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「栞ちゃんはよくここにくるん?」
「いえ、彩花に誘われて…はじめてきました」
「そうだったんだ」
「ここ美味しいデザートがあるんですよ!橘さんも神影さんもコーヒーだけとかもったいない!」
「えー!マジでー?どうしよっかな〜…」
「うーん」
「栞ちゃん、どしたん?」
「あっ!いえ…どれも美味しそうなんですけど、食べきれるか心配で…」
「食べきれんかったら俺食べるよ?」
「え?いいんですか!」
「彩花ちゃんに食べなきゃもったいないって言われちゃってさ、食べるか悩んでたかんね〜。一緒に食べようよ」
「は、はい…」
「うん!じゃあ、どれにする〜?」
静かにコーヒーを飲んでいたら、
真島彩花が話しかけてきた。
「神影さんはデザート食べないんですか?」
「僕は食べませんね」
「えー!でも、美味しそうじゃないですか?」
「そうですね」
「た、食べきれないとかだったら一緒に食べますよ?」
「いえ、コーヒーだけで大丈夫です」
僕は店員さんに二杯目のコーヒーを頼んだ。
「どうぞ、真島さんも食べられたいデザートを選ばれてください」
「は、はい…」
僕はそう言ってメニュー表を渡した。
少し待つとコーヒーを持ってきてくれたので、
静かにコーヒーを飲む。
食べるデザートを決めたのか女性二人が注文していた。
三人で楽しそうに話しているのを眺めていると、
デザートが二つ運ばれてきた。
橘と雨宮栞は一緒に食べていて、
真島彩花は一人で食べている。
少しだけ真島彩花は悲しそうな顔をしているが…
まぁ、僕には関係のない話だ。
「いや!マジで美味かった!」
「本当ですね!美味しかったです!」
「彩花ちゃん教えてくれてありがとね!彩花ちゃんに言われなかったら、俺食べてなかったよ!」
「彩花、ありがとね」
「う、うん。橘さんも栞も喜んでくれてよかったよ」
デザートを食べた三人は満足そうにしている。
真島彩花だけ少し悲しそうだが…
「で、でも!こうして4人でいるとなんかあれみたいですね」
「ん?彩花ちゃんあれって?」
「栞ならわかるでしょ!あれよ!あれ!」
「え?なんだろう…」
「もう〜。だから…ダブル「ここにいたんだ」
真島彩花が何か言ったが、後ろから聞こえた声で
最後は何て言ったのか聞こえなかった。
「鈴のコーヒー飲みに行ったのに、閉まってるから〜」
「あー、橘にコーヒー飲もうって誘われたので」
「ふ〜ん。そのわりには女の子と楽しそうだけど?」
「そうですか?」
僕はコーヒーを飲みながら、
柚葉さんに返事を返した。
「そのコーヒー美味しいの?」
「美味しいですよ」
「ちょっと、ちょうだい」
僕が飲んでいたコーヒーを奪い取られ、
柚葉さんが飲みはじめた。
「…はぁ、新しく頼んだらいいじゃないですか」
「少しぐらい、いいでしょ?」
「もう、あげますよ…」
「あら?いいの?じゃあ、遠慮なく〜」
奪い取られたコーヒーを全部飲んだのか、
やっぱり、鈴のコーヒーの方が好きだわと
柚葉さんは言った。
「僕は美味しいと思いましたが…」
「美味しいのは確かね。でも…」
「あー、二回も言わなくていいですよ」
三人は僕と柚葉さんのやりとりを
ビックリした表情で見ていた。
何をそんなに驚いているのか…
「橘、悪い…そろそろタバコ吸いたいわ」
「お、おう!わかった」
「先に帰るけど…橘はゆっくりしてきてよ」
「お、おうよ!」
「では、雨宮さん、真島さん…申し訳ありませんが、僕はここで失礼しますね」
「は、はい!」
息ピッタリに返事をした二人に軽く頭を下げ、
僕は店を出た。
「ね〜鈴〜?鈴のコーヒー飲みたいんだけど〜」
「…はぁ、さっき僕のコーヒー飲んだじゃないですか」
「あれはお店のでしょ?鈴のコーヒーじゃないわ」
「…そうですか」
帰る僕の隣には柚葉さんがいた。




