表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/50

第30話 竜王因子の疼きと、影界王の胎動

戦場はひとまずの静寂を取り戻した。

しかし、その裏で動き始めた“二つの王の影”を、まだ誰も知らない。

カイ――

原初竜王の血を引く少年。その血は目覚めを始め、

世界の根幹にまで響く共鳴を生みつつあった。

影界王ゼヴァリオン――

セルヴァンの弟にして、影界を統べる絶対の王。

彼はついに、カイの存在を察知し、動き出す。

そして十二神獣もまた、世界の揺らぎを敏感に感じ取り、

新たなる“進化”の門を叩こうとしていた。

物語は、静かに、しかし確実に、

世界の深淵へと向かっていく――。


仮設拠点に戻った直後、ミオは真っ青な顔で叫ぶ。


「カイ! ちょっと、顔色どころじゃない!」


カイは膝をつき、胸を抑えて荒い息を吐いていた。


「だ、大丈夫……俺は……ただ、胸の奥が……っ」


その胸に“蒼い光点”が浮かぶ。

まるで鱗のように、脈打つように。

ミオは思わず後ずさった。


「……竜の、核……? 本物なの……?」


レンがすぐに駆け寄り、スキャンを走らせた。


「……カイ、これ、冗談じゃないぞ。

 竜王因子……原初竜王ソルヴァリスの“核コード”だ」


カイが驚く暇もなく、背後の影が揺らいだ。


「ほっほ、思ったより早かったのう」


セルヴァンが現れた。

あの飄々とした老人の姿のまま、しかし目は真剣だった。


「カイよ。おぬしは近いうちに選ばねばならん。

 竜王として生きるのか。

 それとも……“影王の器”として生きるのか」


「影王……? 俺が……?」


「む……わしの弟、影界王ゼヴァリオンの気配が近い。

 あやつは必ず、おぬしを求めてくるぞ。

 その血、その核、その器……どれも影界にとって“宝”じゃ」


セリスが睨みつける。

「カイを巻き込ませない! 絶対に!」


セルヴァンは穏やかに目を細めた。

「心配するな、セリスよ。

 わしとてカイが弟の手に落ちるのは不本意じゃ」


***

場面は影界――深淵の宮殿。

黒い波紋の玉座に、影界王ゼヴァリオンが座していた。


「……ソルヴァリスの末裔……この時代に現れるとは」


側近・影滅十二将の一人が跪く。


「兄君セルヴァン様も、すでに動いております」


ゼヴァリオンは口の端を歪めた。


「兄上の器量では、あの器は持て余す。

 やがて我が影へと落ちる。

 竜王の核を抱えた器……“影王の心臓”となるのだからな」


禍々しい波動が玉座全体を揺らす。


***

再び拠点。

十二神獣が次々とレンの周囲に集まっていた。


《辰》リュニス

『……カイの中の“核”、ぼくたちを呼んでる……』


《子》チトラ

『世界の流れが……揺れてるの……

 レン、わたし、もっと……強くなれそう……』


レンは唇をかみしめた。

「……竜王因子と十二神獣のコードが、共鳴してる……

 このままじゃ、世界の地脈が変動するかもしれない」


ミオが不安げに問う。

「どうするの……レン?」


レンはきっぱりと宣言した。

「創造主コードの深層に入る。

 危険だけど……カイを守るには、それしかない」


コングル(申)が胸を叩く。

『レン、任せてください! 原初言語、もっと読めます!』


***

その夜。

カイは一人、外で風に当たっていた。

胸の核が、再び強く脈打つ。


「ぐっ……また……!」


蒼光が一瞬、竜の咆哮の形に変わる。

──『来い、器よ』

──『王の道を歩め』


カイは歯を食いしばる。

「俺は……何者なんだよ……!

 レン……助けてくれ……!」


空の彼方、黒い裂け目がほんの一瞬だけ開いた。

その向こうから、強烈な視線がカイを射抜く。


影界王ゼヴァリオン。


その存在が、この世界に手を伸ばし始めた。

影は動き出す。

そして“竜王の目覚め”もまた、止められない。


カイの竜王因子は、もはや無視できない段階に突入した。

レンは創造主コードの深層に挑む決意を固め、

十二神獣は新たな進化の兆しを見せはじめる。

そして――

影界王ゼヴァリオンの本格的な介入が、物語を大きく動かし始めた。

次回、ついに“影界の裂け目”が広がりだす。

影と竜、二つの王の運命が交差する物語は、

ますます深く、激しく、神話の領域へ踏み込んでいく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ