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第10話 ミオ、覚醒 ―光紋の導き―

レンの“第1覚醒”から、まだ日が浅い。

視覚化による情報の奔流にも少しずつ慣れ、制御が安定してきたレンだが――

今度はミオの身に、思わぬ“変化”が起きつつあった。

冒険者としては小さな依頼だったはずが、

それは二人にとって大きな転機となる。

今回は ミオの覚醒回!

それでは本編をどうぞ!

森の帰り道は、本来なら穏やかな陽光に包まれた散歩道のようなものだった。

だが――今日は違う。

(ミオ……妙に魔力が澄んでるな)

レンは歩きながら、ミオの背中を視覚化していた。

コードの光は細い枝分かれを作り、脈動している。

第1覚醒後の自分と似ているが、どこか“方向性”が違う。

「なに?また私のこと視てるわけ?」

振り返ったミオが少し頬を膨らませる。

「いや、変な意味じゃなくてだな……魔力流の調子が良すぎるっていうか」

「それ、褒めてるの?」

「多分」

「“多分”にするな!」

そんな他愛のないやりとりをしていた、まさにその時。

――獣の悲鳴が森の奥から響いた。

「行くぞ!」

「言われなくても!」

二人は一気に駆け出した。

開けた草原に飛び出すと、複数の冒険者が影の刃に切り裂かれ、倒れ伏していた。

巨大な黒狼――ヘルガルド・ファングが、真紅の瞳を光らせている。

その周囲には影をまとった中級魔獣が二体。

冒険者たちは完全に押されていた。

「最悪……よりによって影系の上級魔獣とか……!」

「強い……だからこそ、正面から行く!」

彼女の魔力が一瞬で沸騰するように高まった。

「ミオ、突っ込む前に魔力安定コード入れる。肩貸せ」

「は、はやく……!」

レンはそっと触れ、コードを流し込む。

――ミオのコードが、ふっと光った。

微細だが確かに“共鳴”したのを感じる。

(……やっぱり、何か起きかけている)

だが考える暇はない。

ミオは剣を構え、風のように駆け出した。

ミオの剣技は鋭かった。

影の斬撃をいくつか切り払い、味方から敵の注意を剥がしていく。

しかし――ヘルガルドの気配が消えた。

「ミオ、後ろ――!」

レンが叫んだ瞬間、影から巨大な牙が飛び出していた。

ミオは回避しようとしたが、足元の影が絡みつき、一瞬動きが鈍る。

牙はミオを通り過ぎ――

その奥のレンを狙った。

「……っ!」

咄嗟にレンは防御コードを展開する。

だが間に合わないと悟った瞬間。

――時間が、止まった。

いや、止まったように“感じた”。

ミオの視界には、レンが倒れる未来の像が見えた。

その瞬間、胸の奥に強烈な衝動が走る。

「やだ……絶対に、やだ……!」

ミオの中で感情が沸点を超えた。

レンが仕込んだ補助コードが共鳴し、

ミオ自身の潜在コードが暴走し――

“覚醒コード”が強制的に立ち上がる。

光が弾けた。

レンには、ミオのコードが奔流のごとく噴き上がるのが視えた。

枝分かれが消え、一本の太い光の道となって収束する。

それがまた細かく分岐し、機能単位に再構築されていく。

「ミオ……これ……覚醒か……!」

強風が逆巻き、ミオの金髪が天へ舞い上がる。

髪の端は淡い青銀に染まり、耳の周囲に複雑な光紋が浮かび上がる。

瞳には二重の輪紋――(みどり)と金が重なる美しい光。

ミオはゆっくり手を伸ばし、迫り来る影の牙を指先一つで止めた。

「……レンには……指一本触れさせない!!」

衝撃波が走り、ヘルガルドが吹き飛ばされる。

覚醒後のミオは別人だった。

軽い動きではない、無駄のない“正確すぎる動き”。

影の刃を予測し、回避し、切り落とす。

まるで、敵の攻撃パターンが“全部見えている”かのように。

「こんなの……怖くない!」

叫ぶたびに風刃が生まれ、光矢が散り、

影の魔獣たちは次々と倒れていった。

ヘルガルドが残ったが、

ミオは地面を蹴った瞬間に影を追い抜き、

首筋へ風と光の複合斬撃を叩き込んだ。

黒い巨体は地面に沈む。

冒険者たちは恐れと畏敬の入り混じった声を漏らす。

「お、おい……あの子……なに者だ……」

「さっきまで普通だっただろ!?なんで急に……」

レンだけが理解していた。

(俺のコードが核になって……ミオ自身の潜在能力が花開いた……

 この覚醒は……ミオの“感情”が引き金か)

光が収束し、ミオがゆっくり振り返った。

その姿に、レンは言葉を失った。

少女らしさの中に、神秘的な美しさが混ざっていた。

髪は淡い銀光を帯び、瞳は輪紋を宿した深い(みどり)

体の線も少し大人びて、気品ある雰囲気が漂う。

「……な、何よその顔。変?」

「いや……すごく綺麗に……なったっていうか」

「~~~~~っ! み、見ないで!!」

耳の光紋がぴこぴこ揺れ、ミオが顔を真っ赤にする。

――が。

冒険者たちの視線がミオに集中しているのに気づき、

ミオはさらに不機嫌になる。

「ちょっと……なんでみんな見てるのよ」

「いや、覚醒して強くて綺麗で――」

「レン!あんたなんで得意げなのよ!!」

「いや?別に?」

「むー!!」

袖をぎゅっと掴むミオ。

周囲の男冒険者たちの視線が増えると、さらに掴む力が上がる。

(……あれ、やきもち?)

レンは心の中で苦笑した。

そしてレンは、何気なくミオを視覚化しようとした。

――視えない。

普通なら見えるコードが、シャットアウトされていた。

(ロック……? いや、アクセス権限拒否そのもの……?)

覚醒ミオは、無意識のうちに“解析拒否”の防御を展開していた。

(……なるほど。

 ミオだけは、“人として”見ろってことか)

レンはそう理解し、そっと視覚化を切った。

戦闘跡地を調査していると、不自然な爪痕が見つかる。

大きい。

だが深さや力のかかり方が不釣り合いだ。

(……幼い。しかし膨大な魔力。

 竜族……か?)

ミオが首を傾げる。

「レン、どうかしたの?」

「面倒なのが近くを通った跡がある。

 竜族の子供……かもしれない」

「えっ……竜族って、あの?」

「そう。人間の常識が通じない連中だ」

二人は互いに顔を見合わせ、緊張を共有した。

――次に何が起こるのか。

その時は、すぐ近くまで迫っていた。

第11話へ続く。

ミオの覚醒回、いかがでしたか!

次章「竜族姉弟編」への本格突入

次話は平日のお昼に投稿予定です!

面白かったら ブックマークをぜひよろしくお願いします!

また次の話でお会いしましょう!

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