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相川姉弟④

「はっ?」


 だよね。 そういう反応になるよね。 普通。


「えっ? 何? 一緒に住んでる? …………あんたらさ、付き合ってるわけ?」


 付き合っている? あの、彼氏彼女ってこと?


「ちっ、違うよ!」

「違うわよ!」


 俺と雨希はほぼ同時ぐらいに否定した。


「じゃあ、何で一緒に住んでるの?」


「あのさ、相川。 一緒に住んでるって言っても……」


「晴陽と雲母も一緒よ」


「はっ?」


 雨希。 確かにそうなんだけど、言うタイミング……。 

 ほら、雨流の顔見てよ。 目が点になってるよ。 そりゃそうだよね。 俺、今すごく最低野郎みたいになってるよ。

 俺が三股して更には三人の彼女と一緒に住んでいるみたいな状況だと雨流は勘違いしている。


「違う、相川。 違うんだ」


「何が違うわけ?」


 ほら、もう怒ってるよ。 声が低い。 先程の拗ねているようなものではなくて怒気を含んでいる。


「落ち着いて」


「俺は落ち着いているよ」


「おばあちゃんも一緒、一緒だから」


「はっ? 年上も全然OKってことなわけ?」


「違う。 相川の言っている意味が全くよくわからないんだけど、俺のおばあちゃんも一緒に住んでいるの。 雨希を含めた三人と俺と俺のおばあちゃんが昨日から一緒に住んでいるんだよ!」


「だから、何でそうなってるわけ?」


「俺が知りたいよ!」


 俺が知りたいよ。 だって、昨日の今日だよ? まだ、ちゃんと理解できてないから説明だって難しいし。 彼女候補になったから一緒に住んでいますって? 意味がわからないよ。 俺が! 俺が説明して欲しい。


「……本当に知りたい……。 信じられないかもしれないけど……昨日突然、雨希達を紹介されたんだよね……」


「はっ? えっ? 何? じゃあ、実際は空太も知らされてなかったってことでいいわけ?」


 うん、まあそうなんだけど……。 俺は肝心なことを相川に伝えていない。 その三人の彼女が俺の彼女候補になったということを……。


「うっうん……。 そうなんだよね……。 あはは」


 俺がそう言うと、雨流は隣に座っている雨希の方を見た。


「雨希?」


 雨希はあれほど見ていた雨流から顔を逸らした。


「雨希? 雨希も俺に言ってないことあるんじゃないの?」


「えっと……」


「俺には関係ないってこと? 雨希は俺のこと知りたがるのに? 関係ないから話さなかったってこと?」


「ちっ、違うわよ! 言いたくても言えなかったのよ! これは本当よ!」


 まあ、言おうと思っても言えないよね? 雨流の友達の顔を見たくて彼女候補になりました。 なんて……。


「じゃあ、何でそう言うことになってるわけ?」


「うっ……。 実は……」


 あっ、待って……。 待って、待って。 どうしてそうなったかを説明するためには雨希が俺の彼女候補になったことを雨流に伝えないといけなくなるんじゃないかな? あっ、でも雨希にとっては良いことなのか? 雨流に嫉妬っていうか……関心を持ってもらうためにやったことだから……。 うん……。 待って欲しい。 俺、せっかくできた友達失いたくない。


 雨希と名前を呼ぶ前に彼女は話し出した。


「三人で……シェアハウスしてたんだけど……」


「うん」


「それで、三人でりょっ、料理をしてたんだけどね……。 爆発しちゃった」


「「はっ?」」


 俺と雨流がハモった。 それもその筈だ。 料理していただけなのに何故そんなことが起こったのか理解できないからだ。


「だから! 爆発したの! ただ、料理してただけなのに! あっ、でも私達に怪我は全くなかったよ!」


 俺たちが知りたいのは何故そうなったのかだ。 

 雨流を見ると、あちゃーと頭を抱えていた。 彼はその様子を想像できるようだ。

 何となくだが、俺もお昼に食べたお弁当で想像できそうだ。


「それでね、家の修復に少し時間がかかる間、空太のおばあちゃんである和佳子さんの家に住むことになったんだだよね……。 あっ、でもシェアハウスしていた家は雲母ん家の持ち家で修理費はいらないって言われたからそこは大丈夫!」


 何だろう……。 ツッコミどころが多すぎて何から聞いていいかわからないんだけど。

 どこでおばあちゃんに出会ったかとか、まさかの雲母の持ち家? とか聞きたいことが多すぎる。


「取り敢えず、空太のおばあちゃんとは何で知り合ったの? まさか、ちょうど通りかかったとかじゃないよね?」


 よかった。 相川が聞いてくれて。


「違うわよ! 和佳子さんは私達の料理の先生!」


 へえ。 おばあちゃん。 料理上手だし、ありえるかも。


「でも、そんな話し聞いたことないよ」


 そう、誰かに料理を教えているなら俺にも話したりするだろうけど、そんな話は聞いたことがなかった。


「まあ、教えてもらったのは今日の朝のお弁当を入れてまだ2回目だからね。 だから、話してなかったんじゃないかしら。 本当は爆発した次の日に教えてもらう予定だったんだけど……」 


 まあ、爆発した次の日は無理だよね。

 今日の朝が2回目だったなら話さなかったのも納得だ。 でも、一つわかるのは彼女達正直いって料理の才能ないかな。

 あと、疑問に残るのは……。


「でも、どうやっておばあちゃんと知り合ったわけ?」


「ああ、雲母が知り合いだったの」


「雲母さん?」


 どういう経緯で雲母と知り合ったんだろう。 何繋がり? 


「だから、その縁で私達三人に料理を教えてくれるわけなんだけど、雲母とも何で知り合ったかは教えてもらってないのよね」


「そうなんだ」


 雨希も知らないなら仕方がない。

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