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「待て!おい、誰か、あいつを捕まえろ!」
セリーヌの耳に、金色軍服の男の声が聞こえたが、セリーヌは人だかりを抜け、わき目も振らず、そこから駈け去った。
学校に戻れば、みんなと旅立つことになる。ここに残ったら、父親のことは心配だが、兵士に捕まってしまう。今は、学校に戻るしかない。
ポタミ川に沿って学校へと続く1本道、コッリス街道を小走りに走るセリーヌ、彼女がふと気づくと、遥か後方に数騎の騎馬隊が見えた。騎馬隊は猛烈な速さでセリーヌに追いついてくる。やがてセリーヌの視界に学校の門が入ったが、果たして無事に門まで辿り着くことはできるだろうか。いや、辿り着いたにせよ、彼女は無事でいられるのだろうか。
そんな思いで、せりーヌは意識が薄らぎそうになったが、懸命に前へと足を進めた。