第26話 戦火の前夜 十二神獣とエルドを守る者たち
敵軍の本体がついに動き出した。
エルドの町へ向けて迫る“黒紋”の大部隊。
レンは急ぎ拠点の全員を集め、初めての大規模軍議を開く。
新たに加わった仲間たちも参戦し、
十二神獣たちには初となる“戦場での役割”が与えられる。
そして、戦いの前夜――
静けさの中で、それぞれが大切なもののために覚悟を固めていく。
明日、すべてが動き出す。
■1 迫る影
「息が……上がる……!」
深夜の森を裂くように、二つの小さな影が走る。
《戌》バルゴと《酉》シェルファだ。
バルゴは息を弾ませながら叫んだ。
「レン……! 敵が……来てる……いっぱい……!」
シェルファは羽を震わせた。
「高度偵察で見たわ。
黒紋の軍、数万、いやもっと……。
進路は、エルドよ!」
その報告に、拠点の空気が一変する。
レンは短く息を吸い――告げた。
「全員、集まれ!」
■2 拠点総員軍議
広場に総勢が集まるのは初めてだった。
・ギルダ(大工・ハーフウルフ)
・フロル(木精族)
・ベリィ(夜猫族)
・ミオ・セリス・カイ・セルヴァン
・十二神獣全員
ギルダは柱に背を預けながら腕を組む。
「こりゃ本気で戦争ってわけだな。
言っとくが、俺の建てたものは簡単に壊れねぇぞ」
フロルは目を閉じ、掌を地面に触れる。
「……大地がざわついている。
森も、戦いを予感してるわ」
ベリィは高い木にひらりと登りながら、
「敵の足音が夜風に混じってた。
近いよ。もうあんま時間ない」
レンは一人ひとりの顔を見て、決断する。
「……迎撃に出る。
敵を、エルドの手前で止める」
全員の視線が引き締まった。
■3 十二神獣・初任務配備
レンは神獣たちに指示を飛ばす。
「モーロス、ギルダと一緒に拠点の要塞化を!」
「モ〜〜!(任せろ〜!)」
「シェルファ、空から敵の動きの監視!」
「了解!夜明けまでに全部把握してくるわ!」
「リリア、後方の治療班をまとめて」
「ぴょん♪ たすけるの、がんばる!」
「リュニスは上空制圧、敵の魔将を見つけたら報告!」
「はい、創主さま」
その声は幼いが、気品をまとっていた。
セルヴァンは横で笑う。
「これだけの戦力を一代で揃えるとは……恐ろしいわ、お主」
レン
「本気で守りたいものができたから」
■4 迎撃か、籠城か
作戦は二つに割れた。
セリス
「迎え撃つべき。
エルドの人々を守るのなら、戦場は向こうで選ぶべき」
カイ
「よっしゃ! 突っ込むんだな!?」
ミオ
「私は……レンに従う。
でも、戦うなら全力で」
レンは一度目を閉じ、深く息をついた。
「……よし。
エルドの前で迎撃する」
その声に、皆が頷いた。
■5 要塞化:ギルダとモーロスの職人戦争
ギルダ
「おいモーロス、そこ丸太運べ!」
モーロス
「モ〜〜!!(力仕事任せろ!)」
フロル
「根を伸ばすね……森も協力するわ」
ベリィ
「南側に敵の迂回路があるよ。あとで地図に描くね」
杭は打ちこまれ、
土壁は盛り上がり、
木々の根が絡んで天然の迷路を形成する。
レン
「……すごいな、職人の本気って」
ギルダ
「まだ序の口さ。明日には“砦”にしてやるよ」
■6 戦前の静けさ
準備が終わり、空が暗さを深めたころ。
レンは焚き火のそばで刀を磨いていた。
ミオが近づき、腰を下ろす。
火の光がミオの髪を揺らし、
肩のラインが柔らかく浮かび上がる。
ミオ
「……ねえレン。
怖い?」
レン
「怖い。でも……守りたいから」
ミオはそっと笑って肩に寄り添う。
ミオ
「じゃあ、私が支えるよ。
だって私は、レンの仲間だから」
胸をくすぐるような優しい声。
戦前の緊張が、ふっとほどける。
■7 黒紋の大部隊
その時――空から影が舞い降りた。
シェルファ
「レン! ついに動いたわ!」
バルゴ
「敵意……すごく……重い……」
リュニス
「敵将の魔力……ただ者ではありません」
セルヴァン
「“影の執行官”じゃ。
奴らが前に出るということは……本気だ」
レン
「全員、戦闘準備!」
風が止まり、森が沈黙した。
――明日、戦いが始まる。
十二神獣が初めて“戦場の役割”を与えられ、
拠点のメンバーはそれぞれが自分の得意を最大限に発揮し始める。
そして、戦いの前夜。
不安と決意が入り混じる静けさの中で、
仲間同士の距離が少し近づいた。
次回――
第27話「影の執行官、出陣」
黒紋の大部隊と、ついに激突。
お楽しみに。




