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第27話 影の執行官、出陣

戦の気配が近づく中、レンの拠点は慌ただしさに包まれる。

だがそこへ、さらに深い“影”が差し込む。

セルヴァンが遂に、影界王としての権能を明確に使い始める回。

そして──

十二神獣にも、最初の「試練」が訪れる。

では、本編をどうぞ!


夜明けの光が拠点の森を金色に染め始めた頃。

静寂を破るように、レンは深く息をついた。


「……セルヴァン、本気を出すのは“あえて”控えるんでしょう?」

すぐ隣で、老人の姿に戻ったセルヴァンが微笑んだ。

前回の戦闘で魔力を使いすぎたため、青年の姿は封印している。


「うむ。この戦は──“そなたらの成長”のための機会よ。

わしが本気を出せば、この大陸の地形が少々変わるでな」

「少々……で済まないでしょう?」

「済まぬかもしれん」


レンは額を押さえた。

「まあ、そういう理由なら納得だ。十二神獣のレベリングにもなるし」


セルヴァンは顎髭を撫でる。

「そうだ。特に《辰》リュニスは……“原初竜王ソルヴァリスの直属守護獣”。

この戦で一段階、殻が割れるじゃろう」


リュニスはレンの肩で小さくうなずいた。

「ピュゥ……(任せておけ)」


ミオがぴくりと眉をあげた。

「いまの絶対“任せておけ”って言ったわよね?」


レンは肩をすくめた。


「リュニスは分かりやすい。誇り高いし、これからが楽しみだ」

「ピュルル!(誇りとか関係ない!強いからだ!)」


リュニスがふんぞり返る。

ミオは笑って手を伸ばし、リュニスの頭を撫でた。


「かわいいわねぇ。ほんとに大物になるんでしょ? あなた」

「ピュゥッ!(やめろ!触るな!気安いぞ貴様!)」


声とは裏腹に、尻尾が嬉しそうに揺れている。

レンは喉を鳴らし、周囲を見る。

開拓メンバーも続々と集まっていた。


――ギルダ

(ハーフウルフ、筋力が化け物クラスの大工)


――フロル

(木精族、自然との対話ができる)


――ベリィ

(夜猫族、極端な敏捷に特化した偵察係)


さらに、いつものメンバー。

――ミオ

――セリス

――カイ

――セルヴァン

――十二神獣(《子》チトラから《亥》ドルンまで)


レンは全員を見渡した。

「――みんな、聞いてくれ。

敵の本隊が、いよいよこの拠点へ向かっている」


ざわめきが走る。

ベリィの耳がぴくっと動いた。

「……本当に? 昨日の索敵では、遠かったはずなのに」

「強行軍で距離を無視して進行してる。

普通の兵じゃできない速度だ。恐らく、黒紋の本隊」


フロルが小さく手を胸に当てた。

「戦……避けられないのですね……」


セルヴァンが杖をつき、前へ出た。

「だが安心せい。

わしが全て片付けるわけにはいかんが――

最強格の魔将『影守』は、すでに動かしておる」


ミオが眉をひそめる。

「影守って……なにそれ。初耳なんだけど」


セルヴァンは楽しそうに笑った。

「わしの亜空間に仕える“影”の精鋭部隊よ。

その中でも抜きんでて強い個体を一体――

先に敵本隊の“ど真ん中”へ送り込んでおる」


全員が一瞬黙る。

レンだけは苦笑し、肩をすくめた。

「……いや言ってくださいよ。そんな重要なこと」

「今、言うたであろう」

「もっと早く言ってよ」

「ふむ……すまぬ。そなたらの反応が見たかったのだ」


レンは深くため息をついた。

「まあ、理由は分かってる。“あえて全部は倒さない”んですね?」


セルヴァンはゆっくりうなずく。

「うむ。十二神獣の成長、そしてレン……

そなたの“創造主に繋がる力”も、この戦で磨かれる」


タイトな空気の中、十二神獣が一斉に声を上げた。

《子》チトラ 「キュル!」

《丑》モーロス 「ムゥォ」

《寅》ラガン 「ガァッ!」

《卯》リリア 「ぴぃー……」

《辰》リュニス 「ピュルル!」

《巳》ミィナ 「しゅるん……」

《午》ガイオス 「ヒヒンッ」

《未》フェリオン 「もこ……」

《申》コングル 「キキィ!」

《酉》シェルファ 「チュィ……」

《戌》バルゴ 「ワンッ!」

《亥》ドルン 「ぶひっ!」


この小さな軍勢が、いずれ“神級”に育つ。


レンは拳を握った。

「……分かった。

セルヴァンの影の影守が切り込み隊。

俺たちと十二神獣が中核。

そして最終的に、全員で勝つ」


セリスは竜の瞳でレンを見る。

「レン殿。

我ら竜族も……力を惜しむつもりはない。

《辰》リュニスとも……戦場で“交わる”時が来よう」


カイも笑う。

「俺も、あのちびドラゴンと共闘するの楽しみにしてるぜ。

なあ、リュニス?」

「ピュッ!(当然だ! 我が前に立つなよ)」


ミオが肩を組むようにリュニスを抱えた。

「はいはい、かわいい将軍さま~」

「ピュゥッ!?」


場の空気が少しだけ和む。


だが直後、ベリィが耳を震わせた。

「……来る。遠くで……何か“裂けた”音がした」


セルヴァンの目が細くなる。

「“影門”が開いたな。

影の執行官が本気を出した合図よ」


レンは息を吸い――

「行く準備をしよう。

次の戦いは……この拠点の命運を分ける」


十二神獣たちが走り出す。

セリスとカイが武装を整える。

ミオも短剣を腰に差し、髪を結い直す。


セルヴァンはゆっくり杖を掲げた。

「皆、よく聞け。

この戦――最初の大規模戦闘は、

影守が“道”を作る。

そなたらは……その先を“切り開け”」


レンはうなずいた。

「了解。

セルヴァン、本気を出しすぎないように」


「任せよ。

ほどほどに残しておくゆえ」


レンは仲間たちを見渡し――

「行こう。

戦いの幕が、いよいよ上がる」


影の風が拠点を包んだ。

そしてその中心で――

十二神獣たちの瞳が、一斉に光り始めた。


次回、第28話は──

ついに姿を現す 影の執行官 が主役。

セルヴァンの「影」の最強戦力とは何者か。

そして、敵本隊との激突が始まる。

十二神獣の“最初の覚醒”の気配も……。


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