第一話
ゲッカが店の前を掃除していると、一人の警官が声をかけてきた。
「すみません、ゲッカさんでしょうか?」
「あっ、ああ。そうだけど……?」
「こちらの子が、あなたのことを探していましてね」
警官に手を引かれていたのは一人の幼女だった。その顔立ちや雰囲気が、かつての上司と似ていると感じた彼は思わず叫ぶ。
「クララ様!?」
当の幼女は小さく頷いた。
「この子のことをご存知なんですね。良かった。では失礼します」
警官が立ち去り、その場にはゲッカと幼女が残された。そこへ先程の声を聞いたらしきヤーミィが店から出てくる。
「ゲッカ?なにごとで――ややっ!?」
彼は目にした幼女の前でしゃがみ込み、その両肩に手を置いた。
「もしやクララ様でございますか!?」
「久しいな、ヤーミィ。それからゲッカも」
その声は幼女とは思えないほど低く、そしてどこか威圧的な口調だった。
「どうしたのですか、そのお姿は」
「わからん。その辺りの記憶がない」
「とりあえず、続きは中で話そうぜ?」
ゲッカの提案に、ヤーミィも異論はなかった。
「それもそうですね。では中へどうぞ、クララ様」
「……あぁ」
クララは促されるままに店内へと足を踏み入れる。
その後に続くゲッカは念の為にと扉にかけてある看板をひっくり返した。
幸い店に客はおらず、三人で話すにはちょうどよかった。




