なんか、重い…」



「それは、魂の重みなのです。結びつきが弱くなっている分、魂が重く感じるのです。」



「ずっとこのまま?」



「慣れると感じなくなるのです。それに、存在魔法を使わなければ自動的に結びつきも戻って行くのです。自然回復で80%位は行くはずなのです。」



「じゃぁ、また引き剥がさないといけないのか…」



「すぐに元に戻るわけじゃないのです。それに、存在魔法を使って練習をすれば、結びつきを弱いまま保つこともできるのです。」



「うん。じゃぁ、頑張る!」



「その意気なのです。じゃぁ、さっそく魂を動かしてみるのです。ただし、最初はゆっくり動かして、いつもとどう違うか見極めてほしいのです。無いと思うけど、もしも無理に動かしたら、魂が千切れ飛ぶ可能性もあるのです。だから、注意してほしいのです。」



「わかった。やってみる。」



そう言って、彼女は魂の調子を見始めたのです。


でも、やっぱり勝手が違うらしく、思ったよりも軽い力で動くことに驚いているようなのです。



「こんなに動きやすくなるなんて…。」



「あとは、魂で魔素を押しつぶしてみるのです。」



「うん。やってみる。」



そして、濃度が上がっていくのです。


ただ、さっきまでとは桁違いに速いスピードなのです。



濃度が上がり始めたと思ったら、すぐにさっきの濃度を追い抜いてすごい硬さになったのです。



「すごい、なんか簡単にできる。」



「じゃぁ、その魔素を放ってみるのです。」



「うん。…てい!」



どご~ん!!!!!



と、先まで斜めだった木が完全に倒れているのです。


それに、よく見ると木の魂が少し飛び散っているのです。


これは、予想外に強いのです…



「やった!成功!」



「すごいのです。でも、ちょっと強すぎるのです。」



「えっと、木を倒しちゃってごめんなさい。」



「いや、そっちの事じゃないのです。威力の事なのです。」



「えっと…」



「さっきまで使っていた魔素砲なら、せいぜい相手を突き飛ばす程度の強さだったのです。でも、今の魔法は相手の魂を吹き飛ばすほど強力なのです。これを普通の人間に向かって打ったら、相手の魂は肉体を離れてしまうのです。」



「そんな!じゃぁ、人間相手には使えないの?」



「威力を抑えれば使えるのです。その辺は、練習でどのくらい固めれば、どれくらいの威力が出るのか覚えるしかないのです。」



「なるほど。」



「っと、今日はそろそろ終わるのです。日が暮れてきたのです。」



「あ、ほんとだ。早いね。」



「もともとあまり時間がなかったのです。それに、魂を離している間は君は半分眠っていたようなものなのです。」



「なるほど。通りで早いんだ。」



「そうなのです。じゃぁ、そろそろ帰るのです。」



「うん。今日はありがとね。」



「はいなのです。あ、一つ言い忘れたのです。今日はもう存在魔法使っちゃダメなのです。」



「うん。あんな危険な魔法、そうそう使えないよ。でも、なんで?」



「さっきも言ったように、魂と肉体の結びつきが弱くなっているのです。これは、不安定な状態なのです。これ以上使えば、何かの拍子で結びつきが切れる可能性もあるのです。だから、使うなら最低限安定するまで待ってほしいのです。」



「うん、わかった。そうするね。」



「頼むのです。僕の教えたせいで死なれちゃ迷惑なのです。」



「うん。」



「じゃぁ、次はいつが良いのです?」



「また練習に付き合ってくれるの?」



「もちろんなのです。一度教えた以上は君は僕の弟子なのです。だから、最後まできちんと面倒みるのです。」



「優しいね。」



「そんなことはないのです。それより、次はいつにするのです?」



「う~ん、松崎さんにあの時のお礼もしたいし、夕方の時間で松崎さんとブックー君が空いてる日はある?」



「マスターは予定がよく分からないのです。偶にお客さんがふらりと来るから、いつ忙しくなるのか分からないのです。」



「じゃぁ、ブックー君は?」



「僕は、その時間ならいつでも空けれるのです。僕はやる事さえやれば暇なのです。」



「じゃぁ、明日の夕方また教えてくれる?」



「了解なのです。びしばし鍛えるのです!」



「よろしくね。」



「まかせろなのです。それじゃぁ、また明日なのです。」



「うん、また明日!」



そう言って、彼女は帰って行ったのです。


一応、図書館の入り口まではお見送りしたのですが、これ以上は外の世界に関わることになるので、あまり行きたくないのです。



だから、ここまでなのです。



「それで、いつまで見ているつもりなのです?」


【ばれていたか。】



「そりゃぁ、ばれるのです。あんなにじろじろ見ていたら。」


【うむ。次から気をつけるとしよう。】



「それで、お前は誰なのです?何のためにあの子を狙うのです?」


【別に、危害を加えるつもりはないさ。ただ、少々興味があってね。】



「ふ~ん。分かったのです。マスターも黙認しているようだし、僕がとやかく言うことじゃないのです。」



【良いのか?】


「良いのです。マスターの意思に従うのです。」



【では、ついでに少々頼む。あの子にはまだ私の事は告げないでほしい。】



「良いです。ただし、理由を聞かせてほしいのです。」


【なに、まだあの子には早すぎるというだけだよ。私を背負う重みは。】



「苦しめるのです?」


【いや、求めに応じるのみ。】



「なら、信じるのです。でも、もしあの子を泣かせたら…」




僕がお前を殺してしまおう…




【分かった。肝に銘じておこう。】


「そうするのです。じゃぁ、僕は帰るのです。」



【仕事か?】


「そうなのです。表はおわったけど、裏の本棚を整理しないといけないのです。」



【先ほどは暇だと言っておったろうに。】


「明日の分もやるのです。そうすれば、明日は暇になるのです。だから、嘘は言ってないのです。」



【…まぁ、良い。それでは、私は少し眠ろうか。】


「そうするです。お休みなのです。」



【あぁ、また話そうぞ、『無限書庫の管理人格』。】


「分かったのです、『世界を内包せし真理の書』。」



さて、一応主要キャラは出し終えました。

これから増えるかもしれませんが、今思いついているのはこれだけです^^v


さて、キャラの数だけ物語はあり、人と人とは密接につながっている物。


これから、物語の中でその関係が明らかになっていきます。


果たして、最後に待ち受けるのは幸せな結末?

それとも、悲しい結末?


物語を決めるのはあなた自身。



※最終話の内容は、それまでのユニークアクセス数が今の4倍に達しているかどうかによって変える予定。


8月19日10時現在:5066人なので、2万アクセス目指して頑張ります!

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