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第5話 再起動の残響と魔導の暴走

森の遺跡で封印を解いたレンとミオ。

だがその影響は、静かに世界に波紋を広げていた。

それでは、本編をどうぞ!

町の朝は騒がしかった。

昨夜、北の空で巨大な光柱が立ったという。

「魔力暴走だ」「神罰だ」と叫ぶ者まで出て、まるで祭りのような混乱だった。

レンとミオは、広場の喧噪を見下ろしていた。

「ねぇレン。あんた、また何かやらかした?」

「またって失礼だな。まだ何も起動してないぞ」

「そのまだが怖いのよ!」

そう言っているところに、冒険者ギルドの伝令が駆けてきた。

「北門に異常発生!魔物の大群だ!中にS級の反応が混じってる!」

ミオが青ざめる。

「S級!?この地方にそんな魔物がいるわけない!」

レンは空を見上げ、静かに呟いた。

「再起動の副作用、ってやつか」


北門に着くと、地平線の向こうに影が蠢いていた。

黒々とした巨体、波のように押し寄せる下位魔物たち。

その中心にいたのは、ひときわ異様な存在だった。

白銀の外殻を持ち、六本の腕と二対の翼を備えた《アズロ・カラドゥーン》。

伝承では終焉を運ぶ機械竜と呼ばれた、古代文明の兵器。

ミオが息を呑む。

「本当にいたのね。おとぎ話の存在が」

「まぁ、システムがリセットされたなら、封印も再起動されるってことだ」

「そんな理屈で片づけないでよ!」


レンは杖を構えた。

周囲に五つの魔法陣が浮かび上がる。

炎、水、雷、風、土 五属性の光が渦を巻く。

「レン、それ制御できるの!?」

「制御しない。自動処理する」

「余計怖いわ!」

レンは淡々とコードを紡ぐ。


for (enemy in targets) {

fireball(enemy);

iceLance(enemy);

thunderShot(enemy);

windCutter(enemy);

earthSpike(enemy);

}


五重の魔法が一斉に発射され、敵群を薙ぎ払う。

轟音が大地を揺らし、光と爆炎が交錯した。

だがレンは手を止めない。

彼の目が冷たく光る。


while (enemy.exists()) {

chainAttack();

}


「ループ、開始」

ミオが息を呑む。

「まさか、永続攻撃式!?そんなの、暴走する!」

「暴走?違う。運用だ」


炎が大地を焼き、雷が空を裂く。

氷が敵を封じ、風刃が粉砕し、土が貫く。

五つの属性が連続的に展開し、まるでプログラムのループ処理のように途切れない。


巨獣アズロ・カラドゥーンが咆哮を上げた。

翼を広げて魔力波を放つ。しかし、それすら上書きされた。

レンの放つ多重魔法が、演算のように再発動を繰り返し、

ついには白銀の外殻を砕き、巨体を地に沈めた。


周囲で見ていた冒険者たちは、声を失っていた。

「あれ、人間の魔法じゃない。。」

「五属性同時。。いや、あれはもう戦略兵器だろ」

「止まらねぇ。魔法が、止まらねぇぞ」

ミオは顔を引きつらせながらもレンの方を見る。

「レン、止めなさい! もう充分よ!」

「出口条件、忘れてた」

「忘れてたぁっ!?」

レンは慌てずに杖を振り、ひと筆加えるように空へ文字を描く。


if (enemy.exists() == false) break;


光がすっと収束し、静寂が戻る。

焼け焦げた大地の上には、ただ一体、砕け散った巨獣の残骸だけが残っていた。


ミオが安堵したのも束の間

周囲を取り巻いていた小型の魔物たちが逃げ出す。

「くっっ!まだ取り巻きが!」

「問題ない。もう処理済みだ」

レンの言葉と同時に、地面が淡く光った。


onTrigger(enemy) {

explosion();

}

逃げた魔物たちが次々と光に飲まれ、爆発的な光の輪が広がる。

まるで神が演算結果を確定させたかのように、戦場は完全に沈黙した。


風が吹いた。

灰が舞う中、ミオがレンに詰め寄る。

「正気なの? あれ、戦争できるレベルよ」

「いや、ただのループ処理だ」

「そのただが怖いのよ!」

レンは小さく笑い、杖を背負った。

「魔法はプログラムだ。命令を正しく書けば、結果も正確に出る」

「書き間違えたら?」

「世界が落ちる」

「笑って言わないで!!」

冒険者たちは誰一人近づけず、ただ遠巻きにその光景を見ていた。

彼らの頭の中には、ひとつの言葉しか残っていなかった。

人間の領域を超えている。

レンは空を見上げ、かすかに浮かぶ紋章に気づく。

《エミグレ文書:第零章 再起動は未完なり》

「やっぱり、まだ始まったばかりか」

ミオがため息をつく。

「ほんと、付き合う方の身にもなりなさいよ」

「ツッコミがあるうちは大丈夫だ」

「もう知らないっ!」

その言葉と共に、空に新たな魔力の波紋が広がっていった。


世界の“再起動”は、まだ序章に過ぎない。

次回、第6話「最初の断片、覚醒のプロトコル」

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