第43話 創造主と姉の選択
世界には、
「語られなかった理由」と
「語れなかった覚悟」がある。
それを知る資格があるのは――
すでに世界を救う選択をした者だけだ。
それでは本編をどうぞ!
加速空間・最深層。
ここはレンが“誰も入れない”と設定した、
創造主専用の思考領域。
時間は完全停止。
魔力も、感情も、外界から切り離されている。
レンが一人、立っていた。
「……姉さん」
その声に応じるように、
空間が“書き換え”られる。
白いコードの粒子が集まり、
一人の女性の姿を形作った。
ユナだ。
「呼ばなくても、来るつもりだったわ」
彼女の背後には、
もう一つの“存在”が立っている。
――名もなき、創造者の残滓。
セルヴァンですら、
この姿を見たことはない。
創造者
『ここまで来たか、レン』
レンは、もう驚かなかった。
「……全部、聞かせてください」
ユナは、静かに語り始める。
「レン。
あなたが異世界に来るより、ずっと前……
私は一度、この世界に“接続”している」
レンの目が、わずかに見開かれる。
ユナ
「現世で、覚えてる?」
――夜更けの部屋。
無数のモニター。
キーボードを打つ姉の背中。
レン
「……あの時か」
ユナ
「ええ。
私は“世界生成コード”に、
偶然アクセスしてしまった」
創造者が、言葉を継ぐ。
『彼女は、本来なら存在してはならぬ“観測者”になった』
ユナ
「世界は、私を“バグ”と判断した。
だから私は――」
一瞬、言葉を詰まらせる。
「異世界側に“隔離”された」
レン
「……じゃあ、俺と別れたあの日……」
ユナ
「そう。
あれは事故じゃない」
彼女は、はっきりと言った。
「私は、自分で選んだ」
レン
「……じゃあ、俺は?」
創造者が、初めて真正面からレンを見る。
『お前は、ユナが残した“修正因子”だ』
レン
「修正……因子?」
ユナ
「私が消える前、
唯一できたことがあった」
彼女は、レンを見つめる。
「あなたに、“創造主コードへの適応性”を渡した」
レン
「……だから、俺は……」
創造者
『世界を書き換えても、壊れぬ』
レンの脳裏に、これまでの出来事が走馬灯のように流れる。
・十二神獣の創造
・自己消失を回避するルート修正
・時間操作を“自分に無害化”できた理由
すべて、一本につながった。
レン
「……姉さんが、俺を選んだんだな」
ユナは、微笑んだ。
「ええ。
弟だからじゃない」
一歩、近づく。
「世界を任せられる人間だと、信じたから」
レン
「……じゃあ、姉さんは?」
ユナは、少しだけ視線を逸らす。
「私は、もう“人”じゃない」
創造者
『彼女は“管理者代理”だ。
世界を導くことはできるが、
直接、干渉はできぬ』
レン
「それって……」
ユナ
「ええ。
決戦には、立てない」
沈黙。
だが、レンは俯かなかった。
「……それでいい」
ユナ
「レン?」
レン
「ここから先は、
俺たちの仕事だ」
振り返る。
「姉さんは、
“ここまで連れてきてくれた人”だ」
ユナの目に、涙が浮かぶ。
「……大きくなったわね」
創造者
『レン。
最後に一つだけ、確認する』
空間に、三年後の未来予測が映し出される。
・カイ――完全覚醒後の代償
・神獣――完成体実装のリスク
・仲間たち――死の可能性
創造者
『それでも進むか』
レンは、一切迷わなかった。
「進む」
即答だった。
「俺は、
誰かを“素材”にする世界を選ばない」
ユナ
「……それでこそ」
彼女は、最後の権限を解放する。
「レン。
これが、私から渡せる最後の“調整”」
――《創造主コード:最終安定化》
レンの内側で、何かが“定着”する。
創造者
『これで、お前は――』
『創造主ではなく、“創造者を超える人間”だ』
すべての答えが、ここに揃った。
レンは偶然ではなく、
選ばれ、託され、そして自分で立った存在だった。
ユナは、導く者としての役目を終え、
レンは、仲間とともに世界を背負う段階へ進む。
平日昼の更新です。次回もお楽しみに!




