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「探偵さん…本当にありがとうございました」


倉本大輝は申し訳なさそうに頭を下げた。


「いえ、あれからどうですか?」

「あれから聡美は実家に住んでたんですけど、ちゃんと話し合って浮気じゃないってわかってくれました」

「そうですか…」

「はい…。俺も聡美の話をちゃんと聞いてあげてなかったんだなって反省しました。浮気してないのに疑われているのが許せなかったのかもしれません…そのせいで…あんな思いを…」

「水原さんからお聞きになったんですね」

「はい…聞きました。俺が知らないところで怖い思いをしていたなんて思ってもいなくて…探偵さんのおかげで、聡美とちゃんと向き合って話し合えたと思います」

「そうですか…」


僕はコーヒーを一口飲んだ。


「実は俺…聡美と結婚したんです」

「そうなんですか?」

「あれからちゃんと向き合って、話し合って…それで、結婚することにしました。今は一緒に暮らしてますよ」

「それはよかったですね」

「最初は、また俺がいない間に怖い思いをさせるんじゃないかって不安だったんですけど…聡美が言ってくれたんです…大輝はもう私の話を信じてくれるからって…だから、もし何かあったらその時考えようって…」

「そうだったんですね」

「結局、俺が押し切られる感じだったんですけど…今は、怖い思いをすることなく幸せに暮らせてます」


そう言って倉本大輝は笑った。

聡美が心配したら行けないからと、

倉本大輝はありがとうございますと頭を下げて、

立ち去っていった。


カラコロカラン


「結局さ〜どっちも嘘ついてなかったってこと?」


橘がソファに座りながら聞いてきた。


「まぁ、そういうことになるかな」

「でもさ〜、あの髪の毛とかさ〜、どゆこと?」

「さぁ?…柚葉さんならわかりますか?」


僕はタバコに火を灯しながら聞いた。


「そうね〜彼ってモテるんじゃない?」

「ん?たしかに、モテそうだったけど…」

「人の思いっていうのは、重いのよ」

「え?ごめん、どゆこと?」


そういうことよ〜と柚葉さんは微笑んだ。

マジで!わからん!ちゃんと説明してよ!と

橘は唇を尖らせながら聞いているが、

柚葉さんはそれを聞き流していた。


「ね〜鈴?」

「…どうしました?」

「その左腕につけているのは、なに?」


僕はタバコの煙を天井に吐き出してから答えた。


「お守りみたいなものですよ」

「リンちゃんさ〜、その壊れた鈴をずっとつけてるよな〜…そんなに大事なもんなの?」


僕は返事を返さず、煙を吐き出した。


「それってもう壊れちゃってるんだ…」

「そうですね。もう音は鳴りませんよ」


僕はそう言って、左腕を振った。

お守りは静かに揺れている。

そう…と呟いた柚葉さんは微笑みながらこう言った。


「きっと…綺麗な音が鳴ったのね」

これにて第八章完結です。

お楽しみいただけたでしょうか?


ゆっくりですが、続きも書いていきますので、

優しい気持ちで見守ってくださると嬉しく思います。

今後とも、お楽しみいただければ幸いです。

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