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「リンちゃん!リンちゃん!」


橘の大きな声で目が覚めた。

僕はあのまま階段の下で気を失っていたらしい。


「どうしたの?何があったの?」


焦った様子の橘と心配そうな顔をした雨宮栞がいた

「コンクリートが冷たくて」

「え!?」

「気持ちよくて寝てた」

「…は!?」


橘はなんとも言えない表情で、

雨宮栞はまだ心配そうな顔をしている

冗談なんだけどな


「神影さん…血がでてますっ!」

「…本当ですね」


階段から転がり落ちた時に擦り傷ができたらしい

あんなに派手に突き飛ばされて、擦り傷だけですむとは

運がいいのやら悪いのやら…


「とりあえず、部屋で応急手当をしますので…立てますか?」


僕はビクビク怖がっているイメージしかなかったから

意外と冷静な判断もできるんだなと感心していたら


「た、立てないほど重傷ですか!?まさか頭を強く!」

「あっ、大丈夫です。立てますよ」


まるで救急車を呼ぶ勢いで心配し始めたので、

そこまで冷静でもないなと思い感心した気持ちを返せよなんて意味のないことを考えながら


「申し訳ありませんが、お邪魔しても大丈夫ですかね?」

そう確認してから、三人で部屋に入った。




「リンちゃん。盗聴器はないね〜。大丈夫っぽい」


そうか。と返事を返した。

橘には万が一僕が気を失っている間に

盗聴器を仕掛けられていたらと思い、

調べてもらったが心配のしすぎだったようだ


二人には事の経緯は話してある。

野田勝が部屋に来ていたこと。

階段ゴロンゴロンのこと。


雨宮栞に応急手当をしてもらったが、

うん、タバコが吸いたい…

許可をもらい、ベランダでタバコに火を灯す。

外はもう真っ暗なんだなとふと思った。

煙を吐き出しながら、部屋の方を見ると、

橘と雨宮栞はLEDライトなのだろうか明るい照明の下

リビングでテレビを見ながら話をしている。

想像以上に仲が良さそうに見えたので、本当に付き合ったんだろうかと全く興味もないことを考えてしまった。


部屋に戻るとリンちゃん大丈夫なの?と

橘が声をかけてきた。大丈夫だよと返す。

雨宮栞も心配そうにこちらを見ているが、

先程まで二人で楽しそうに話していたのに、

僕が部屋に戻ると、テレビの音がいやに響く

女子高生が失踪したとニュースキャスターが

悲しそうな顔を作りながら話している。


「物騒な世の中ですね」

そう独り言を呟いてから

「雨宮さん。ご提案があります。聞いていただけますか?」

僕は静かに問いかけた。


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