Fall in love
僕にはあるおじいちゃんがいる。
今時めずらしい発明家でいつも賞金のためになにかを発明している。
「 ほら彰耀!新しい発明ができたぞ!! 」
俺の名前を呼んで1番に発明品を教えてくれる。
「 名付けて“卵割くん”だ!! 」
どうやら、簡単に卵を割る機械だそうだ。
「 え!?すげーよじいちゃん!!これで誰でも卵を割ることができるね 」
「 大発明だな!! 」
こんなふうに調子に乗っていると、ばあちゃんがじいちゃんの頭をグーの手で殴った。
「 またこんな変なもの作って…彰耀もよく考えてみな?誰でも卵割れるでしょ? 」
「 …確かに俺には必要ないかな 」
「 彰耀まで俺を裏切る気か!? 」
「 ということでとにかくこれはゴミ箱行き!! 」
じいちゃんの“卵割くん”は、ばあちゃんによって没収された。
僕の親は両働でいつも帰りが遅い。
小さい頃からじいちゃんとばあちゃんに面倒見てもらうことが多かった。僕はこの2人が大好きだ。
けど…
扉を開ける音がリビング中に響き渡る。
「 彰耀、、全くいつまでこんなとこいるの?帰るよ! 」
母さんが怪獣みたいに力強く僕の方へ来て無理やり連れて帰ろうとする。
「 えーー僕もうちょっとだけここに… 」
「 いいから!!帰るの! 」
僕の声をかき消すかのように母さんが怒鳴った。
母さんは僕が大好きな2人のことが大嫌いだ。
僕がこうしてこの家に遊びに行って帰った後、いつも悪口を言っている。
「 しょうもない作品ばっか作ってお金の無駄 」
「 いつまで夢見続けてるの?現実見ろよ 」
けど、僕はじいちゃんに憧れた。
何歳になっても夢を見続けるじいちゃんに
他の大人にはないものをじいちゃんとばあちゃんは持っている気がした。どんなに否定されようと2人が僕は大好きだ。