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第五話
ゲッカとヤーミィが固唾を呑んで話を聞く中、クララの話は続く。
「アタシの気がかりはただ一つ。ゲッカ、ヤーミィ、アンタ達二人のことだった」
「そう、だったのですか……」
「だから俺達に会いに来たと?」
「いいや。本当は会うつもりはなくてね。一目元気にやっている様を見ることができればと思っていたんだ。けど、警察に保護されそうになっちまってねぇ。慌ててアンタ達の名前を出したのさ」
「あぁ、それで警官と一緒だったんすね……」
ゲッカが苦笑しつつ納得した横で、ヤーミィはクララに尋ねる。
「クララ様は、このまま我々のことを忘れてしまってよろしいのですか?」
「……そうだね。アンタ達もアタシのことなんてさっさと忘れておくれ」
「それは、クララ様の命令でもお断りします」
「俺もぜってぇ忘れませんよ、クララ様のこと」
想定外の返事にクララは驚愕の表情を浮かべた。
「なっ、なぜだ。アタシは上司としても人としても悪いやつで――」
「それがなんだって言うんすか。良いところだってちゃんとあったでしょ?」
ゲッカはそんな言葉と共に自身の懐から三枚の『マッサージ券』を取り出して見せた。
「クララ様が昔奢ってくださった屋台のおでん、とても美味しかったですよ」
ヤーミィもそう言って微笑む。
それを聞いたクララは、目に涙を浮かべつつも口角を上げた。




