第7話 視える世界の違和感(ディスコード)
いつも読んでいただきありがとうございます、霧島ロジカです!
更新はなるべく平日のお昼頃にしていこうと思います。
今回は、シルヴァーダ遺跡で見つけた謎の記述をきっかけに、
レンの身に異変が起き始める回です。
ミオとのやり取りも、少しずつ距離が縮まってきています。
それでは本編をどうぞ!
シルヴァーダ遺跡から持ち帰った断片。
古びた金属片に刻まれていた線刻は、ただの模様ではなかった。
レンは宿の一室で魔導機を展開し、断片に触れていた。
不明言語パターン検出
エミグレ系統言語との一致率:37%
解読試行しますか?
「やっぱりエミグレ文書の系列か」
ぼそりと呟いたとき、背後から声がした。
「また一人で抱え込んでるわね。そういう癖、早めに直しなさいよ?」
ミオは腕を組み、じっとこちらを見ている。
レンは肩をすくめた。
「抱え込んでるわけじゃなくて、ただ、危ない可能性があるからな」
「それが抱え込んでるっていうのよ!」
ミオはずいっと距離を詰め、机の上の金属片を覗き込む。
その瞬間、レンの視界に青い文字列が走った。
(え?)
視界の端に、コードのような構造体が浮かんでいる。
魔導機を起動していないのに、だ。
視覚領域:干渉検知
魔力の変動を直接認識しています
(直接? 魔導機越しじゃなくて?)
ミオが眉をひそめる。
「どうしたの? 顔色悪いけど」
「いや。。ちょっと視界に変なものが」
言い終える前に、窓の外から悲鳴が上がった。
「魔物だ!町の中に侵入してきたぞ!」
ミオが窓から身を乗り出す。
「えっなんで街中に!? 結界はどうしたのよ!」
「確認しよう」
二人は即座に外に飛び出した。
町の中央通り。
人々が逃げ惑い、その中心に牙を剥く二体の影。
サークル・フェロウ
中型犬ほどのサイズだが、体表に魔力結晶が浮かぶ凶暴な魔獣だ。
ミオが杖を構える。
「なんでコイツらがここに。。結界をすり抜けてる!?」
「いや、違う。コイツら。結界の弱点を知っている動きをしてる」
レンの視界には、魔獣の周囲に奇妙な赤い線が重なって見えた。
まるで、生物そのものをコード化しているような
生体コード解析開始
弱点部位:魔力核(首後部)
行動ルーチン:刺突 → 跳躍 → 側面回避
(見える。こいつらの行動パターンが)
ミオが叫ぶ。
「レン、危ない!」
一体のサークル・フェロウが跳躍し、レンへ飛びかかった。
だが、レンはそれより一瞬早く地面へコードを展開した。
コード:衝撃緩衝 → 反転打撃
自動実行
「起動」
地面が波打ち、魔獣の体勢が崩れた瞬間
レンは魔導機を叩きつけるように操作した。
魔力弾:強制分散
光の弾が魔獣の核を撃ち抜き、サークル・フェロウが霧散する。
ミオは呆然と口を開いた。
「れ、レン。。いまの」
「なんとなく、弱点が視えたんだよ」
「視えたって……どういう意味よ!? 説明しなさい!」
「いや、俺もよく分からない」
二人が言い合っていると、残る一体が通りの奥へ逃げようとする。
「逃がすわけないでしょ!」
ミオは風属性の術式を展開した。
その勢いに呼応するように、レンの視界に風の魔力が構造体として立ち上がる。
(ミオの術式まで。解析できる?)
術式補助コード生成
実行:魔風加速/威力30%向上
「ミオ、風の出力を維持して。補助を入れる」
「はい!? 補助ってなにを――」
言い終える前に、ミオの風刃が爆発的に加速し、
逃げる魔獣を一瞬で切り裂いた。
ミオはぽかんと口を開けた。
「い、今の。。私の魔法じゃないわよね?」
「いや、ミオの魔法が優秀だからこそ、補助が効いたんだよ」
「なっ!」
ミオの耳が真っ赤になる。
「べ、別に。。褒められても嬉しくなんか。。ないわけじゃないけど。。
勝手に補助するのはダメなのよ!? 心臓止まるかと思ったんだから!」
「ごめん、つい」
「つい、じゃない!」
通りの騒ぎは収まり、住民たちが安堵の声を上げ始める。
だがレンは、視界に漂う青い文字列を見つめていた。
(これは、覚醒の前触れだ)
ミオが心配そうに覗き込む。
「レン、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。ただ。これから少し、危ない場面が増えるかもしれない」
「だったら。私はもっと、あなたのそばにいないとダメね」
照れ隠しのように、ミオはフードを深く被った。
レンはその言葉に、静かに笑った。
お読みいただきありがとうございました!
今回は、レンの視覚化能力が表に現れ始める回でした。
ミオの魔法を補助するシーンは、二人の今後の関係性にもつながる重要な描写です。
次話も平日昼に投稿予定です。




