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第47話 三年の始まり、そして静かな誓い

時間は、まだ動いていない。

だが――

覚悟だけが、先に進み始めていた。

蒼紋のブルーリッジ

ここに集った者たちは皆、理解している。

この三年が、

世界の未来を決めるということを。


蒼紋の丘の地下深く。

レンが構築した“加速空間”の入口は、静かに光を放っていた。

円環状の魔法陣。

だがその構造は、魔法ではない。


コード。


時間・位相・存在密度――

それらを同時に制御する、創造主コードの応用。


レンは、最後の確認を終え、振り返った。


「……準備は整った」


その声に、全員の視線が集まる。

ミオ、セリス、カイ。

十二神獣たち。

セルヴァン。

そして――影の奥で静かに控える影守。


レンは、深く息を吸った。

「この中では、外の10日が……三年分になる」


ざわり、と空気が揺れる。

「楽じゃない。

 途中で投げ出したくなることもあると思う」


レンは、ひとりひとりの顔を見る。

「でも――

 ここを越えなきゃ、ゼヴァリオンには届かない」


カイが一歩前に出た。

普段の、少し軽い表情ではない。

だが、恐れもない。

「兄ちゃん。

 三年だろ? 悪くない」


彼は笑う。

「俺は――

 “竜王の器”で終わる気はない」


その言葉に、セリスが静かに並ぶ。

「……カイ。

 無茶はさせない」


彼女は弟を見る。

「あなたが折れそうになったら、

 私が引き戻す。

 姉として――竜として」


リュニスが、静かに頷いた。

《辰》リュニス

「原初竜王は、“人の形”で世界を統べた。

 カイ……君の覚醒は、正しい」


ミオは、少しだけレンを見上げる。

「……三年、か」


一瞬、目を伏せ――すぐに、強い視線に変わる。

「レン。

 私、置いていかれないよ」


レンは答えない。

代わりに、ミオの手をそっと握った。

「一緒に行く。

 最後まで」


ミオは、少しだけ頬を赤らめて、笑う。


セルヴァンが、ゆっくりと前に出た。

「レン殿」


レンは、自然と姿勢を正す。

「この空間……

 わしが“完全体”で戦うための準備でもあるのだな」


「はい」

レンは、はっきりと答えた。


「セルヴァンが本来の姿で戦えるよう、

 世界側の拒絶を、この中で削ります」


セルヴァンは、満足そうに目を細めた。

「……見事だ」


その一言は、

レンにとって何よりの評価だった。


十二神獣たちが、次々と声を上げる。

《子》チトラ

「バランスは、わたしが保つ」

《寅》ラガン

「三年あれば……もっと速くなれる」

《卯》リリア

「みんな、ぜったい……生きて出る……」

《申》コングル

「解析プラン、すでに三百案あります」

《未》フェリオン

「もこ……(防御、任せて)」

《午》ガイオス

「ヒヒッ!(駆け抜ける準備はできてる)」

《戌》バルゴ

「……わん!(全部、守る)」

《亥》ドルン

「ぶひっ!(壊すなら、任せろ)」


レンは、胸の奥が熱くなるのを感じた。

――守るべきものが、増えすぎた。

だが、それでいい。


「……行こう」


レンが、加速空間の起動コードを走らせる。

光が、円環を満たす。


その瞬間――


影の中から、セルヴァンが低く呟いた。


「ゼヴァリオンよ」


誰にも聞こえぬ声。

「三年で足りるかどうか……

 見ておるがよい」


加速空間が、完全に展開する。

外界の時間は、ここで止まる。

そして――

世界を変えるための三年が、始まった。


ついに始まった“三年”。

戦いではなく、成長の時間。

ここからは、

誰がどこまで自分を超えられるかの物語になります。

影界王ゼヴァリオンは、待っている。

だが――

待っている間に、世界は変わる。


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