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第2弾
マーゴ国の山間にある寄宿制の魔法学校として、百年以上の伝統を誇る「コルバーン魔法学校」、その歴史が今、閉じられようとしていた。
それは新たにマーゴ国を属国として支配することになったオリヘン国の国王フロノスが、
「魔法とは悪魔の所業。神の名の元に、この国から魔法を一掃する」
と、魔法を使った者を死刑にするという新法、魔法禁止令を施行。「コルバーン魔法学校」にも閉鎖命令を出したからだ。
同校の校長・プロスタ以下、多くの教師は、一旦、密かにマーゴ国を離れ、ベルスアン山脈を越え、遥か北の地で、学校を再開すべく、旅立ちを決意した。
親元を離れ、同校で寄宿生活を送っていた生徒の多くも、侵略者の突然の決定に同意する者は少なく、一部の日和見貴族の子弟を除き、ほとんどの生徒は、教職員と共に、旅立ちの決意を固めていた。
ただ、セリーヌは、教師と共に旅立つのか、このままマーゴ国に残るのか迷っていた。