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第25話 湯けむり、揺れる想いと迫る影

拠点の温泉がついに完成。

疲れを癒やすはずの一夜は、なぜか“落ち着かない空気”に満ちていた。

ミオの放つ無自覚な色気に、レンの心は翻弄されていく。

しかし――その楽しい時間の裏で、不穏な影が城下へと迫っていた。

今日の25話は、

湯けむり多め・心拍数高め・そして最後に緊張感MAX の回です。


◆温泉、ついに開業

ギルダとモーロスの手による温泉小屋は、

まるで山間の名湯のような雰囲気を漂わせていた。

建材の隙間からこぼれる橙色の明かりと、ほんのり香る木の匂い。

湯気が立ちこめる湯船は、心まで温かくするような穏やかさを放っている。


レン

「すげぇ……ギルダ、本当に一週間で仕上げやがった……!」

ギルダ

「ふん、俺ァ職人だ。頼まれたもんは最高の形で返す。それだけよ。

 それに、モーロスも頑張ったもんな!」

モーロス(羊サイズの黒牛)

「もぅ!」


ミオがぱぁっと目を輝かせた。

ミオ

「わぁ〜っ! レン、これ全部貸し切りなのっ!?

やったー! 温泉だぁー!!」

その声に、セリス、フロル、ベリィらが続々と集まってくる。


セリス

「じゃ、女湯いこっか。ミオ、はしゃぎ過ぎて転ばないでくださいよ?」

ミオ

「だ、だいじょーぶ! 私、こう見えて結構しっかり者だから!」

レン

「(いや、しっかり者では絶対ないと思う……)」

笑いながら、女たちは暖簾の奥へ消えていった。


◆女湯・湯気の向こうの艶

湯船に足を入れた瞬間、

ミオの肌がふわっと桜色に染まり、湯気が肩の上を滑っていく。


ミオ

「ん……あぁ〜〜……溶けるぅ……気持ちいい……」

その声には妙な“甘さ”が混じり、

セリスとベリィが同時に振り返った。


セリス

「ミオ、声。ちょっと色っぽくない?」

ミオ

「えっ!? そ、そんなつもりじゃ――!」


湯に沈んだ拍子に胸元へ波がかかり、

湯面の揺れが“形は見えないのに、存在を感じさせる”。

レンがいなくても、周囲の女性陣が思わず頬を赤らめるほどだ。


ベリィ

「ミオって……水に濡れると曲線が強調されるよね〜」

フロル

「わたし……羨ましいです……その、やわらかそうで……」

ミオ

「だ、だから見ないでってばぁ〜〜!」

ミオが身をよじると、湯気が薄くなり、

背中のラインや腰のくびれがうっすらシルエットとして浮く。

セリス

「……こりゃレンが見たら固まるな」

ベリィ

(うん、確実に固まる)

湯気と光だけで、ここまで“艶”が出るのは、ミオだけだ。


◆男湯・レンの試練

その頃、男湯では――

レン

「……なんでだろう。

こっちまで湯気の密度が変わった気がする……」

ギルダ

「女湯のほうから、色んな意味で熱が来てる気配がするな」

レン

「やめてくれ……気になるだろ……!」

セルヴァン

「ほほ、若いのう。

湯は身を清めるだけでなく、心の乱れも映す。

……お主、だいぶ乱れておるな?」

レン

「ち、違う! 乱れてない!!」

セルヴァン

「ふむ。では“ミオのことを考えておった”というのは?」

レン

「なんで分かるんですかァァ!!」

セルヴァン

「顔に全部書いておる」

老人姿に戻ったセルヴァンは、どこか楽しそうだった。


◆湯上り、もっと危険な時間

湯に浸かったことで緊張がほぐれ、

ミオはほわほわしたまま湯上り処へ現れた。

髪をタオルで拭くその動きで、

濡れた髪先から鎖骨へ、胸の上へ、水滴がつーっと流れていく。


ミオ

「はぁ……ちょっとのぼせちゃったかも……」


レンは固まった。

顔が熱いのは、湯ではなく確実に“別の理由”だった。


レン

(あれは……反則だろ……!)


ミオがふらりと近づき、

レンの肩にそっと寄りかかった。


ミオ

「ご、ごめん……少し立ちくらみ……」

タオル越しに伝わる柔らかい感触。

水の滴る髪の香り。

頬が寄る距離。


レン

「わ、わっ! だ、大丈夫か!?」

ミオ

「うん……ありがと。レンって……あったかいね……」

その声は甘く、耳に残るほど静かだった。


セリス

「ミオ、のしかかりすぎ。……でも、羨ましいですね」

ベリィ

「うん、ミオのその攻撃力……反則」

ミオ

「ちち、違うのっ! わざとじゃないからぁぁ!」

レン

(俺は……生きて帰れるのか……?)


◆静かな夜の、“不穏な気配”

その夜、みなが眠りについた後。

少し成長し、念話も身につけた12神獣達が動き出した。

バルゴが突然、耳を立てた。

そして低く唸る。


バルゴ《戌》(念話)

「……敵意。

すごく……大きい。近づいてる……」


シェルファが羽を震わせる。

シェルファ《酉》(念話)

「高いところから風を読んだけど……

軍勢の足音。まとまった数が……エルドの方角へ向かってるわ」


レンは温泉の余韻を一瞬で忘れた。


レン

「ついに……本隊が動いたってことか」

フェリオン《未》が小さく鳴き、周囲に防護の魔力を広げる。


ミィナ《巳》(念話)

「レン……早く、備えないと」


リュニスは夜空を見上げ、青く光る瞳でつぶやいた。


リュニス《辰》(念話)

「“影の大河”。

……敵は、もう止まらない流れになっています」


静かな夜に、

ただ温泉の湯気だけが残っていた。

穏やかな一夜は、

戦の気配に飲み込まれはじめていた。


今回は「湯けむり・お色気・そして急転する緊張」という、

シリーズ的にもメリハリの大きい回でした。

ミオの破壊力は相変わらずですが、

次回からは一気に戦の準備と緊張が押し寄せます。

お楽しみに!


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