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第20話 深淵の影とエミグレ文書との関係

セルヴァンが十万の敵軍を瞬時に殲滅した“神回”の少し前。

レンたちは黒紋の本拠地「フェルゼン砦」に到着していた。

しかしそこは静まり返り、戦場の匂いもほとんどない。

レンの視覚化が示す異常、そして禁書庫に眠るエミグレ文書の断片。

世界の背後に潜む“観測者”の存在が、物語を新たな深淵へ導く――。

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フェルゼン砦の奥地に到着したレン、ミオ、セリス、カイ。

砦内部は異様な静けさに包まれ、戦場の残滓はあるが、活発な戦闘の気配は

ほとんどなかった。


「……ここが本拠地? 人が少なすぎる」セリスが警戒する。

「戦場の匂いもない……いやな空気だ」カイも顔をしかめる。


レンは視覚化を起動し、砦の外側で何かが行われた痕跡を確認する。

(……セルヴァン……いや、この規模は予想以上だ)

レンの視線は自然と砦奥の禁書庫へ向かう。

内部に残るわずかな兵士は恐慌状態で逃げ惑い、壁にへばりついている。


「来るな……来るな……空が……裂けた……影が……!」

「影……?」ミオが震える声で呟く。


レンは分析する。

(10万の軍勢は消えた。普通の転移じゃ説明できない。空間階層が違いすぎる……)

司令部の魔法陣は停止しており、セリスが呟く。


「この魔法陣……封鎖されている? 誰が……」

「影属性の魔力圧だ。純度が高すぎる……生半可な魔族では不可能」レンは冷静に告げる。


奥の暗がりに、不自然に封印された金属筒が見えた。

レンは解析を進め、筒を開くと劣化した羊皮紙が現れる。


「……情報の匂いがする。これは……触れてはいけない類のものだ」

ミオが恐る恐る問う。

「読めるの……?」


レンは息を呑む。

《断章・第七層:コードの外側》

“創造主は、異なる時界より到来せり。時と位相を越え、世界を走査し、

その技術を模倣し、新たな地平を築く者。

その名、記録に残らず。ただ、『観測する者』のみがそれを知る。”

レンの視覚には、文言の背後に浮かぶ構造が映る。


(……創造主は異世界人……地球の技術を模倣……

この“不自然”は、世界の内部構造にエミグレコードが混じっているからか)


さらに文書には続きがある。

“影の階層は創造主の守護領域に属す。そこに干渉できる者は、

この世界において……ただ一柱。”


「影の階層を操る者……まさか」セリスが息を呑む。

「そう……セルヴァンの本体だ」レンは静かに告げる。


その瞬間、砦の基幹魔力が暴走。

地面が割れ、黒い泡のような影が砦全体を覆い、崩壊を始める。


「なっ……地面が割れていく!」カイが叫ぶ。

「まずい! 外へ!」レンの声で全員が脱出。


フェルゼン砦は影の海へと静かに沈む。

空に亀裂が走り、黒い鏡の裂け目が開く。

青年の姿のセルヴァン本体が現れた。

その瞬間、仲間たちは息を呑む。

老人と思っていた彼が、見る見る若々しい青年に変化していく。

圧倒的な魔力のオーラに包まれ、空間が歪む。


「……すまぬ。片付けに手間取っての」

その声に、砦残留兵たちは恐怖で凍りつく。

瓦礫が浮き上がり、光さえ歪む。


「せ、セルヴァンさん!? その姿……本当に!?」セリスが驚きで声を漏らす。

「爺さん……いや、兄ちゃん!? どうなってんだよ!」カイも絶句。

ミオはぽかんと目を見開く。

「やっぱり……あなた、規格外ね……」

レンは微笑む。

(……知っていた。砦の影痕を見て、確信した)


セルヴァンは静かに告げる。

「さて、残りの仕事を片付けよう。帰ってからまだ語らねばならぬことが山ほどある」


レンは空を見上げ、深く息をついた。

「いよいよだ……黒紋を倒すだけじゃない。世界そのものの謎が姿を現す」


セルヴァンも低く声を落とす。

「創造主の影は深いぞ、レン。覚悟せよ」


砦崩壊、セルヴァン本体の圧倒的魔力、そして禁書庫で発見されたエミグレ文書の断片。

レンたちは、世界の根幹を揺るがす存在――“観測者”の影を意識し始める。

平日昼更新予定です。

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