第22話 王城召喚と、辺境の地を求めて
敵本拠地の崩壊、セルヴァン本体の降臨、そして攫われた子供の救出──
激しい一連の事件のあと、レンたちはようやくエルドへ帰還する。
しかし彼らを待っていたのは歓喜と安堵だけではなく、
国王からの“緊急召喚”という新たな展開だった。
褒美は金でも爵位でもなく、あえて“僻地の土地”。
それが意味するものとは──
そして、セルヴァンだけが感じた微かな“創造主の残滓”とは……?
戦争前の静かな時間。その裏で、運命は大きく動き出す。
■1 エルドに戻った英雄たち
影迷宮で囚われていた子供たちを救い出し、
レンたちがエルドへ戻ると──
町は大きな歓声に包まれた。
「帰ってきたぞー!」「レン様だ!」「子供たちが……無事だ!」
母親たちは駆け寄って子供を抱きしめ、
兵士たちは敬礼し、
老人たちは涙ながらに祈り続けていた。
セリスは胸を張り、誇らしげに周囲を見渡した。
その横でカイが頭をぽりぽり掻く。
「……えらい歓迎されてるな、俺たち」
「これだけのことをしたのよ。自然な反応だわ」
セリスが微笑む。
ミオは子供たちに手を掴まれ、
「ありがとう!」
「ミオお姉ちゃんすごい!」
と口々に言われ、ちょっと照れていた。
「……ちょ、ちょっと。そんなに引っ張らないの……」
セルヴァン老人はというと──
「じいちゃーん!」「セルヴァンじいちゃんだ!」
子供たちに抱きつかれ、目じりを下げて笑っていた。
「おお……わしはここまで慕われたことは……ふぉっふぉっ」
(※本人は影界王であり数千万の魔獣の主だが、子供には弱い)
そんな温かい空気の中──
「王都より急使! エルド救済の英雄レン殿一行に、
陛下より“緊急召喚”!」
空気が一瞬で張り詰めた。
レンは息を吸い、小さく頷いた。
(……来たか)
■2 王城へ──異例の出迎え
王都へ到着すると、驚くべき光景が待っていた。
謁見の間前には近衛騎士団総出。
大臣や軍務長官までも勢揃いしている。
セリスが思わず目を見開く。
「……こんな正式な場、私でもめったに経験したことがないわ」
カイは青ざめていた。
「お、俺……緊張で死ぬかもしれん」
ミオは肩をすくめる。
「大丈夫よ。レンの後ろに隠れてれば、誰も気にしないわ」
そして謁見の間へ。
王が立ち上がり、深く礼をした。
「エルドを救い、黒紋を壊滅させた英雄たちよ。
心から感謝する」
レンたちは頭を下げ、緊張の中その言葉を受け取った。
■3 褒美──レンの要求はただひとつ
国王が言う。
「褒美を授けよう。金、爵位、領地……望むものを述べよ」
謁見の間に期待の空気が満ちる。
レンは一歩前へ出た。
「……僻地で構いません。
エルドから離れすぎない土地を、一ついただきたい」
ざわっ、と場が揺れた。
「土地……?」「金でも爵位でもなく……?」
ミオはくすっと笑う。
「レンらしいわね。堅実で、変わってる」
セリスもうなずく。
「拠点を作る気ね。今後の戦を見据えているわ」
カイは満面の笑みだ。
「みんなで住む場所か! 楽しそうだな!」
国王はしばし沈黙したあと、満足そうに笑う。
「よかろう。
レン一行に、辺境の土地を与える!」
宰相が血相を変える。
「陛下、あそこは未開拓で──!」
「だから良い。彼らには、あの地がふさわしい」
■4 選ばれた土地──“空白地帯”
地図が広げられ、王が指を置いたのは──
エルド北東の、何も書かれていない広大な土地。
セリスが魔力の気配を感じて目を細める。
「……純粋な土地ね。人工的な干渉がほとんどない」
ミオ
「薬草も育ち放題よ!」
カイ
「狩場もいっぱいあるな!」
レン
「ありがとうございます陛下。必ず役立てます」
王は深く頷いた。
「期待しているぞ、レン殿」
■5 セルヴァンだけが気づいた“異質”
謁見後、城を離れた一行。
カイは浮かれている。
「よっしゃー! 拠点作りだ! 家作るぞ!」
ミオ
「ほら、まずは土地の浄化からよ?」
セリス
「地形調査も必要ね。水場も確認しないと」
レン
「忙しくなるよ、みんな」
そんななか──
セルヴァン老人が空を見上げて立ち止まった。
「……ふむ」
レン
「セルヴァン?」
セルヴァン
「いや……あの土地、な。
“創造主の残滓”が微かに入り混じっておる」
レン
「な……!」
ミオ
「創造主って……?」
セルヴァンは低く呟く。
「この国の王が、偶然あの地を選んだとは思えん。
……何かが、動き始めておるぞ、レン」
■6 ラスト──不穏な影
一行がエルドへ帰る途中。
群青色の空の下、森の奥で──
黒い霧が渦を巻き、低い声が響いた。
「……主を喰い尽くした影界王。
ならば、我らが“本隊”が動く時だ」
霧は四方へ散り、空へ消える。
レンはその気配に気づき、振り返った。
「……急がないと。
戦争は、もう少しだけ近づいた」
空の片隅に、嵐の前触れのような黒雲が薄く広がっていた。
ここから“拠点作り編”がスタートします。
戦争前の束の間の平穏と、仲間たちとの絆の強化。
そして、
国王が与えた“辺境の地”に残る創造主の残滓。
なぜそこが選ばれたのか──
その背後に潜む意図は、今後大きな物語の核となります。
次回は新拠点の建設へ!
次回もお楽しみに!




