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「はぁ〜〜〜〜」
神影さんが帰ったあと、彩花は大きなため息をついた。
「え?彩花ちゃんどしたん?」
「もう橘さんにも相談したら?」
「…うん。栞の言う通りかも…」
「ん?ん?栞ちゃんどゆこと?」
橘さんは全く気づいていなかったのか、
彩花がため息をついた理由がわかってなかった。
神影さんだけじゃなくて橘さんも鈍感なのかな?
「彩花なんですけど、神影さんのこと気になってるんですよ」
「ん?どゆこと?」
「だから!そーいうことです」
「えっ?…うそ!マジで!」
やっと気づいた橘さんは全然気づかんやったと呟いた。
「でも、なんでリンちゃん?」
「神影さん…カッコいいじゃないですか」
「あー、そういや前も言ってたね」
「でも、話しかけてもスルーされるって言うか…」
「うん。リンちゃんってそういうとこあるよね」
「あの人…誰なんですか?」
「あの人って?」
「神影さんと仲良さそうな女の人ですよ…」
「え?インチキ女のこと?いやいや!全然、仲良さそうじゃないっしょ!」
橘さんは全力で手を振って否定している。
でも、私も神影さんと楠木さんは仲良く見えるけどな…
「でも、神影さんって楠木さんだけ下の名前で呼んでますよね?私も仲良く見えるけどな…」
「栞ちゃんまでそう思うの?確かに、リンちゃんは下の名前で呼んでるけど…」
「…あの人…神影さんの彼女さんですか?」
「いやー…俺は違うと思うけど…」
「橘さんって神影さんとこういう話はしないんですか?」
「んー、しないっていうか…リンちゃんってさ…そういうのに興味ないんだよね…多分」
「そうなんですか?」
「うん。多分だけどさ…好きですって告白しても、ありがとうございますって返事して終わる感じするんよね〜」
「それは…私も思ってました。だから、どうアドバイスしていいのかわからなくて…」
「うーん。リンちゃんか〜…難しいね…」
彩花も橘さんも黙ってしまった。
「橘さんって神影さんと付き合い長いんですか?」
そう言えば、橘さんはいつも神影さんと一緒にいるなと思って、聞いてしまった。
いつから仲良くなったんだろう?
「んー?リンちゃんと?」
「はい。いつも一緒にいますよね?」
「そうねー。子供の頃から一緒かな〜」
「そうなんですか?」
「うん!リンちゃんって子供の頃から、ずっとあんな感じだったかんな〜」
「えー!橘さんの子供の頃の話、聞きたいです!」
「んー?子供の頃の話?」
「はい!」
「そっか〜。まぁ、俺も対して今と変わってないかんな〜。元々さ、俺のじいちゃんとリンちゃんのじいさんが仲良くてさ。それで、リンちゃんと会ったんよね」
「そうだったんですね!」
「うん。まぁ、あんな感じじゃん?最初はなんだこいつ?って思ってたんだけどさ。俺がなくしたもんを見つけてくれたんよ…それからかな…仲良くなったのは」
橘さんは恥ずかしそうに話していた。
あんなんだけど…優しくやつなのよと言って笑った。
やっぱり…私…橘さんのこと…
「彩花ちゃん、ごめんね!力になれんくてさ」
「いえ!話を聞いてもらえてよかったです」
「まぁ、あんなんだからさ…正直な話、難しいと思うけど…嫌わないであげてよ」
「嫌いませんよ!むしろ、諦めませんから!」
「そっか…ありがとね」
「橘さんこそ、頑張ってくださいよ!」
「えっ?俺が頑張る?」
「ねっ?栞!」
えっ?ごめん!よくわかんないんだけど!と言っている橘さんと私に笑いかけてきた彩花。
きっと、橘さんは気づいてないんだろうな…
私も、がんばらなきゃなと思った。




