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「もし、一緒に行けるようなら、明後日の朝、ここを出発するので、それまでに戻って来てくださいね」
担当教師のアネモアの言葉を受け、セリーヌは学校を出て、家へと向かった。最終結論の日は、移動の時間も考慮すると、翌日の夜だ。
ところが、セリーヌが自宅でもあるヨシーネの店の近くまで行くと、そこには数えきれないほどの人による壁が、ヨシーネの店を囲むようにできていた。
人をかき分け、中に入ると、見えたのは、鎧を身に着け、刀を所持する兵士の集団だった。その兵士たちに向かって、ヨシーネが必死で何か叫んでいるのを目にしたかと思うと、店の中から、ロープで縛られ、引きずられるようにして出て来た人がいる。それは、何とセリーヌの父親だった。
「お前一人、ここで何をしている。ハーデルは、どうした?」
父親に向かって叫んでいるのは、鎧ではなく、金色の軍服を着た男だ。父親が無表情のまま、黙っていると、彼は、今にも殴りかかりそうな勢いで、父親の胸倉をつかんだ。