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人格論  作者: 第一
7/7

おわりに




人について考えていると、

最後にはいつも言葉が足りなくなる。


人は選択の中に現れる。

人格には根がある。

善意は自発的に生まれる。

関係は対等である方が穏やかだ。


そうした考えは、

ある程度までは説明することができる。


だが、それでもなお、

最後に残るものがある。


それは、

理屈では整理できない感情だ。


誰かの存在を、

ただ愛おしいと感じる気持ち。


その人が何をしているかよりも、

その人がそこにいること自体が

静かな意味を持つような感覚。


人は人生の中で、

多くの人と出会う。


その多くは、

やがて遠ざかっていく。


時間が流れれば、

関わりは薄れ、

記憶も少しずつ形を失っていく。


それでも、

ごくまれに、

消えない人がいる。


理由ははっきりしない。


その人が特別に優れているわけでも、

特別な出来事があったわけでもない。


ただ、

その人がその人であるという事実が、

心の中に残り続ける。


その存在が、

人生のどこかに

静かな重さを持って残る。


人はそれを、

愛と呼ぶのかもしれない。


愛とは、

相手を変えることではない。


相手を支配することでもない。


まして、

相手を救うことでもない。


ただ、

その人の存在を受け入れ、

その隣に立つことを

自分の選択として続けることだ。


人は一人でも生きていける。


それでも、

誰かと並んで立つことを選ぶとき、

人生は少し柔らかくなる。


その柔らかさの中で、

人はふと気づく。


自分が誰かを大切に思っていることを。


そしてその感情は、

理由を探そうとするほど

説明が難しくなる。


ただ一つ言えることがあるとすれば、

それはきっと

とても静かな言葉だ。


その人の存在が、

ただ愛おしい。


それだけで、

人は十分に幸せなのだと思う。


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