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銀色の雲の上  作者: 町屋りんご


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第2話 灰色の雲

僕の頭上に覆いかぶさる灰色の雲は、いったいいつになったらすっかり無くなってくれるのだろう?


現実はいつだって容赦ない。


薄暗い部屋の中で、新しくできた痣を鏡越しに見つめながらミハエル・ダミッシュはため息をついた。

鏡に映る顔は疲れ切っている。

内出血で広がる痣はどす黒く、触れると鈍く痛む。


(今日も生き延びろ。世界が壊れてしまわないように)



夏季休暇が過ぎて進級初日のギムナジウムに登校するため、ミハエルは身支度を始めた。


痩せ細った体にシャツやズボンをまとい、襟や手首の(ボタン)をきっちりと留める。

着こなしを神経質なほど確認し、黒い上着に袖を通す。

丁寧に身なりを整えると、ミハエルは顔を隠すように制帽を目深にかぶった。


―――銀色の雲の上を見てみろよ。


あの日出会った彼の言葉を心の中で反渇する。


それから静かに目を閉じ、深呼吸して自分に言い聞かせた。


「今日も演じきれ、ミハエル・ダミッシュ」


ミハエルにとって、演じることは生きることそのものだ。


今にも壊れそうな粗末な木戸に手をかけると、自分を奮い立たせて外に踏み出した。

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