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「オリヘン国が攻めてくると聞き、出発を早めたの。でも騎馬隊が火柱を超えてくるとは思わなかった。これから、今日のうちに山越えになるけど、頑張ってついてきてね」
厳しい表情のアネモアに向かって、
「でも、あそこにモナクス先生が」
と叫ぶと、
「大丈夫、モナクス先生たちの仕事は私たちを逃がすことだから、それ以上の無理はしないはず。医療スタッフの一部も、あそこに残ってくれてるから」
となると、セリーヌにできるのは、モナクスの無事を祈ることくらいだった。彼女は否応なく、逃げる道を選んだ。その時には、山頂へと向かう森の道は、日も傾きかけ、じりじりと闇が深まりつつあった。