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「ねーリンちゃん聞いてよ…」
元気のない声で橘が話しかけてきた。
タバコの吸いながら、どうした?と答えた。
「なんかさ〜、じいちゃんにオレオレ詐欺の電話があったみたいでさ…俺のフリしてたらしいんよ」
「そうなんだ」
「多分、じいちゃん…めっちゃキレたんじゃない?突然、電話かかってきてさ、めっちゃ説教されたんだけど…」
龍之介さんが怒ったところを想像して、
電話をした人も可哀想だなと思った。
「俺じゃないって説明すんのにめっちゃ時間かかったわ」
「それは…大変だったね」
橘はため息をついている。
ピコンと橘の携帯が音を鳴らした。
「あっ!栞ちゃんから連絡きた!」
すぐに元気を取り戻した橘を見て、
単純だなと思いながら、コーヒーを一口飲んだ。
カラコロカラン
「すいません!ここって人探しとかしてくれます?」
「あっ!どうも!人探しっすか?」
とりあえず、どうぞと橘は男性をソファに導くと、
素早くお茶をグラスに注ぎ、彼の前に置いた。
相変わらず、早いなと思いながら、
僕はいつものソファに腰掛けた。
「人探しってどーゆうことっすか?」
「あー、実は母ちゃんを探してて…」
彼の名前は相良義昭。
子供の頃に父親を亡くし、母親一人で育てられたらしい。
大人になってから働きはじめて幸せに暮らしていたが、
ある日、探さないでくださいと書き置きを残して、
いなくなってしまったそうだ。
その時に自分で探したが見つからず、母親も幸せに暮らしてると信じて過ごしていたそうだが、彼は最近、結婚をして子供が産まれるらしい。子供が産まれる前に母親を見つけたいと話した。
「どうしても母ちゃんに孫の顔を見せたくて…」
「そーいうことなら俺が探しますよっ!」
「いいんすか!?」
「OK OK!まかせんしゃい!」
「ありがとうごさいます!」
相良義昭から母親の名前を聞き、写真を借りた。
お願いしますと頭を下げて、立ち去っていった。
カラコロカラン
「よし!リンちゃん探そっか!」
「すごいやる気だね…」
「んー、まぁ、母親に会いたい気持ちはわかるかんね」
そうだねと返事を返し、タバコに火を灯した。




